No.708『愛国心を考える』
テッサ・モーリス=スズキ
好評発売中
このブックレット『愛国心を考える』が刊行されたのは2007年のことです.
2005年に『国家の品格』(藤原正彦),2006年には『美しい国へ』(安倍晋三),『愛国の作法』(姜尚中),『愛国者は信用できるか』(鈴木邦男)がベストセラーとなっていました.2001年の9・11同時多発テロ以降,対アフガニスタン攻撃,対イラク戦争という大きな世界の出来事があり,日本周辺に限っても,小泉首相の平壌訪問によって拉致事件が明らかになりました.また,教育現場においても,教育基本法の改正をめぐって「愛国心」は大きなテーマとなっていました.
よく「いい愛国心」「悪い愛国心」という言い方をします.「偏狭なナショナリズム」というのも同じことでしょう.「君は国のために何ができるか?」あるいは時代が違えば「君は国のために死ねるか?」という問いも付随したものとして想起してしまいます.
しかし,とテッサさんは言います.愛国心において,もっとも重要な問いかけとは次の問いではないのか?と.
「愛国者を自認する人々は,自国と他国の両方にとっての恒久的な平和を築くために,貢献しようとするだろうか?」
日本の歴史のなかで,「愛国」という言葉が「攘夷」の代語として使用された歴史をふりかえり,そして「よりよい国」をめざして行動した四人のエピソードを紹介しつつ,「自分の国を愛する」とは,そこをよりよい場所にしようと努力することであり,何よりもその内実は自分自身が選択するものだ,と説きます.
じっくり読んでいただきたい一冊です.
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