岩波講座 日本の思想 全8巻 過去の蓄積を問うことから、未来への思考がはじまる
●A5判・上製函入・240頁 ●予定定価3990円(税込)

 思想は,ものごとを見つめ,考え,問い直してきた人びとの精神生活の所産に他なりません.人びとが時代のなかでどのように生き,何を思い,いかなる未来を望んできたのかは,わたくしたちにとって限りない関心事であります.
 改めてわたくしたち自身の行く末が問い直され,人間としての心のありようを考えさせられるような現在,過去の思想的営為を顧みることは,時代の要請とも考えます.
 『岩波講座 日本の思想』は,できる限り広い視野から日本の思想をとらえるとともに,古代から現代まで,脈々と受け継がれてきた思想営為を,今日の問題意識に結びつけることを目指して企画されました.
 この講座では,巻立てを,時代別や系統別とせずに,主題ごとにしています.さまざまな思想の根底に流れる捉え方・感じ方を問題とし,基調的なものに光をあてたいと考えたからです.各巻の主題は,その相互の連関において,日本の思想に総合的に向き合うための視座を提供するものとなっています.
 過去の日本にどのような思想が花ひらいたのかを知り,いま直面している現実的課題について,日本の思想の展開をふまえながら考えようとする読者の御支持を願ってやみません.


編集委員

苅部 直(東京大学教授)

黒住 真(東京大学教授)

佐藤弘夫(東北大学教授)

末木文美士(国際日本文化研究センター教授)


全巻の構成

第1巻 「日本」と日本思想
学問としての「日本思想」研究は,どのように形成されたのか.近代以降の学問史を整理しつつ,そこに生じた多様な「日本」観を検討する.

第2巻 場と器 ─思想の記録と伝達
思想はどのように伝えられてきたのか.思想が生成される「場」とは何か.メディアの発展とともに広範囲に伝播する思想の流動性に光をあてる.

第3巻 内と外 ─対外観と自己像の形成
中国・朝鮮をはじめとする他地域との交流や西洋文明との遭遇が,対外意識のみならず,ひろく「日本」の自己像に及ぼした影響を検討する.

第4巻 自然と人為 ─「自然」観の変容
自分たちをとりまく大きな存在としての「自然(しぜん)」,究極的なるものを指し示す「自然(おのずから)」.この二つの「自然」と向き合うことで育まれた言説とは何か.

第5巻 身と心 ─人間像の変転
心身という観点から,人間存在の本質や人間観の変遷に迫る.性愛,老いと若さ,生死,病などの,心身をめぐる諸問題を見つめる.

第6巻 秩序と模範 ─「国家」のなりたち
人の世のすべてを包括する「国家(あめのした)」,それを構成するイエ,ムラ,世間,天下──.さまざまな位相における秩序と規範の様態と変遷を探る.

第7巻 儀礼と創造 ─美と芸術の原初
伝統的な芸術の多くは,古くは儀礼と結びつくことで生み出された.その原初の姿を探りつつ,儀礼のもつ創造力を解明する.

第8巻 聖なるものへ ─躍動するカミとホトケ
人びとはつねに聖なる存在を求め続けてきた.超越的な存在はいかなる形をとって顕現するのか.聖なるものをめぐる諸問題を扱う.


岩波書店から刊行された日本の思想に関する書籍より

1924年 津田左右吉『神代史の研究』 刊行
1926年 和辻哲郎『日本精神史研究』 刊行
1940年 村岡典嗣『増訂 日本思想史研究』 刊行
1954年 家永三郎『日本道徳思想史』 (岩波全書)刊行
1961年 丸山真男『日本の思想』 (岩波新書)刊行
1970年 日本思想大系 (全67巻)刊行開始〈1982年5月完結〉
1988年 日本近代思想大系 (全23巻・別巻1)刊行開始〈1992年4月完結〉

『日本思想大系』
日本思想大系
『日本近代思想大系』
日本近代思想大系