世界 2020年10月号

【特集:攻撃する自衛隊】

世界 2020年10月号
ジャンル 雑誌 > 世界 > 定期号
刊行日 2020/09/08
■特集 攻撃する自衛隊

 憲法により私たちが政府に課している制約が、またも破られようとしている。
 専守防衛の原則のもとこれまで封印されてきた、相手の領土内の施設(「敵基地」)を攻撃する能力の保持を、政府は検討しはじめている。

 いかなる理屈をつけようと、「撃たれる前に撃つ」ことは先制攻撃にほかならず、相手の領土内を攻撃することは専守防衛に違背する。
 なにも「座して死を待つ」ことを求めるのではない。
 座していないで立ち上がり、外交を行なうべきだ。
 いかに「敵」をつくらず東アジアを安定した地域にするかを議論すべきではないか。
 平和主義を食い破る〈軍事合理性〉という妖怪と対峙するために、緊急に特集する。
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┃特 集┃攻撃する自衛隊
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〈キホンから〉
イチからわかる敵基地攻撃Q&A
半田 滋(ジャーナリスト)

〈ステージの移行〉
陸上イージスの命運はなぜ尽きたのか
藤岡 惇(立命館大学名誉教授)

〈軍産複合体の擁護者たち〉
「敵基地攻撃能力」保有論を批判する
杉原浩司(NAJAT代表)

〈オルタナティブ〉
緊急提言 敵基地攻撃能力ではなく、北東アジアの軍縮協議を
集団的自衛権問題研究会

〈犠牲の論理に抗する〉
再び戦場の島とさせないために
伊波洋一(参議院議員)

〈軍拡ではなく〉
戦争を抑止できるものは何か
池内 了(総合研究大学院大学名誉教授)

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◆注目記事
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〈座談会〉
入管政策はさらに非人道的になるのか?――法改正のゆくえ、外国人の涙
指宿昭一(弁護士)、石橋通宏(参議院議員)、モハメド・サディク(仮放免者)

〈提起〉
共犯ではないメディアのために
南 彰(朝日新聞)

〈絶望的現実〉
放送労働現場の砂漠へようこそ!
山口香津美(ジャーナリスト)

〈基地と観光〉
パンデミック下の沖縄
下地由実子(沖縄タイムス)

〈経産省の悪い企み〉
「容量市場」とは何か――原発・石炭・独占を維持する官製市場
飯田哲也(ISEP所長)

〈多様性は何故失われたか〉
現代の危機に求められる経済論争の復権
吉原直毅(マサチューセッツ大学アマースト校)

〈民主化の父?〉
台湾と中国のはざまで――李登輝の時代と遺産
本田善彦(ジャーナリスト)

〈疲弊する学校と子ども〉
コロナ禍と子どもの学ぶ権利――教育現場はいま
宮澤弘道(公立小学校教員)

〈子どものためなのか〉
オンライン教育の拡大とGIGAスクール構想が奪うもの――コロナ禍で進行する〈誰も大切にされない教育〉
中嶋哲彦(愛知工業大学)

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◇世界の潮
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◇朝鮮人犠牲者追悼式典――問われる東京都の姿勢
加藤直樹

◇「ルカシェンコ94 」をアンインストールせよ――ベラルーシ民主派の悲壮な戦い
服部倫卓

◇「つくる会」系教科書の終焉――中学校教科書採択
鈴木敏夫

◇一八歳・一九歳に「犯罪者」の烙印を押すのか――少年法改正のゆくえ
八田次郎

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◇SEKAI Review of Books
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☆未開と野蛮の民主主義
酒井隆史(大阪府立大学)

☆読書の要諦――サイエンス オポチュニストのためのコロナ
植木不等式(サイエンスライター)

☆〈新刊〉
言葉のみが死者を生かす――イーユン・リー著『理由のない場所』
宇田智子(市場の古本屋ウララ店主)

☆〈連載〉読書会という幸福【第10回】
『翻訳家多めの読書会』
向井和美(翻訳家・司書)

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●連載
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〈新連載〉
●分水嶺――ドキュメント コロナ対策専門家会議【第1回】
未知のウイルスを前に
河合香織(ノンフィクションライター)

〈新連載〉
●コロナ戦記【第1回】
永寿ケース
山岡淳一郎(ノンフィクション作家)

●沖縄(シマ)という窓
那覇軍港の浦添移設 変わる潮目
松元 剛(琉球新報)

〈核戦略の背景〉
●金正恩の選択【第2回】
挫折と「宝剣」への回帰
井上智太郎(共同通信)

〈短期連載〉
台湾群像(上)――陳舜臣、李登輝、司馬遼太郎
高橋政陽(ジャーナリスト)

〈好評連載〉----------

●プリズン・サークル【第10回】
二つの椅子
坂上 香(ジャーナリスト、映画監督)

●ポストコロナの大学論【第3回】
なぜ、移動の自由が大学の本源なのか?
吉見俊哉(東京大学)

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●脳力のレッスン【222】
ポスト・コロナの世界秩序──日本の課題と進路(中)
寺島実郎

●メディア批評【第154回】
神保太郎(ジャーナリスト)

●片山善博の「日本を診る」【131】
なぜ安倍政権のコロナ対策では失敗が続くのか
片山善博(早稲田大学)

●ソウルの夢――グローバル都市をあるく【第2回】
江南II――「江南左派」の構造
金成〓(キムソンミン)(北海道大学)

●いま、この惑星で起きていること【第10回】
オーバーヒートする地球
森さやか(気象予報士)

●お許しいただければ──「自分自身を見る」(A.G.ガードナー)
訳=行方昭夫(英文学者)

●但馬日記【第18回】
たじまの夏─―地域と芸術
平田オリザ(劇作家)

●すぐそこにある世界【第19回】
ロイヤル・ノスタルジー
師岡カリーマ・エルサムニー(文筆家)

●原発月報――(20・7~8)
福島原発事故記録チーム

●ドキュメント激動の南北朝鮮【278】(20・7~8)
編集部

●ことわざの惑星
金井真紀(イラストレーター)

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○読者投句・岩波俳句
選・文 池田澄子(俳人)

○アムネスティ通信

○読者談話室

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○表紙写真
二〇二〇年八月、東京・銀座のナイトクラブにて。撮影:加藤一生。提供:ロイター/共同イメージズ。

○デザイン
赤崎正一 + 佐野裕哉

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編集後記
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