世界 2021年2月号

【特集1:大絶滅の時代】【特集2:阿波根昌鴻 態度としての非戦】

世界 2021年2月号
ジャンル 雑誌 > 世界 > 定期号
刊行日 2021/01/08
■特集1 大絶滅の時代

 40億年近い地球の生命史の中で、これまでに5回、生物は大絶滅の時代を経験したと見られている。
 直近の大絶滅は6550万年前。
 大隕石の衝突により、恐竜をはじめ多くの生物が絶滅した。
生命史上、最大の絶滅はペルム期末の約2億5000万年前に起きた。生物種の90%以上が絶えたとされる。
 そして現在、ヒトによる環境の激変が、ペルム紀末さえ凌駕する速度で進む。
 6度目にして過去最大――地球史上最悪――となりうる大絶滅が、いま私たちの目前で、いや、私たち自身の手によって、引き起こされつつある。
 私たちの世代は、地球と他の生物種に対して何を為しているのか。
 パンデミックの時代に、生態系と自然環境をめぐる私たちの責任を考える。


■特集2 阿波根昌鴻  態度としての非戦

 近隣諸国の「脅威」を言いつのり、「安保環境の変化」と言葉を重ねて、〈剣を持つ〉ことをやめようとしない国家。
 膨張する軍備・軍事費のかげで、失われる命があり、涙と泣き声がある。

 人間とは何なのだろう。
 奪い取って生きることだろうか。
 人間の活動が根源から問われている現在、
 一つの道を示してくれる存在がある。
 阿波根昌鴻(あはごん・しょうこう、1903-2002)。

 沖縄・伊江島に一農民として生き、米軍の土地強制接収に非暴力で独自の闘いを展開した。
しかしそれにとどまらない。
 日々の生活の細部をこよなく愛し、人を助け、助けられた。
 平和のうちに生きるとはどういうことか。
 共に考えたい。
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┃特集1┃大絶滅の時代
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〈生命史上最悪の絶滅危機〉
生物多様性とは何か、なぜ重要なのか?
五箇公一(国立環境研究所)

〈新たな目標設定を〉
生物多様性条約――絶滅を避けるための国際的ツール
道家哲平(日本自然保護協会)

〈地球を撮る〉
人新世の夜明け
アンドリュー・レブキン(環境ジャーナリスト)

〈人類史の新局面〉
自由と平等のサピエンス史――そして資本主義の持続不可能性
三宅芳夫(千葉大学)

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┃特集2┃阿波根昌鴻 態度としての非戦
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〈インタビュー〉
平和とは人間の生命を尊ぶこと――阿波根昌鴻さんと私
謝花悦子(わびあいの里理事長)

〈人間への眼差し〉
その時、伊江島に一台のカメラがあった
張ヶ谷弘司(写真家)

〈資料調査から〉
常識をゆさぶる資料群――阿波根昌鴻とたたかいの記録
鳥山淳(琉球大学)

〈島ぐるみ闘争へ〉
記録の交差から始まる沖縄――阿波根昌鴻と瀬長亀次郎の日記から
新城郁夫(琉球大学)

〈暗闇の中の灯り〉
ガラクタの山を証すること
榎本空(ノースカロライナ大学チャペルヒル校博士課程)

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◆注目記事
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〈座談会〉
言語を守る闘い――モンゴル語、カタルーニャ語、クルド語をめぐって
富川力道×田澤 耕×ワッカス・チョーラク、金井真紀

〈私たちは追及する〉
◎首相の犯罪に裁きを――桜を見る会疑惑
泉澤 章(弁護士)
◎政治の私物化を断つ――森友問題 政権が隠蔽する真実を暴く
青木 泰(環境ジャーナリスト)

〈対談〉
国会論議を侮ってはいけない
荻上チキ×上西充子

〈無人島ではない、故郷だ〉
馬毛島を、知っていますか
八板俊輔(西之表市長)

〈専門知と政治〉
科学者コミュニティと科学的助言――日本学術会議をめぐって
広渡清吾(東京大学名誉教授)

〈脳力のレッスン特別篇〉
バイデンの米国と正対する日本外交の構想力
寺島実郎

〈WWFシナリオ〉
2050年、カーボンゼロ社会は可能だ
小西雅子(WWFジャパン)

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◇世界の潮
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◇オーストラリア・アフガン派遣部隊の戦争犯罪とその衝撃
杉田弘也

◇核兵器製造と銀行――世界で拡がる投資撤退
森山拓也

◇韓国検察改革の制度化とその代償
堀山明子

◇生殖補助医療の親子関連法成立――何が問題か
柘植あづみ

◇言論統制を進める台湾・蔡英文政権
本田善彦

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◇SEKAI Review of Books
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☆読書の要諦――ノンフィクション 記者たちは検察、警察とどう向きあうか
青木理(ジャーナリスト)

☆【新刊】「ケアする民主主義」とは――J.C.トロント著『ケアするのは誰か?』
牟田和恵(大阪大学)

☆【連載】読書会という幸福 第14回 泣ける本
向井和美(翻訳家、司書)

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●連載
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----〈短期連載〉-----------

●廃炉への現実的道筋を提起する――(上)汚染水の海洋放出は必要ない
筒井哲郎(プラント技術者の会)

----〈好評連載〉----------

●コロナ戦記【第5回】
危機に立つ精神医療
山岡淳一郎(ノンフィクション作家)

●分水嶺――ドキュメント コロナ対策専門家会議【第5回】
リスク・コミュニケーション
河合香織(ノンフィクション作家)

●亡所考 【第2回】
歴史のなかの〈亡所〉
北條勝貴(上智大学)

●ネグロスからの手紙――虐殺と弾圧の島で【第3回】
カリーナ、政治犯になった娘よ
クラリッサ・シングソン(人権アクティビスト)、訳・構成=木村英昭・勅使川原香世子

----〈最終回〉----------

●ソウルの夢――グローバル都市をあるく【第6回】
龍山・梨泰院――ポスト・アメリカの時代
キムソンミン(北海道大学)

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●メディア批評【第158回】
神保太郎(ジャーナリスト)

●片山善博の「日本を診る」【135】
国の新型コロナ対策がうまく進まない背景を診る
片山善博(早稲田大学)

●但馬日記【第22回】
雪中の回歴――はじめての入学試験
平田オリザ(劇作家)

●いま、この惑星で起きていること【第14回】
気候変動クロニクル2020
森さやか(気象予報士)

●沖縄(シマ)という窓
写真で追う、生まれ島の沖縄戦
山城紀子(ジャーナリスト)

●すぐそこにある世界【第23回】
 ヒジャーブ真似していいかしら
師岡カリーマ・エルサムニー

●原発月報――(20・10~12)
福島原発事故記録チーム

●ドキュメント激動の南北朝鮮【282】(20・11~12)
編集部

●お許しいただければ
秘密文書(A.A.ミルン)
訳=行方昭夫(英文学者)

●グラビア 特別招待作品――The human planet
ジョージ・スタインメッツ(写真家)

●ことわざの惑星
金井真紀(イラストレーター)

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○読者投句・岩波俳句
選・文 池田澄子(俳人)

○読者談話室

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○表紙写真
広大な湿地帯が広がるエバーグレーズ国立公園付近の住宅街。沼地から採掘した砂による埋立地。ウェストン・フロリダ、米国。
写真:ジョージ・スタインメッツ

○デザイン
赤崎正一 + 佐野裕哉 (協力=国府台さくら)

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編集後記
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