一時帰還

戦場の最前線で,銃後の日常で,帰還兵たちは自身の生の極限に直面する.二〇一四年全米図書賞受賞作.

一時帰還
著者 フィル・クレイ , 上岡 伸雄
ジャンル 書籍 > 単行本 > 文学・文学論
刊行日 2015/07/23
ISBN 9784000610544
Cコード 0097
体裁 四六 ・ 並製 ・ カバー ・ 332頁
在庫 品切れ
戦闘地域の真っ只中だけではない.銃後の日常でも,帰還兵たちは自身の生の極限に直面する.彼らに慰めや癒しを与える,幸福な物語や簡単な答えなど,どこにも存在しない.蛮行と信仰,罪と恐怖,不安,無力感――生々しい戦場の現実から浮かび上がる戦争の無意味さ,愚かさ,人間の悲しみが読む者の心を撃つ.自身も海兵隊員として戦場の最前線に臨んでいた著者の体験を反映した本作は,二〇一四年,アメリカでも最も権威あるナショナル・ブック・アワード(全米図書賞)を受賞した.

■編集部からのメッセージ

本作は,2014年の全米図書賞を受賞しました.加えて全米書評家連盟(NBBC)が主催する the John Leonard First Book Prize を受賞するとともに,The New York Times Book Review や,Time, Newsweek, The Washington Post Book World をはじめとする,主要メディアの多くで2014年の best book の1冊に選ばれています.きびしくまなざされたリアリズムと,驚くべきほど深い情感をもって書かれた本書.多くのことばは要しません.戦場から遠く離れた極東の島国に暮らす私たちの想像を超えた戦場の現実,帰還兵たちの姿に,直接ふれていただければと思います.
フィル・クレイ(Phil Klay)
ダートマス大学を卒業し,2005年,米海兵隊に入隊.広報担当として2007年1月から2008年2月までイラクのアンバール県で勤務.除隊後,ハンター大学の創作科にて修士号を取得.デビュー作である本作が2014年全米図書賞を受賞.

訳:上岡伸雄(かみおか のぶお)
学習院大学文学部英語英米文化学科教授.現代アメリカ文学.著書に「ニューヨークを読む」ほか,訳書に,グレアム・グリーン「情事の終り」,エイミー・ウォルドマン「サブミッション」,ジェス・ウォルター「ザ・ゼロ」(共訳),ジョン・ル・カレ「われらが背きし者」(共訳),ロバート・クーヴァー「ノワール」など多数.

書評情報

毎日新聞(朝刊) 2015年12月20日
週刊読書人 2015年12月18日号
週刊読書人 2015年10月9日号
女性自身 2015年9月29日-10月6日合併号
週刊新潮 2015年9月10日号
サンデー毎日 2015年8月23日号
毎日新聞(朝刊) 2015年8月23日
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