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豊かさの条件

効率と競争が叫ばれる中,暮らしの不安は募るばかりだ.前著から14年,ふたたび豊かさへの道をさぐる.

豊かさの条件
著者 暉峻 淑子
通し番号 新赤版 836
ジャンル 書籍 > 岩波新書 > 社会
刊行日 2003/05/20
ISBN 9784004308362
Cコード 0236
体裁 新書 ・ 並製 ・ カバー ・ 254頁
在庫 在庫あり
効率と競争の追求によって泥沼の不況から抜け出そうとする日本社会.だが,リストラ,失業,長時間労働,年金破綻など,暮らしの不安はますます募るばかりだ.子どもの世界も閉塞をきわめている.大好評の前著『豊かさとは何か』から14年.著者が取りくんできたNGO活動の経験をふまえて,真に豊かな社会とは何かを改めて考える.
はじめに

第一章 切り裂かれる労働と生活の世界
 高失業率の時代/社会にとって労働とは何か/フリーターへの道/非正規労働者の苦悩/賃金カットにリストラ/問題にされない労働時間/超長時間労働は増えている/生活はどこへ行ったのか/ある社会科の授業より/ 「失業」とは何を意味するのか/エンゲルの真理/日本とドイツ、違いはどこから/長期の失業保険が暮らしを支える/失業者同盟が相互援助/失業問題に敏感に反応する労組/働き盛り世代の自殺者/放置されたホームレス/なぜ生活保護が受けられないのか/なぜホームレスが増えているのか/社会から排除された人々/社会保障なしに自立はない/二人はなぜホームレスに?/ホームレスの背後に消費者金融が/暮らしは安全か

第二章 不安な社会に生きる子ども達
 失われた「子ども時代」/国連の報告書にみる日本の子ども/ドイツの「いい学校」/取材し、調査し、報告する/自分達の町の報告/ 「おもろない」大人への道/ 「1」の時間/発見する答え/大人への時間/国際学力テストの結果から/日本の子ども達の「学力」/個性と競争と愛国心/無限の競争の歯車/諦めた子ども達の姿/自由と競争/無限の競争の果て/学力低下はどこから?/ドイツ人がみた日本の教育/ドイツの反省/フリースクールにみられる教育の原点

第三章 なぜ助け合うのか
 増えつづける不登校/わがままと協調性/父親の姿/ 『心のノート』の目指すもの/いじめは減っていない/社会に突きつけられた遺書/大人の世界でもいじめが/一体感を求めて/多様な職業を喪失する社会/全体性の営み/生活のもつ全体性/助け合いが心を支える/戦争の中での連帯・交流/態度価値/連帯する場

第四章 NGOの活動と若者達
 偶然の避けられないきっかけ/平和共存から憎悪の時代へ/国家を超えて/大田さんの話/全国から助け合う行為が/必要なところに必要なものを/別人に生まれ変わる学生達/異文化での援助ということ/被災地に届いた招待状/本当の国際理解/心の温かさに触れて/自立を模索する難民達/ 「魚を贈るより、釣り道具を贈れ」/助け合いはこだまし、続く/神戸での再会/ 「山が動いた」/一人の人間としての出会い/流産した音楽会/コソボ空爆の下で/更なる交流/平和の歌声

第五章 支えあう人間の歴史と理論
 安心の支え/共同の領域とは何か/税金が共同の領域をつくる/三つの共同部分/労働とは何か/不平等の中の労働者/労働組合の結成/壊滅の労働組合/相互扶助の国家化/生活協同組合の源流/新しい社会の建設を目指して/日本での困難/賀川豊彦と市民生協/ 「正気の島」/共同の世界の歴史/社会ダーウィニズムの誤り/クロポトキンの思想/マルクスの手紙/市場の限界/社会的共有部分という課題

希望を拓く──終章に代えて
 市民的公共性をつくる/情報ネットワークが社会を変える/ 「土民生活者」の力/コミュニケーションの能力/豊かさの条件とは何か

あとがき
暉峻淑子 (てるおかいつこ)
 1928年大阪府に生まれる
 1963年法政大学大学院博士課程修了
 専攻─生活経済学
 現在─埼玉大学名誉教授
 著書─『豊かさとは何か』(岩波新書)
    『ほんとうの豊かさとは』(岩波ブックレット)
    『ゆとりの経済』(東洋経済新報社)
    『サンタクロースってほんとにいるの?』(福音館書店) ほか

書評情報

読売新聞(夕刊) 2013年1月19日
週刊金曜日 2003年8月22日号
全国革新懇ニュース 2003年8月5日号
東京大学新聞 2003年7月22日号
しんぶん赤旗 2003年7月7日
毎日新聞(朝刊) 2003年7月6日
日本経済新聞(朝刊) 2003年6月22日
京都新聞(朝刊) 2003年6月15日

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