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日本人は植物をどう利用してきたか
中西 弘樹 著
 
■目次
1 食材として
野生の果物/山菜から野菜へ/漬けもの/古代の穀物・マコモ/甘さを求めて――甘味植物/辛さを求めて――香辛植物/救荒植物/餅
2 健康のために
お茶/風呂を楽しむ/お灸とヨモギ/薬になる植物/不老長寿の薬草を求めて
3 日常の道具として
箸/うちわと扇子/櫛/楊枝/桶と樽/縄とむしろ/おひつとしゃもじ/下駄とぞうり/ほうき/杖
4 成分を利用する
洗う――洗剤/貼りあわせる――糊料/染める――染料/塗る――漆/磨く――研磨材/油を採る――油用植物/毒を使う――有毒植物/木炭
5 家の構成要素として
屋根/ござと畳/柱と梁/襖と障子/よしずとすだれ/生け垣/屋敷林
6 年中行事との関わり
正月/七草がゆ/節分と魔除け/桃の節句/桜と花見/端午の節句/夏を過ごす/七夕とお盆/秋の七草

■内容紹介
 伊予竹に 土佐紙貼りて あわぐれば 讃岐うちわで 至極涼しい.
 こんな歌を刻んだ石碑が,香川県丸亀市にあります.丸亀といえば,なんといっても「うちわ」ですね.金比羅参りのおみやげとしても有名な赤いうちわをはじめ,さまざまな形・デザインがあります.そのうちわが,四国の材料でつくられていたことを詠んでいるのです.「あわ」は阿波,「至極」は四国とかけた,おもしろい歌ですね.でも阿波の材料は何か,わかりません.答えは糊です.阿波が糊の産地だとは知りませんでした.
 阿波といえば,藍ですよね.600年つづく伝統で,夏にアイの葉を刈り取り,刻んで乾燥させ,水を打ち,積み上げて切り返しながら,発酵させて,12月に染料になるそうです.染料では,ムラサキ,アカネ,コブナグサなどの植物も使われています.紫,茜は色の名前になっていますが,コブナグサは何色の染料なのでしょうか?
 八丈島でつくられる黄八丈という織物の特徴である黄色を出しているのです.
 1月7日の七草がゆ,5月5日の粽や柏餅,しょうぶ湯,6月30日の茅の輪など,年中行事にも使われ,植物は日本人の暮らしに密接に関わっていました.もちろん食材にも,道具や家の建具にと使われていました.しかし,工業の発達で,それらは化学合成品に置き換わってしまい,季節感も失われています.
 エネルギーや環境問題の解決が求められるいまは,再生可能で,きれいな空気や水をうみだし,また,心をなごませてくれる植物に,目を向け直す時代ではないでしょうか.どんなふうに使ってきたかを知り,同じように使う,あるいは新しい使い方をする――そんな動きがもっともっと大きくなってほしいものです.


■著者紹介
中西 弘樹(なかにし・ひろき)
1947年生まれ.広島大学大学院博士課程修了.理学博士.
現在,長崎大学教育学部教授.植物生態学専攻.
著書に『海から来た植物』(八坂書房),『海流の贈り物――漂着物の生態学』『種子はひろがる――種子散布の生態学』(平凡社)などがある.



  表示価格は全て定価(税5%込)です.



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