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本を読む、新聞を読む、メモをとる、手紙を書く。ふだん何気なくしていることですが、そのときどの方向に向かって文字を追っているか――これを「書字方向」といいます。本書はその書字方向に注目して、いかにして日本語に横書きが登場し、使われるようになったかを精緻に検証していく、異色の近代日本語史です。
今、私たちは、右から左へと行が移っていく縦書きと、左から書く横書きとをあわせて使っています。この使い方が定着したのはいつ頃からなのでしょうか。「日本古来の横書きは右から書く」「左横書きは戦後、国の政策として行なわれた」等々の「常識」が頭に浮かんできませんか? 実はこれらは「現代の伝説」に過ぎなかったのです。
それらを実証する、系統的な調査にもとづく資料は、浮世絵、蘭学書、明治にはいっての新聞、雑誌から電車の切符、切手、教科書等々にまで至る膨大なもの。事実によって「常識」がくつがえされ、新たに「横書き登場」のプロセスが浮かび上がってくるところは、まるで推理小説のようにスリリングです。
本書は2001年7月から翌年8月まで『図書』で連載され、大変好評だった「縦書き・横書きの日本語史」の前半部分を全面的に書き改めたものです。改稿の過程で、さらに多くの調査結果が加わり、過去・現在・将来の日本語表記のあり方を見通したものとなりました。
(新書編集部 早坂ノゾミ)
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