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マヤ文明

密林に栄えた石器文化

マヤ文明を謎と神秘で語る時代は終わった.考古学の成果,文字の解読から,王・貴族・農民の生活が明らかに.(カラー口絵一丁)

マヤ文明
著者 青山 和夫
通し番号 新赤版 1364
ジャンル 書籍 > 岩波新書 > 世界史
刊行日 2012/04/20
ISBN 9784004313649
Cコード 0222
体裁 新書 ・ 並製 ・ カバー ・ 238頁
在庫 在庫僅少
ジャングルにそびえ立つ神殿ピラミッド,広場に林立する石碑,交易に用いられた黒曜石…….マヤ文明は中央アメリカに花ひらいた究極の石器文明だった.もはや謎と神秘のベールにくるみ論じる時代ではない.文字は王の事績を語り,考古学は貴族や農民の生活を明らかにする.マヤ文明の実像を,気鋭の考古学者が熱く語る.(カラー口絵一丁)
はじめに

第1章 マヤ文明とは何か
 1 ジャングルの大都市遺跡を発掘する
 セイバの木が生える場所/ハーバード大学調査団/セイバル遺跡の再調査/マヤ文明の起源を探る/神聖性の象徴/コロンブスはアメリカ大陸を「発見」しなかった/世界史教科書の問題/メソアメリカの諸文明/マヤ人とは誰か/マヤの三つの地域区分
 2 マヤ文明の特徴とは
 究極の石器文明/数字と暦/マヤの宗教/ネットワークの文明/共有されたモノ/ピラミッドと山信仰/広場での劇場的パフォーマンス/各地のマヤ都市の発展/誰が建造したか/マヤ暦は循環暦/二〇一二年に世界は終わらない/マヤ文字を解読する/マヤ文字はいつ頃使われ始めるのか/誰が読み書きしたか
 3 マヤ文明の実像をみる
  「謎と神秘」を売るマスメディア/歪められたマヤ文明観/現実的なマヤ文明観へ

第2章 マヤ遺跡を掘る
 1 ホンジュラスで調査開始!
 考古ボーイ、ホンジュラスへ行く/ホンジュラスという国/ラ・エントラーダ地域の調査/面の調査/マウンドを分類する/野外調査の大敵/博物館をつくる/国立遺跡公園とスペイン語の研究書
 2 世界遺産コパン遺跡へ
 国際調査団に加わる/アメリカ留学/ 「大広場」と石碑/球技場と神殿ピラミッド/コパンの初代王/更新される神殿/交換に使われた黒曜石/万能ナイフの石刃/黒曜石の流通/流通域の境界/石器の使用痕から/最高五〇〇〇回の実験/都市の中心部での手工業/衰退の要因は/最後の一六代目王/武器の増加

第3章 諸王、女王、貴族たち
 1 マヤ文明における国家
 統一王朝がなかったマヤ文明/都市と王/ 「放血儀礼」/等間隔に分布する都市
 2 ティカルの大王たち
 三〇代以上続く王朝/都市の盛衰/ 「スター・ウォーズ」はなかった/ティカル復興の王/小宇宙としての建造物/水を確保する貯水池/巨大化の果てに
 3 パレンケの大王パカル
  「大いなる水」の都市/女王もいた/パカル王の事績/王陵としての神殿ピラミッド/太陽を意識した設計/パレンケ王朝の終焉
 4 チチェン・イツァの大王たち
 暦のピラミッド/国際都市チチェン・イツァ/王墓はどこに/大王と交易/聖なる泉/泉の供物/周辺国との戦争

第4章 農民の暮らし
 1 何を作りどう食べたか
 トウモロコシの人間/多様な調理法/ 「農耕革命」はなかった/マヤ人は主に菜食/自然と共生する農耕/高級なカカオ豆/タバコ・蜂蜜・塩/ 「ミルクの香りのしない文明」
 2 火山灰に埋もれた村から
 村人の日常生活/集約農業を営む/交換品の生産/集会所や占いの建物など
 3 生産と流通
 自然環境に合わせた多様な農業/都市と農民/水路網の建設/プウク地方の地下貯水槽/大型家畜のない人力エネルギーの文明/死者は住居に埋葬

第5章 宮廷の日常生活を復元する─アグアテカ遺跡
 1 戦争により放棄された都市
 断崖絶壁の要塞都市/王朝興亡の中で/攻撃により短時間で放棄された住居/日常生活ほど残りにくい/世帯を考古学する/戦争を考古学する/石器を分析する/日常の石器
 2 世帯の暮らしに迫る
  「石斧の家」の世帯/ 「鏡の家」の世帯/女性たちの生活/破壊された王宮/未完の神殿ピラミッド/仮面と劇場的パフォーマンス/マルチタレント的な王や貴族

第6章 マヤ文明の盛衰は語る
 1 何が「衰退」をもたらしたか
 九世紀に「崩壊」したのか?/ 「衰退」の内実/衰退の原因を探る/人口過剰、環境破壊、戦争/マヤ文明の歴史的教訓
 2 侵略のダメージを越えて
 ヨーロッパ人の侵略前夜/スペイン人とマヤ人の攻防/新たなマヤ文化の創造/マヤは現在進行形の生きている文化
 3 新たなステップへ
 マヤ研究の偏り/研究の新たな潮流/現代マヤ人にとってのマヤ文明/よりグローバルな「真の世界史」にむけて/発掘調査は続く

あとがき
主要参考文献
図版出典一覧
青山和夫 (あおやまかずお)
 1962年京都市生まれ.東北大学文学部卒業.ピッツバーグ大学人類学部大学院博士課程修了.人類学博士.「古典期マヤ人の日常生活と政治経済組織の研究」で日本学術振興会賞,日本学士院学術奨励賞を受賞.
 現在─茨城大学人文学部教授
 専攻─マヤ文明学,メソアメリカ考古学,文化人類学専攻
 著書─『古代メソアメリカ文明』(講談社),『古代マヤ』(京都大学学術出版会),『メソアメリカの考古学』(共著,同成社),『古代アメリカ文明』(共著,山川出版社),『岩波アメリカ大陸古代文明事典』(共編著,岩波書店)ほか
 訳書─J・サブロフ『新しい考古学と古代マヤ文明』(新評論),E・トンプソン『マヤ文明の興亡』(新評論)ほか

書評情報

図書館教育ニュース 2013年2月28日号
毎日新聞(朝刊)〔大阪〕 2012年9月26日
朝日中学生ウイークリー 2012年8月19日号
朝日小学生新聞 2012年8月18日
毎日小学生新聞 2012年7月22日
サンデー毎日 2012年6月24日号
読売新聞(朝刊) 2012年6月17日
朝日新聞(朝刊) 2012年6月3日
産経新聞 2012年6月3日
Chaski No.45(2012年6月)
新潟日報(朝刊) 2012年5月27日
信濃毎日新聞(朝刊) 2012年5月20日
福島民報 2012年

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