岩波文庫は1927年,「古典および準古典のみを収録する」という方針のもとに創刊されました.以来,ソクラテスからマルクス,万葉集から夏目漱石,ギリシア神話からシェイクスピアと,古今東西の典籍を収録し,総数は約5600冊に及びます.まさに人類の知的財産目録といえましょう.いま編集部ではこれまでの方針を堅持しつつ,さらに20世紀後半以降に登場した著作の中から新たな「古典」を選び出し,より豊かな財産目録を準備したいと考えています.その見極めは決して簡単ではありません.むしろ大いなる挑戦といえるでしょう.「大古典」を維持し,ときに読みやすく整えるとともに,新たな古典の収録にチャレンジする――.どうぞこれからのラインナップにご注目ください.
[岩波文庫編集長/入谷芳孝]
岩波現代文庫がスタートしたのは2000年1月です.学術研究からドキュメンタリー,エッセイ,文学にいたるまで,あらゆるジャンルを対象に,いま読まれるべき現代の良書を収録する器として発足しました.ここには,戦後に生じた諸問題に,同時代人がどのように取り組み,思考し,解決を模索したか,その格闘の軌跡が幅広く示されています.この文庫はいわば「現代日本の自叙伝」です.それらをなるべく広く読んでいただけるように,さまざまな工夫を試みています.書き下ろしやオリジナル編集はその一環です.2013年には「河合隼雄〈子どもとファンタジー〉コレクション」など話題書を準備中です.ご支援のほどよろしくお願いいたします.
[岩波現代文庫編集長/佐藤司]
絵本に出会った子どもたちは,やがて物語世界の扉を開きます.想像力を羽ばたかせ,胸おどらせる読書体験は,子どもたちの成長を力強く支えてくれます.その一助となることを願って創刊された岩波少年文庫には,『星の王子さま』『クマのプーさん』「ドリトル先生」シリーズなど,ロングセラーが数多くあります.長く支持を得ていることは,古典や名作が子どもたちの真の喜びにつながっていることを示しているのではないでしょうか.近年は「ナルニア国ものがたり」「ゲド戦記」『床下の小人たち』のシリーズ,そしてこの冬公開の『ホビットの冒険』など,映画化の話題も豊富で,新しい読者を開拓する素地はさらに大きなものになりました.1950年に創刊してもう還暦を超えたこの叢書,私たちは常に,初めて本を手にとる読者を思い浮かべて,これからも魅力ある物語を送り出してまいります.
[児童書編集長/愛宕裕子]
岩波新書は1938年,日本で初めての新書版の書籍として創刊されました.刊行時の赤版から,青版(1949年),黄版(1977年),新赤版(1988年)と表紙の色を変えながら時代を歩み,2006年に新赤版1000点を期してリニューアルし,いまにいたっています.総点数は3000点間近,すべてに通底するのは,時代と伴走しながらも時代に流されないことをめざす姿勢です.高木仁三郎『原発事故はなぜくりかえすのか』(2000年)には東日本大震災以降,多くの反響が寄せられました.また,斎藤茂吉『万葉秀歌』(1938年),加藤周一『羊の歌―わが回想』(1968年)などロングセラーも数多くあります.それらを擁しつつ,時代を切り開く書目を創出していきます.
[岩波新書編集長/坂本純子]
1979年に創刊されてから三十数年,唯一の学習新書として高い評価をいただいてきました.『詩のこころを読む』『高校生になったら』などはもはや定番書目.課題図書となった書目も多く,学校関係者・教育関係者の信頼・支持を頂戴しています.試験問題に引用されることが多いのも,それゆえでしょう.何より,次代を担う中学生・高校生に読み継がれてきたことはとてもうれしいことです.近年では,『パスタでたどるイタリア史』『〈銀の匙〉の国語授業』が大きな話題を呼びました.創業百年にあたり,これまで以上に元気で力づよい書目の刊行をめざします.中高生を中核に,幅広い世代に読んでいただけるオンリー・ワンの学習新書,さらなる飛躍を遂げたいと願っています.
[岩波ジュニア新書編集長/山本慎一]
いまわたしたちが直面する社会的諸問題に対処するため,必要情報をコンパクトに,スピーディに伝える,それが岩波ブックレットです.1982年4月,『反核――私たちは読み訴える』をもって創刊,世界金融危機から中東情勢,格差社会からいじめ問題等まで,時々刻々起きるさまざまな問題について,確かな情報を迅速に伝える器として,多くの読者の支持を得てきました.昨年の東日本大震災の後は,原発問題とエネルギー問題に焦点をあてたブックレットを次々に刊行し,大きな反響をいただきました.創刊30年を迎え,引き続き原発や震災関連テーマを追うとともに,教育や社会保障問題など,いよいよ切実な問題に取り組むべく,準備を整えています.
[岩波ブックレット編集長/岡本厚]






