電子書籍対応

密着 最高裁のしごと

野暮で真摯な事件簿

DNA鑑定,夫婦別姓,児童虐待,凶悪犯罪をめぐる時代の正義はいかに.家族の,司法のあり方をデザインするその姿を追う.

密着 最高裁のしごと
著者 川名 壮志
通し番号 新赤版 1629
ジャンル 書籍 > 岩波新書 > 法律
日本十進分類 > 社会科学
刊行日 2016/11/18
ISBN 9784004316299
Cコード 0232
体裁 新書 ・ 並製 ・ 244頁
在庫 在庫あり

司法の顔は見えにくい.でも最高裁は面白い.DNA鑑定が突き付けた育ての父と実父と母娘の関係は? 夫婦別姓はなぜダメなのか? 犯罪に向き合った裁判員の審議は無意味なのか? いずれも下級審で判断が分かれ注目を集めた判決ばかり.情理を尽くした判断をたどり現代の難題を考える.家族の,司法のあり方をデザインするその姿を追う.

プロローグ

第1部 家族のあり方を最高裁がデザインする(民事編)

第1章 わが子と思いきや赤の他人だった     ──親子関係不存在確認訴訟でみる最高裁のしくみ──
 血は水よりも濃いか/民法は科学技術にひざまずくか/法律のすき間を判例が埋める/育ての親より実の親──1、2審の判決/事実よりも理屈を判断 最高裁は法律審/DNA型鑑定との矛盾など百も承知/最高裁の裁判官は弁明できる?/合議割れOKだからこそ見える裁判官の素顔/最高裁裁判官が見せた人情/血は水より濃いと言われても 父親の思いをたずねて/【コラム】夫の反論は可能か 「嫡出否認」の選択肢

第2章 夫は「主人」ではない 妻のアイデンティティ     ──夫婦別姓にみる大法廷──
 結婚したら夫も妻も同じ姓? 世界は昔は……/法は変われど男性優位は明治のまま/最高裁は「憲法の番人」 最大の武器は「違憲審査権」/法と法がぶつかる?──憲法訴訟の構図/憲法と法律のデリケートな関係/法律は柔軟に、憲法は頑固に/憲法vs.法律 勝つのはどちらか/絵に描いたモチ? 条文では平等のはずが現実は間接差別?/初の憲法判断は全員集合で──大法廷判決/個人の具体的な被害があってこそ──付随的違憲審査制/大法廷は「合憲」判断/最高裁が示した「夫婦」と「家族」のあり方/女性裁判官は口をそろえて「違憲」/長官の意見は──いつか見た景色、かつて踊ったダンス/30年前にお蔵入りしていた夫婦別姓論議──寺田長官のデジャヴ/大胆な意見を残して最高裁を去った無頼派/桜舞う春に 一人の女性をたずねて/【コラム】生まれながらに損をする? 婚外子の相続問題──時代が「正義」をかえていく

第2部 市民が裁く罪と罰 手綱をにぎる最高裁(刑事編)

第3章 死刑と無期懲役のわかれみち     ──死刑破棄事件にみる裁判員裁判の難しさ──
 最高裁は日替わり裁判長/シロウトによる裁きの庭 裁判員の死刑宣告/反ポピュリズム? 最高裁が「死刑」判決にダメ出し/松戸女子大生殺人事件/強盗殺人は「死刑」か「無期懲役」しかない/被害者が1人でも死刑 市民による極刑選択/最高裁の扉を開くカギ 上告がみとめられる条件/ 「死刑」と「無期懲役」のわかれみち/モノサシの使い方/何のための市民の声か/裁判官が裁判官を叱る 裁判を裁く最高裁/裁判官のトラの巻? 量刑のヒント集/統計でわかる被害者の数と死刑/公平と市民感覚のあいだで 彼女が生きた場所をたずねて/【コラム】最高裁の黒子 調査官

第4章 求刑超えに「待った」をかけた最高裁     ──アマチュア市民とプロ裁判官をつなぐ最終審──
 発達障害の被告は長く刑務所に収容した方がいい 型破りの裁判員裁判/法定刑と量刑 裁判官のお家芸/裁判員仕様のナビゲーター 最高裁の計らい/暴走か適正評価か 民意による厳罰化/高裁は事後審に徹せよ? 中2階の微妙なスタンス/検察官vs.「健全な社会常識」 求刑超え目立つ子どもの虐待死/【コラム】量刑は何年? 新聞記者のヤマの張りかた/親の児童虐待は殺人か 寝屋川市虐待死事件/殺人と傷害致死の境界線 プロと市民の思いをたずねて/最高裁の奥の手 「著しく正義に反する」場合/裁判官と市民 二元論を超えて/三権分立の一角から

エピローグ
参考文献
川名壮志 (かわなそうじ)
 1975年生まれ
 2001年早稲田大学法学部卒業
 現在─毎日新聞記者
 著書─『謝るなら、いつでもおいで』(集英社)

書評情報

読売新聞(朝刊) 2017年2月5日

電子書籍

価格は各電子書籍書店にてご確認ください

ページトップへ戻る