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平出隆著『白球礼賛 ベースボールよ永遠に』
1989年3月刊(新赤版64)
ワールドシリーズ、日本シリーズが終わり、ベースボールのシーズンが終わった。日々テレビのナイター観戦を楽しみにしてきた者にとっては、いささかもの寂しい季節である。そんな時だからこそ、ベースボールファンのあなたにお奨めの一冊をご紹介しておきたい。
平出隆『白球礼賛』である。「ベースボールよ永遠に」というサブタイトルが付されたこの本は、詩人平出隆が少年時代から続くベースボールへの「愛」を綴ったものだ。草野球チームの監督兼三塁手としてプレーを楽しみ、アメリカの野球の殿堂クーパースタウンを訪ね、グラブやバットを作る職人さんの話を聞く。そんな野球漬けの生活を綴りながら、最後に元大リーガーでロッテで活躍したレロン・リー(来年からオリックスの打撃コーチとして日本プロ野球界に復帰するのは嬉しいことである)が彼のチームに入団するというおまけまでつくのである。全身でベースボールをたのしんでいる著者の姿が行間から伝わってきて、ベースボールファンにはたまらない本である。
以下、余談。この本を最初に手にとった時、生まれ育った時代や地域が近いこともあってだが、懐かしさと大いなる共感をもって読みふけった。この本に書かれている西鉄ライオンズの黄金時代が、日が暮れるまで校庭で野球をしていた私の小学校時代とほぼ重なっているからである。しかし、巨人軍に三年連続で勝って日本シリーズを三連覇した栄光の日々は長く続かず、「黒い霧」事件などによって池永正明らがプロ野球界から永久追放されて凋落してゆく。「野武士集団」といわれた西鉄ライオンズのようなチームは、やはりあの時代だから登場しえたのだろうか。今ふりかえると、その栄枯盛衰ぶりが石炭産業と軌を一にしているのが不思議である。
(新書編集部 平田賢一)
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