新版 荒れ野の40年

ヴァイツゼッカー大統領ドイツ終戦40周年記念演説

ベルリンの壁崩壊より20年.敗戦,東西分裂,戦後処理,ベルリンの壁,統一を経てきたドイツ史をもう一度辿る.

新版 荒れ野の40年
著者 リヒャルト・フォン・ヴァイツゼッカー , 永井 清彦 訳・解説
通し番号 767
ジャンル 書籍 > 岩波ブックレット > 戦争と平和
日本十進分類 > 社会科学
刊行日 2009/10/06
ISBN 9784000094672
Cコード 0336
体裁 A5 ・ 並製 ・ 64頁
定価 572円
在庫 在庫あり
「若い人たちにお願いしたい.敵対するのではなく,たがいに手をとり合って生きていくことを学んでほしい.われわれ政治家にそのことを肝に銘じさせてくれる諸君であってほしい」──1985年.対立を超え,寛容を求め,歴史に学ぶことを訴えた伝説的な演説があった.ロングセラー『荒れ野の40年』,解説を大幅増補して新登場.


■編集部からのメッセージ
 あれ?と思われた方も多いのではないでしょうか.1986年の刊行以来,多くの皆様に愛されてきた,ブックレットの定番とも言える『荒れ野の40年』を装いも新たにお届けいたします.
 刊行されたのは演説のあった85年の翌年.当時,冷戦下にあった東西ドイツですが,89年には冷戦の象徴でもあったベルリンの壁が崩れ,冷戦は終わり,東西ドイツは統一されました.85年の演説においてヴァイツゼッカー大統領は東西のドイツを「一つの民族(フォルク)」と表現し,統一への希望を述べていますが,その後,念願であった統一の際には,統一ドイツ初代大統領に就任しています.
 そのベルリンの壁崩壊から今年は20年.若い世代にとっては,「冷戦って何?」「ドイツは二つの国だったの?」ということが,素朴に疑問に感じるほどに時間が経ってしまいました.

 「若い人たちにお願いしたい.他の人びとに対する敵意や憎悪に駆り立てられることのないようにしていただきたい.互いに敵対するのではなく,互いに手を取り合って生きていくことを学んでほしい.われわれ政治家にも,このことを肝に銘じさせてくれる諸君であってほしい……」

 演説そのものは,時代を経てもなお,色あせず輝きつづけているものの,その後,国や社会を巡る状況があまりに変化したために,時代に合わせて解説を大きく加筆しました.戦後ドイツの歩んだ苦難の歴史はどんなものだったのか,この演説は,どのような状況において語られたものなのか,ヴァイツゼッカー大統領の人となりとは,等々…….大統領自身が特に若い人びとに向けて語っているように,その時代を知らない人びとにも,ぜひ読んでいただきたいと願っています.
ヴァイツゼッカー大統領演説全文――1985年5月8日

解説――若い君への手紙 永井清彦
リヒャルト・フォン・ヴァイツゼッカー(Richard von Weizsäcker)
1920年生まれ.ベルリン,オックスフォード,ゲッティンゲンの各大学に学ぶ.在学中に第二次世界大戦でドイツ国防軍に従軍.戦後,復学したのち,実業界に入り,ドイツ福音派信徒大会で議長をつとめ,69年に連邦議会議員,81年には西ベルリン市長となる.84年から2期10年間のドイツ連邦共和国大統領在任中にドイツ統一の悲願の実現をみた.

永井清彦(ながい・きよひこ)
1935年生まれ.東京大学卒業後,朝日新聞社,ドイツ海外放送,タイム・ライフ社をへて,桃山学院大学・共立女子大学教授などを歴任.著訳書に『ヴァイツゼッカー演説の精神』,『ヴァイツゼッカー日本講演録 歴史に目を閉ざすな』,『ヴァイツゼッカー回想録』(いずれも岩波書店),『緑の党』(講談社),『現代史ベルリン』(朝日新聞社)などがある.

書評情報

東京新聞(朝刊) 2015年2月1日
朝日新聞(朝刊) 2013年8月29日
しんぶん赤旗 日曜版 2010年2月28日号
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