戦争と検閲

石川達三を読み直す

戦前から戦後に度重ねて検閲を受けていた達三.一体何が,どう問題とされたのか? 言論統制の実像を追う.

戦争と検閲
著者 河原 理子
通し番号 新赤版 1552
ジャンル 書籍 > 岩波新書 > 日本史
刊行日 2015/06/26
ISBN 9784004315520
Cコード 0295
体裁 新書 ・ 並製 ・ カバー ・ 310頁
定価 902円
在庫 在庫あり

「生きてゐる兵隊」で発禁処分を受けた達三.その裁判では何が問われたのか.また,戦後のGHQの検閲で問われたこととは? 公判資料や本人の日記,幻の原稿など未公開資料も多数駆使して,言論統制の時代の実像に迫る.取材し報道することの意味を厳しく問い続けて来た著者が抑えがたい自らの問いを発しながら綴る入魂の一冊.

 はじめに

第一章 筆禍に問われて
 1 「生きている兵隊」事件はどう報じられたか
 2 達三、日中戦争を取材する
 3 これはとても通らない
 4 ちぎりとられた『中央公論』
 5 生命とはこの戦場にあってはごみ屑のようなものである
 6 それは造言飛語なのか
 7 差し押さえから漏れた本が海を渡る
 8 雨宮編集長の退社
 9 法廷で語ったこと
 10 未発表の「南京通信」
 11 判決直後の再従軍
 12 それぞれの戦後
第二章 ××さ行きてくねえ
 1 ブラジル移民船に乗って「蒼氓」を書く
 2 第一回芥川賞の伏字
 3 日清・日露の戦後
 4 検閲の長い道のり
第三章 戦争末期の報国
 1 「結婚の生態」が映画になる
 2 「空襲奇談」で無人爆撃機を書く
 3 再び家宅捜索を受ける
第四章 敗戦と自由
 1 『生きている兵隊』が世に出る
 2 封印された原爆エッセイ
 3 風にそよぐひとむらの葦のように
 4 新聞紙法はなぜ即座に廃止されなかったのか

 おわりに

 巻末資料
  新聞紙法
  陸軍省令/新聞掲載禁止事項ノ標準/新聞掲載事項許否判定要領
  海軍省令/新聞掲載禁止事項ノ標準/新聞(雑誌)掲載事項許否判定要領
  外務省令

 主な参考文献
 関連年表

書評情報

朝日新聞(朝刊) 2019年10月26日(評者:志田陽子さん)
歴史地理教育 2015年12月号
放送レポート 257号(2015年11月)
新潮45 2015年9月号
東京新聞(朝刊) 2015年8月16日
しんぶん赤旗 2015年8月9日
サンデー毎日 2015年8月2日号
「考える人」HTMLメールマガジン 641号(2015年7月23日)
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