ルポ 拉致と人々

救う会・公安警察・朝鮮総聯

正常化をめざした日朝会談から8年,状況と思考はなぜ停止したのか.拉致問題と日朝関係の硬直を破る.

ルポ 拉致と人々
著者 青木 理
ジャンル 書籍 > 単行本 > 評論・エッセイ
刊行日 2011/01/26
ISBN 9784000024273
Cコード 0095
体裁 四六 ・ 並製 ・ 214頁
在庫 品切れ
日本社会にとって拉致問題とは何なのか.国交正常化をめざしたはずの2002年の日朝首脳会談から8年,状況と思考はなぜ停止してしまったのか.公安警察・朝鮮総聯・「救う会」関係者などへの取材を重ね,拉致問題をめぐって起きた数々の事象・事件の真相に接近する.日朝関係をとりまく硬直を打ち破るルポルタージュ.


■著者からのメッセージ
 2002年の日朝首脳会談を大きな分水嶺とし,この国には「反北朝鮮ナショナリズム」とでも評すべき異様な反北朝鮮ムードが吹き荒れた.その最大要因は日本人拉致問題であり,被害者家族やその支援団体の意向が政府の外交方針にまで影響を及ぼし,北朝鮮への強硬姿勢を売り物とする若きタカ派の為政者を宰相の座に押し上げる結果をもたらしたのである.
 いや,そればかりではない.多くのメディアにとって被害者家族やその支援団体は批判の許されぬタブーの如き存在となり,北朝鮮との対話などを訴えた多くの政治家,学者,メディア人が激しいバッシングを加えられて苦悶した.
 振り返ってみれば,それはひどく歪んだ情景であった.被害者家族の支援団体.政治やメディア.警察と検察…….本書は,それらに生じた歪みの現場を約5年間にわたって取材し,誰もが書かなかったタブーの裏側を描き出したルポルタージュ集である.筆者として,一人でも多くの方に読んでいただくことを心から願っている.
青木 理
序章 北朝鮮にて
第一章 救う会と家族会
第二章 警察を歪ませた男
第三章 元公安調査庁長官の陥った罠
第四章 メディアと外交の迷走
あとがき
青木 理(あおき おさむ)
ジャーナリスト.1966年生まれ.共同通信社東京社会部で警視庁公安担当,外信部で2002年から06 年までソウル特派員などをつとめる.現在はフリージャーナリスト.著書に『絞首刑』(講談社),『日本の公安警察』『北朝鮮に潜入せよ』(以上,講談社現代新書),『国策捜査 暴走する特捜検察と餌食にされた人たち』(金曜日)等がある.
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