編集部だより






  鍼灸の挑戦―自然治癒力を生かす
松田博公著
(新赤版932)

 
 
   鍼灸は、中国の伝統医学をもとに体系化された治療法です。はり1本、ひとつまみのモグサで万病に対処し、時には奇跡的な治癒をもたらす鍼灸は、現代医学が不得意な慢性疾患をかかえる人が増えるなか、高い関心を集めています。低コストの省資源医療としてWHOも推奨し、欧米政府も注目するなど、もはやアジアだけのものではなく、100カ国以上で臨床に応用され世界で最も広く普及している伝統医療です。

 本書は、ジャーナリズムが初めて本格的に鍼灸術という未開拓の分野にわけいったルポルタージュです。自身、鍼灸師の資格をもち、20年間鍼灸術について学んだ著者が、5年をかけて北海道から九州まで約80人の鍼灸師・医師を探訪し、共同通信加盟社に「からだに優しく 新はり・きゅう物語」「はりきゅうで元気 東洋医学探訪」「鍼灸 もうひとつの医療」という3回の連載ルポを配信しました。好評をもって迎えられた計100回の記事に加筆し再構成したのがこの本です。

 鍼灸術とはなにか、鍼灸家はなにをしているのか、鍼灸の担い手はどのような思想や理念をもち、どんな生き方をしている人たちなのかを臨床現場からとらえ、患者さんの鍼灸師選びに、鍼灸を学ぶ学生の指南に、理想の鍼灸を追求する鍼灸家の模索に役立つ内容となっています。西洋医学と並ぶ「もうひとつの医療」の実像を知りたいとお考えのすべての方にご一読をおすすめいたします。

(新書編集部 太田順子)
 
 
     
 

■著者紹介
松田博公(まつだ・ひろきみ)氏は、1945年神戸市近郊に生まれ。鍼灸師・鍼灸ジャーナリスト。2005年1月まで共同通信編集委員。女性運動、子ども、思想、宗教、医療などを取材する傍ら、東洋鍼灸専門学校で学んだ。
 著書に対談『果てしない教育?』、同『教育という謎』(ともに北斗出版)。論文に「八尾比丘尼の足跡」、「フーコーに出逢う旅」、「天と地が交わり、人が生まれる。鍼灸師のからだをいかに作るか」

 
     
  ■目次
 プロローグ―なぜいま鍼灸か

 
  1 鍼灸―自然治癒力の医術
 
 
  2 経絡とツボの不思議
 
 
  3 わざの世界
 
    第1節・診断法を磨く
  第2節・秘伝を超えて

 
  4 鍼灸を科学する
 
 
  5 自律神経免疫療法の誕生
 
 
  6 お灸の里づくり
 
 
  7 いのちを守り育てる
 
 
  8 生き方の医学
 
 
    あとがき
 ■巻末資料 本書に登場する鍼灸師・医師
 イラスト すすむてつろう
 

  ■岩波新書にはこんな本もあります  
 
生活習慣病を防ぐ―健康寿命をめざして 香川靖雄著 新赤版679
中国医学はいかにつくられたか 山田慶兒著 新赤版599
ダルマの民俗学―陰陽五行から解く 吉野裕子著 新赤版378
腸は考える 藤田恒夫著 新赤版191
健康ブームを問う 飯島裕一編著 新赤版723
 
 
 



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