■著者からのメッセージ
本書がテーマにしてきたのは……日本近現代の時間や主体が自壊していく過程である。この過程を促してきた最大のモメントはグローバリゼーションだが、国内的にみるならば、高度成長期からの開発の徹底、地域開発からリゾート開発への流れのなかで列島の自然は深刻なダメージを受け、これに産業空洞化が追い打ちをかけた。家族レベルでは、果てしなく広がる郊外に自閉する核家族のなかで、若者たちは内的自我を空洞化させてきた。新自由主義は、「豊かさ」の幻想を打ち砕き、「格差」の現実を私たちに突きつけている。
「戦後」から「ポスト戦後」への転回は、同じ日本史のなかの段階移行なのではない。むしろそうした歴史の主体の自明性がぐらつき、空洞化しているのである。私たちは〈歴史〉を語る実践を手放したいとは思わないが、「日本史」がもはや不可能になる時代を生きている。
だから本書は、通常よくある「ドル危機とオイル・ショック」「日中国交正常化」「高度成長から安定成長へ」「昭和から平成へ」「バブル経済と平成不況」「55年体制の崩壊」といった変化の時間的連続としては歴史を語らない。そのような連続性そのものが問われていると考えるからだ。70年代半ば以降、過去からの連続性としての歴史がどう壊れてきたのかを、本書は多面的に考えてみようとした。
(本書「あとがき」より) |