亡国の安保政策

安倍政権と「積極的平和主義」の罠

集団的自衛権行使へ舵を切った安倍政権.理念独走の安保政策が「国益」をいかに毀損するのか,検証する.

亡国の安保政策
著者 柳澤 協二
ジャンル 書籍 > 単行本 > 政治
刊行日 2014/04/24
ISBN 9784000247863
Cコード 0031
体裁 B6 ・ 並製 ・ カバー ・ 142頁
在庫 品切れ
「積極的平和主義」を掲げ,日本版NSCの設置,秘密保護法の制定,そして,集団的自衛権の行使へと舵を切った安倍政権.その裏で歴史認識をめぐり近隣諸国との軋轢は増し,靖国参拝により米国までが「失望」した.隣国の軍事的〝脅威〟を煽り,理念独走の安保政策がいかに「国益」を毀損するのか,正面から検証する.

■編集部からのメッセージ

現在,安倍政権は,集団的自衛権の行使容認に向け,さまざな議論・手続きを活発化させています.
 しかし今,憲法の解釈を変えてまで,行使を容認とする必要はあるのでしょうか.むしろ容認することで,大切なものが失われることはないでしょうか.
 著者は,内閣官房副長官補(安全保障担当、2004年~09年)として,自衛隊のイラク派遣を統括した元防衛官僚です.実務を担い,防衛政策を知悉した専門家として,集団的自衛権の行使容認の是非を,徹底的に検証します.
 政府が想定する事態は現実的なのでしょうか.個別的自衛権だけでは不備があるのでしょうか.砂川事件判決を行使容認論に援用することには無理はないのでしょうか.
 そして,集団的自衛権のみならず,日本版NSC(国家安全保障会議)の設置,特定秘密保護法の制定といった,「積極的平和主義」の名の下に進められているさまざまな安保政策は,日本という国に一体何をもたらすのでしょうか.詳しく検討します.
 いま,安全保障に関心ある,すべての人に読んでいただきたいと思います.
(編集部 安田衛)
はじめに
1 安倍政権は,何をしたいのか
2 安倍政権の特質
3 憲法解釈と安保政策
4 七つの「具体例」
5 「積極的平和主義」の罠
6 米中のはざまで,どう生きるか
対談 混迷を深める日中関係をどうみるか  天児 慧
対談 米中パワーバランスの変化と,日本の立ち位置  植木(川勝)千可子
柳澤協二(やなぎさわ きょうじ)
1946年東京生まれ.70年東京大学法学部卒業後,防衛庁(当時)に入庁.防衛審議官,運用局長,人事教育局長,防衛庁長官官房長などを経て,2002年防衛研究所所長.04年から09年まで小泉,安倍,福田,麻生政権で内閣官房副長官補(安全保障・危機管理担当)として,自衛隊イラク派遣など,官邸の安全保障戦略の実施を支えてきた.現在,NPO法人「国際地政学研究所」理事長.
著書―『検証官邸のイラク戦争 ―― 元防衛官僚による批判と自省』(岩波書店),『改憲と国防混迷する安全保障のゆくえ』(共著,旬報社),『抑止力を問う』(共著,かもがわ出版)ほか.

書評情報

東京新聞(朝刊) 2014年12月28日
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