編集部だより


12月の新刊




  アメリカ 過去と現在の間
古矢 旬著
(新赤版912)
 
 
   9・11事件からアフガン戦争、そしてイラク戦争へと突き進み、現職大統領を選挙で勝利させたアメリカを、どう理解したらよいのか――。この数年、世界中で、実に多くのアメリカ論が発表されています。アメリカを帝国としてとらえるもの、「ネオコン」というグループに着目するもの、宗教右翼に焦点をあてるものなど、日本でもいろいろあるようですが、たしかに書店に行きますと、「アメリカ論ブーム」ではないかと思うほどの本が並んでいます。

 そうした数多あるアメリカ論の盲点を突いたのが、この新書、と言ってよいかもしれません。この本では、アメリカを多層的な過去の累積の上で成立していると考えます。つまり、9・11以後のアメリカを、たまたま政権を握っているブッシュや共和党の思想や現在のアメリカ社会の動向だけで考えるのではなく、建国以来の歴史的な文脈の中でとらえなおしてみよう、というものです。

 著者が、現在のアメリカから取り出すのは、「ユニラテラリズム」「帝国」「戦争」「保守主義」「原理主義」という五つの問題群。これらを、それぞれの起源へとさかのぼりながら、アメリカと世界との関係に光をあてていきます。骨太で重厚なアメリカ論です。あの国を深く考えてみたいという方は、ぜひご一読をおすすめします。
(新書編集部 小田野耕明)
 
 
     
 

■著者紹介
古矢 旬(ふるや・じゅん)氏は、1947年東京生まれ。東京大学大学院法学政治学研究科博士課程を経て、現在は、北海道大学大学院法学研究科教授。アメリカ政治外交史を専門とする。
著書に『アメリカニズム――「普遍国家」のナショナリズム』(東京大学出版会)、訳書に『自由の女神のもとへ』(ジョン・ハイアム著、共訳、平凡社)がある。

 
     
  ■目次
はじめに
 
  I  ユニラテラリズム――アメリカ対外活動の論理  
  1 孤立主義と国際主義
2 理想主義と現実主義
3 ブッシュ的ユニラテラリズムの条件
  II  帝国――普遍国家の逆説  
  1 「帝国」の原型――フレンチ・インディアン戦争以後
2 「帝国」と「国民国家」の間――膨張の一九世紀
3 「海洋帝国」の出現――米西戦争以後
4 「帝国」の逆説――冷戦と二つの戦争
5 「帝国」の行方――9・11事件以後
  III  戦争――軍事組織とデモクラシー  
  1 憲法と戦争
2 民兵から常備軍へ
3 「帝国」の軍隊
4 新しい戦争
  IV  保守主義――「ネオコン」の歴史的文脈
 
  1 リベラル社会における保守
2 競争社会と保守主義
3 アメリカ保守主義の誕生
4 保守主義の将来
  V  原理主義――アメリカ的思考のパターン
 
  1 アメリカ理解の鍵としての原理主義
2 キリスト教原理主義の起源
3 政治化する原理主義
4 アメリカ的思考様式とは何か
  あとがきにかえて
参考文献
 

  ■岩波新書にはこんな本もあります  
 
アメリカ外交とは何か 西崎文子著 新赤版898
ブッシュのアメリカ 三浦俊章著 新赤版844
デモクラシーの帝国 藤原帰一著 新赤版802
イラク 戦争と占領 酒井啓子著 新赤版871
イラクとアメリカ 酒井啓子著 新赤版796
ニューヨーク 亀井俊介著 新赤版775
 
 
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