「お墓」とは何なのだろうか?
「お墓」といったとき、現代ではたいていの人が思い浮かべるのは、表面に「○○家之墓」と刻まれた四角い石塔ではないでしょうか。その下部の空間(カロウトという)に遺骨を納め、お盆やお彼岸にはお参りをして先祖の霊を慰める……その上で、「家のお墓を誰が守るか」「いや、昔風に『家』にこだわるのは古いんじゃないか」と、「お墓」をめぐる議論も盛んに行われているようです。
そうした議論の根本にある「『お墓』に先祖の霊を祀る」という考え方自体に疑問を投げかけ、民俗学の眼でもう一度検証してみよう、日本古来の伝統とされる死者を祀る儀礼の意味、つまるところ「お墓」とは何なのかを見直してみよう、ということをめざして本書が生まれました。
まずはお盆の迎え火・送り火の習俗から観察を始めます。そして、夭折した者たち――戦前に多かった嬰児・子供の死と、とりわけ第二次大戦の多くの戦死者――はどう祀られたかまでを、著者の手になる沢山の写真とともに見ていきましょう。
著者は気鋭の民俗学者。日本の各地を廻り、お盆や葬儀、埋葬の調査を積み重ねてきました。少しずつかたちを変えながらも現在まで行われているさまざまな死者祭祀の現実の例から照らし出されることで、民俗学上の通説も、私たちの「常識」も、また違った様相をみせていく……思い込みを排して現実を見ることから始まる学問の醍醐味を読み取っていただければと思います。
(新書編集部 早坂ノゾミ)
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