編集部だより


4月の新刊




  消費者金融 実態と救済
宇都宮健児著
(新赤版779)
 

     
   2001年の自己破産件数は16万件を突破して過去最高となりました。また多重債務者の数は、150万人から200万人は存在するだろうといわれ、多額の借金や過酷な取立てを苦にして自殺や夜逃げをする多重債務者もあとを絶ちません。経済苦による自殺者が7000人という報道もありました。

 一方で、駅前やテレビ、新聞・雑誌にはサラ金の広告があふれているのはいやでも目につきます。こうした大手サラ金業者は史上最高の利益を上げ続けており、一社の経常利益が千億から二千億といわれています。けれども、その大半が現在の普通預金金利の1450倍前後である年25〜29.2%という利息制限法に違反する金利で貸付を行っていることは、多くの消費者は知らないのではないでしょうか。

 この本ではこうした消費者金融の実態を明らかにするとともに、個人再生法、自己破産など、多重債務からの救済措置をていねいに解説します。

 著者の宇都宮先生はこの道一筋、「同情心と闘争心」をモットーとする「闘う弁護士」。
(新書編集部 山田まり)
 
     
  ■著者紹介
宇都宮健児 うつのみや・けんじ
 1946年愛媛県に生まれ、1969年司法試験に合格後、東京大学法学部中途退学、司法研修所に入所し、1971年に弁護士登録、東京弁護士会所属。弁連消費者問題対策委員会委員長、東京弁護士会副会長などを歴任し、その後、全国クレジット・サラ金問題対策協議会事務局次長、地下鉄サリン事件・KKC事件・オレンジ共済事件被害対策弁護団団長、日栄・商工ファンド対策全国弁護団などとして活躍中。
 著書に『カード破産と借金整理法』『イラスト六法 わかりやすい自己破産』(自由国民社)、『悪質商法から身を守る方法』(東洋経済新報社)、『個人再生手続の基礎知識』『自己破産のすすめ―大不況・大失業時代の借金整理法』(花伝社)ほか、多数があります。
 
     
  ■目次
はしがき

序章 身近な陥穽 ― 消費者金融
1 深刻な不況下で急増する自己破産と多重債務者/2 街にあふれるサラ金広告と無人契約機

第一章 深刻化する多重債務問題
1 「不況型」「生活苦型」の自己破産が急増/2 急増する多重債務者/3 アメリカの破産事情との比較/4 自転車操業による借金の雪だるま式増加/5 自殺・夜逃げ・ホームレス・犯罪の増加/6 紹介屋・買取屋・整理屋・提携弁護士による二次被害の急増

第二章 繁栄する消費者金融
1 深刻な不況下にもかかわらず増収増益を続ける大手サラ金業者/2 異常な高金利/3 高金利が生み出す過剰融資、押し付け融資/4 非人間的な取立てが横行

第三章 消費者金融と高利金融業者―実態と問題点
1 合法金融とヤミ金融/2 サラ金/3 信販・クレジット会社・銀行系クレジットカード会社/4 商工ローン/5 日掛け金融/6 ヤミ金融

第四章 業者繁栄を支える社会
1 あふれるCMと実態を報道しないマスコミ/2 銀行の責任/3 重い行政の責任/4 法が守られない社会

第五章 多重債務者救済への道
1 クレジット・サラ金業者の直接取立ての停止/2 任意整理―利息制限法に基づいて債務整理/3 調停―特定調停を利用/4 個人再生手続―新しい救済法/5 自己破産/6 借金をめぐる諸問題/7 困ったときの相談先

第六章 急がれる法律・制度の見直し
1 異常高金利の早急な見直しを/2 出資法の改正―出資法の上限金利の引き下げ/3 利息制限法の改正―利息制限法の制限利息の引き下げ/4 統一消費者信用法の制定/5 消費者・多重債務者のための破産法改正/6 サラ金のテレビCMの中止/7 ヤミ金融の徹底的な取締り/8 相談窓口の拡充と情報の普及/9 低利融資制度や社会保障制度の充実/10 子どものときから本当の消費者教育を

 
  ■岩波新書にはこんな本もあります  
 
経済刑法 芝原邦爾著 新赤版670
特捜検察 魚住昭著 新赤版524
プライバシーと高度情報化社会 堀部政男著 新赤版14
民法のすすめ 星野英一著 新赤版536
 
 
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