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百年前の日本語

書きことばが揺れた時代

百年前の書きことばは,驚くほど豊かな選択肢を備えていた──その姿を克明に描き,日本語の変化を問う.

百年前の日本語
著者 今野 真二
通し番号 新赤版 1385
ジャンル 書籍 > 岩波新書 > 言語
刊行日 2012/09/20
ISBN 9784004313854
Cコード 0281
体裁 新書 ・ 並製 ・ カバー ・ 206頁
在庫 品切れ
漱石が自筆原稿で用いた字体や言葉の中には,すでに日本語から「消えて」しまったものがある?──百年前の書きことばが備えていた,現代では思いもつかない豊かな選択肢.その後活字印刷がひろまり,「読み手」が急速に増大したことで,日本語はどのように変わったのだろうか.豊富な具体例を通じて描く,画期的な日本語論.
はじめに──日本語に明治維新はあったか

第一章 百年前の手書き原稿──夏目漱石『それから』の自筆原稿
 一 漢字のかたち──漱石の書いた「所」の字
 二 漱石も「新字体」を使っていた
 三 手書きと印刷との間で

第二章 「揺れ」の時代──豊かな明治期の書きことば
 一 日本語を漢字によって書く
 二 活躍する振仮名
 三 語形の多様性
 四 書き方の多様性──同語異表記・異語同表記
 五 和漢雅俗の世紀──漢英対照から和漢雅俗へ

第三章 新しい標準へ──活字印刷のひろがりと拡大する文字社会
 一 『朝日新聞』に掲載された夏目漱石の『それから』
 二 新聞紙面の日本語
 三 雑誌の日本語

第四章 統一される仮名字体──失われた選択肢
 一 仮名のさまざまな使い方
 二 一九〇〇年のできごと
 三 消えた「仮名文字遣い」

第五章 辞書の百年──辞書を通してみた日本語の変化
 一 英和辞書の訳語
 二 漢語辞書から考える
 三 和語・漢語・外来語

おわりに──日本語が得たもの、失ったもの
あとがき
今野真二 (こんのしんじ)
 1958年神奈川県生まれ
 1986年早稲田大学大学院博士課程後期退学.
    高知大学助教授を経て
 現在─清泉女子大学教授
 専攻─日本語学
 著書─『仮名表記論攷』(清文堂出版,第30回金田一京助博士記念賞受賞)
    『文献から読み解く日本語の歴史【鳥瞰虫瞰】』
    『消された漱石 明治の日本語の探し方』(以上,笠間書院)
    『振仮名の歴史』(集英社新書)
    『日本語学講座』全10巻(刊行中,清文堂出版)ほか

書評情報

東京新聞(夕刊) 2013年3月5日
Z CLUB 2013年3月号
日本経済新聞(朝刊) 2012年11月25日
サンデー毎日 2012年11月11日号
週刊朝日 2012年11月2日号
京都新聞(朝刊) 2012年10月21日
朝日新聞(朝刊) 2012年10月14日
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