編集部だより






 

森の力―育む、癒す、地域をつくる
浜田久美子著
(新赤版1153)

 
 
 

 幼児教育、セラピー、林業、木造建築復興……各地の現場からの報告

 「森」という言葉に、イメージを喚起されない人はいないでしょう。では、「森と関わる」というとき、どんなことを想像しますか? 本書は、森との新しい関わり、自然を相手に仕事をすることを模索する各地の人びとの実践を伝えるレポートです。

 手入れ不足による人工林の荒廃や後継者難の林業など、日本の森が抱える問題―それは戦後の日本社会の歩みの反映でもありますが―を越えて、活路を見出そうと地道な挑戦をつづける方々は、森に何を見ているのでしょうか。その活気あふれる現場へご案内します。

 
 
 

■著者からのメッセージ
 環境における森の価値が(温暖化防止や炭素固定に集中しがちだが)、大きくクローズアップされている21世紀。森を守る、森を増やすという言葉を実によく目にする。

 本当に森が必要不可欠で、それを十分に保ちたいと思うのならば、まず、私たち人間の側の力量を上げなければならないと思う。

 そして、森に対する人間の力量を上げるには、結局森に入るのが一番近道だと思う。スタイルもやり方も頻度もさまざまでいい。でも、利用することを含め、森に触れ、森を学ぶしか手立てはないと言っていい。森を知らずして、森の十全な存続などありえないからだ。

 しかし、そこには必ず大きな副産物がある。私たちが森に働きかければ、私たちの心は森からの働きかけを必ず受け取る。この本は、森にさまざまな働きかけをした方たちが、どんなふうに森から働きかけられ、それを受け取ったかに焦点をあてて書いたものだ。ぜひ本物の森に入ろう。そこから受ける恩恵を物心両面、ありがたくいただこう。そこで身につけた力は、やがて必ず森に還元されていく。

(著者)
     
 

■著者紹介
浜田久美子(はまだ・くみこ)作家。東京生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。精神科カウンセラーを経て、木のもつ力に触れたことから森林をテーマとした著述業に転身。森林や木と自分たちの暮らしがつながっていることが、人にとっては安定を、森にとっては安泰をもたらすという視点から活動。
  主な著書に『森をつくる人びと』『木の家三昧』『森のゆくえ―林業と森の豊かさの共存』(以上、コモンズ)、『森がくれる心とからだ』『スウェーデン 森と暮らす』(以上、全国林業改良普及協会)など。

     
 

■目次
 はじめに

 
 
T
育つ  
 

第1章 森の幼稚園は五感のゆりかご―感情を深くためる身体に
第2章 高校生、森の名人に出会う―「森の“聞き書き甲子園”」というチャンス

 
U
つながる  
 

第3章 わが町で豊かに暮らし続けたい―森林セラピーで地域づくり
第4章 みんなで「森の健康診断」―人工林と森林ボランティア

 
III
生み出す  
 

第5章 森の恵みを生かすビジネスを―森林バイオマスの可能性
第6章 森のプロを育てたい―「林業トレーナー」の挑戦

 
IV
引き継ぐ  
 

第7章 街と山をつなぐ大工たち―地域の材を使いたい
第8章 種をまく人たち―木を知る建築士を育てる

 

 おわりに―森と暮らしの戦後史、私的概観
 ◆もっと知りたい人のために

 

  ■岩波新書にはこんな本もあります  
 
木造建築を見直す 坂本 功 新赤版672
地域の力―食・農・まちづくり 大江正章 新赤版1115
地域再生の条件 本間義人 新赤版1059
世界森林報告 山田 勇 新赤版999
森の紳士録―ぼくの出会った生き物たち 池内 紀 新赤版970
 
 
 



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