国家安全保障基本法批判

秘密保護法に続く日本政治の焦点.安倍政権がめざす軍事政策の集大成=国家安全保障基本法への検証と批判.

国家安全保障基本法批判
著者 青井 未帆
通し番号 892
ジャンル 書籍 > 岩波ブックレット > 法律
日本十進分類 > 社会科学
刊行日 2014/03/28
ISBN 9784002708928
Cコード 0336
体裁 A5 ・ 並製 ・ 64頁
在庫 品切れ
安倍政権がめざす軍事政策の集大成としての国家安全保障基本法.集団的自衛権の行使を容認し,恒常的な海外派遣を前提にするなど,日本の安全保障政策に大きな変更を加え,戦後の平和を支えてきた憲法9条の法体系を抜本的に変質させるものとなっている.気鋭の憲法学者が,国家安保基本法の内容と問題点を詳細に解説する.


■編集部からのメッセージ
 この文章を書いている2014年3月24日現在,まだこの「国家安全保障基本法」は国会に提出されていません.提出するとも明言されていません.もしかしたら提出されないかもしれませんし,提出されるとしても,また別の法律名になっているかもしれません.ちょうど,「秘密保全法」と言われていた法律が,最終的には「特定秘密保護法」となっていたように.
 いま,私たちが見ることができるのは,自民党が,野党時代の2012年7月に内容を定めた同法案の「概要」だけです.
 その段階でこのブックレットを世に問うのは,国会に提出される法律の全貌が明らかになってからでは,まったく検討が追いつかない,という事例が,とくに最近,あるからです.秘密保護法がその典型です.
 国家安全保障基本法は,集団的自衛権の行使を認めるなど,平和国家としての日本のアイデンティティを根本的に掘り崩す内容になっています.そんな重大な法案を,ぎりぎりまで内容を秘密にしておいて,国会に提出してからは一気呵成に強行採決――.そういうシナリオをも想定内のこととして考えなければいけない状況が現実にあります.
 このブックレットは,現在の段階で知りうる情報を集めたうえで,この法案の危険性を平易な言葉で分析し,検証しています.
 この法案は,安倍政権が進めようとしている安全保障政策の集大成という面を持っています.仮に法案が出されなかったとしても,安倍政権の安保政策のインデックスとしての価値を持つと思います.ぜひご一読ください.
(編集部 熊谷伸一郎)
1 国家安全保障基本法とは

2 コンメンタール――国家安全保障基本法案

3 安全保障と法――確認されるべきこと

4 防衛政策はどう変わりつつあるか

おわりに
青井未帆(あおい・みほ)
1973年生まれ.学習院大学大学院法務研究科教授.憲法学.著書に『憲法を守るのは誰か』(幻冬舎),奥平康弘氏・愛敬浩二氏との共編著『改憲の何が問題か』(岩波書店),共著に『憲法学の現代的論点』(有斐閣),『論点 日本国憲法――憲法を学ぶための基礎知識』(東京法令出版)など.
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