新版 アリストテレス全集 全20巻 別巻 ここには驚きがある 知恵がある
●A5判・上製函入・500頁 ●予定定価6300円(税込)

 岩波書店は,創業当初から哲学書の出版を活動の柱の一つとしています.創業者である岩波茂雄は,一高時代に友人の死に衝撃を受けて哲学の道を選び,その後,西田幾多郎,和辻哲郎を始めとする日本の主な哲学者の著作を世に送り,西洋哲学の翻訳では早くに『カント著作集』全18巻(1918-1939年)を刊行しました.
 そうした伝統の中に,西洋哲学の源流たるギリシア哲学の翻訳があります.出隆監修・山本光雄編集『アリストテレス全集』全17巻(1968〜1973年,第四次刊行 1993〜1995年),田中美知太郎・藤澤令夫編集『プラトン全集』全16巻・別巻(1974〜1978年)の刊行は,「文化の配達夫」たる小社のひとつの達成でした.
 しかし,その『アリストテレス全集』も刊行から約半世紀を経ました.このたび創業100年にあたって現代にふさわしい新訳全集を読者の皆様にお送りいたします.
 「万学の祖」アリストテレス.学問分野そのものをそこで使われる言葉とともに作り出しながら進む彼の論述には,物事を一から問い・考え・論じる思索のもつ強靱さと複雑さがあります.そして,そこには現代の諸学でなお考え・論じ続けられているテーマが,汲み尽くせない驚きや知恵があります.
 岩波書店のこの新たな挑戦にご注目ください.


編集委員

内山勝利 (うちやま かつとし 京都大学名誉教授 1942年生)

神崎 繁 (かんざき しげる 専修大学教授 1952年生)

中畑正志 (なかはた まさし 京都大学教授 1957年生)


編者からのメッセージ 中畑正志

 形而上学,心の哲学,倫理学,政治哲学をはじめとして,近年多くの分野でアリストテレス的思考が目覚ましく復権しています.アリストテレス研究そのものも,新たな校訂からテキストの中で言及される生物の特定にいたるまで,大きく進展しました.
 従来のアリストテレスの邦訳は,その受容が19世紀の西欧哲学の用語を経由していたという日本独自の事情に縛られがちでした.しかし,もはやそうしたフィルターを外す時期に来ているでしょう.今回の全集では,以上の事情を踏まえて編者の間で検討を重ね,たとえば「実体」,「質料」,「現実態」などの,アリストテレスの最重要概念を表すおなじみの訳語をすべてあらためました.アリストテレスを清新な姿のままできるだけ多くの人々にわかりやすく提供するものであること,この全集で目指したことが達成され多くの読者に受け入れられることを願っています.


全巻の構成

第1巻 カテゴリー論・命題論
(アリストテレスの生涯と著作/アリストテレス哲学案内/アリストテレス諸伝 を含む)
第2巻 分析論前書・分析論後書
第3巻 トポス論・ソフィスト的論駁について
第4巻 自然学
第5巻 天界について・生成と消滅について
第6巻 気象論・宇宙について
第7巻 魂について・自然学小論集
第8巻 動物誌 (上)
第9巻 動物誌 (下)
第10巻 動物論三篇
第11巻 動物の発生について
第12巻 小論考集
第13巻 問題集
第14巻 形而上学
第15巻 ニコマコス倫理学
第16巻 大道徳学・エウデモス倫理学
第17巻 政治学・家政学
第18巻 弁論術・詩学
第19巻 アテナイ人の国制・著作断片集1
第20巻 著作断片集2 (主要用語集を含む)
別 巻 総索引

新版全集の特色

●20世紀後半以降の研究の進展(テキスト校訂・翻訳・注解)を反映させる.
●全集として統一したアリストテレス像を提示するために,専門用語を中心に訳語の統一と有機的関連づけをはかる.
●アリストテレスの生涯と著作・哲学案内・諸伝を第1巻に付し,読者への案内を行う.
●平易な訳文と丁寧な訳注により,哲学の専門家だけでなく,広範な層の読者を対象とする.
●訳注は,本文と同時に対照できるよう,読みやすい左頁注方式を採用した.
●第20巻に主要用語集,別巻に総索引を付す.


岩波書店から刊行されたギリシア古典の翻訳全集より
岩波書店から刊行されたギリシア古典の翻訳全集より