電子書籍対応

小林一茶

時代を詠んだ俳諧師

一茶の生きた激動の文化・文政年間.ロシア船の出現,国学の台頭など幕末へと向かう時代を近世史家が読み解く.

小林一茶
著者 青木 美智男
通し番号 新赤版 1446
ジャンル 書籍 > 岩波新書 > 文学
刊行日 2013/09/20
ISBN 9784004314462
Cコード 0221
体裁 新書 ・ 並製 ・ カバー ・ 204頁
在庫 在庫あり
夏の暑さに豊作を願い,打ちこわし騒動に心を寄せ,大黒屋光太夫の帰国に反応し,「君が代」や「神国」日本を詠む.市井の営みを見つめた一茶の句からは,外国船の出現に動揺し,国学に沸く激動の文化・文政年間を生きる人びとの姿が浮かび上がる.「幕末維新を準備した」と言われるその時代を,一茶の句から近世史家が読み解く.
はじめに

1 時代を詠んだ俳諧師
 一茶句碑第一号/一茶調/慈愛に満ちた一茶像は近代から/終生変わらぬ農民への畏敬/一茶の理想/目線は江戸の下層民にも/逆境が育む珠玉の句

2 学びの時代
 「下ゝの下国」に生まれる/北国街道柏原宿/子どもは貴重な労働力/親は江戸へ冬季稼ぎ/せめてイロハだけでも/少年期一茶の文化状況/柏原宿の俳諧

3 江戸の場末の裏長屋
 俳諧師一茶/裏店での暮らし/裏長屋の世界/身につまされる信州人の江戸奉公

4 四国・九州・中国・上方へ
 西国へ向かう/漂泊の旅/長崎で見た異国色/自立する一茶/話し言葉の衝撃/江戸の一茶へ

5 国学の隆盛と世直し願望
 俳諧情報の収集/国学思想への傾倒/自国観の形成/日本・君が代/世は末世/世直し願望の表出/養蚕・製糸業と「買食の者」の増大

6 北方への関心、差別への眼差し
 蝦夷地への関心/差別への眼差し/反骨と滑稽と

7 老いの生と性
 信州の一茶へ/荒凡夫一茶/姥捨て伝説/生と性への執念

おわりに
参考文献
年  表
収録一茶発句一覧
青木美智男 (あおきみちお)
 1936年福島県生まれ.日本近世史.明治大学文学部卒業,東北大学大学院文学研究科修士課程修了.日本福祉大学教授を経て,専修大学教授.2007年定年退職.
 社会史・文化史を中心に,百姓一揆や民衆史の発掘,文学資料から歴史を読み解くなど,幅広い分野を考察対象とする.地域史の編纂等も手掛ける.
 著書に『一茶の時代』(校倉書房),『日本の近世17 東と西 江戸と上方』(中央公論社),『百姓一揆の時代』(校倉書房),『深読み浮世風呂』(小学館)など.
 2013年死去.

書評情報

歴史地理教育 2014年4月号
朝日新聞(朝刊) 2013年11月25日
日本経済新聞(朝刊) 2013年10月20日

電子書籍

価格は各電子書籍書店にてご確認ください

ページトップへ戻る