編集部だより






 

イワシと気候変動―漁業の未来を考える
川崎 健著
(新赤版1192)

 
 
 

 海と魚の持続可能な利用を考えるために

 大漁・不漁を左右するのは海の魚の数です。では、その魚の数が地球の大気や海と連動し数十年スケールで変動していることをご存じでしょうか? この現象は「レジーム・シフト」と呼ばれ、1983年、著者によって世界で初めて見出されました。1990年代以降、レジーム・シフト研究は、水産資源学・海洋生物学・気象学・気候学・海洋物理学をふくむ広大な分野で最先端の研究領域として大きく発展しました。本書は、世界的に進展したこれらの研究成果を踏まえ、これからの海と海洋生物資源の持続可能な利用のあり方に明確な方向性を示したものです。

 「大漁・不漁の科学」が拓いた、この新たな地球環境像に触れたあと、現在の海の管理のあり方、漁業のあり方を改めて見ると、その落差に軽いめまいさえ覚えます。人も生態系の一部として生きるしかない以上、現状を支える法的根拠である国連海洋法条約や国際漁業協定などは切実に見直されなければならない、と納得していただけるのではないでしょうか。

(新書編集部)
     
 

■著者紹介
川崎 健(かわさき・つよし)1928年、中国福建省福州市生まれ。東北大学名誉教授。農学博士。専門は海洋生物資源の動態。1950年、東北大学農学部水産学科卒、74年まで水産庁水産研究所に勤務。74年東北大学農学部助教授に。75年より農学部教授(85〜89年農学部長)。91年、停年により退官。92〜93年・99〜2000年、国立台湾海洋大学客員教授。96〜98年、台湾省水産試験所客員研究員。現在、那珂川関係漁業協同組合協議会の設置した「那珂川の魚類・生態系影響評価委員会」委員長。
著書は『浮魚資源』(恒星社厚生閣)、『魚の資源学』(大月書店)、『海の環境学』(新日本出版社)、『漁業資源―なぜ管理できないのか(二訂版)』(成山堂書店)、『レジーム・シフト―気候変動と生物資源管理』(共編著、成山堂書店)など多数。2007年「畑井メダル」受賞。

     
 

■目次

 
     
 
序 章
 海と漁業で何が起こっているのか  
 


 
第1章
 イワシが消えた  
 


 
第2章
 プランクトンからマグロまで―海洋生態系の大変動  
 


 
第3章
 海は気候を記憶する  
 


 
第4章
 地球はひとつのシステム  
 


 
第5章
 分断された海で―国連海洋法条約と漁業  
 


 
第6章
 日本の漁業はいま  
 


 
終 章
 海から、持続可能性を考える―温暖化とレジーム・シフト  
 

 


  ■岩波新書にはこんな本もあります  
 
ウナギ 地球環境を語る魚 井田徹治著 新赤版1090
エビと日本人 村井吉敬著 新赤版20
エビと日本人II―暮らしのなかのグローバル化 村井吉敬著 新赤版1108
タンパク質の一生―生命活動の舞台裏 永田和宏著 新赤版1139
カラー版 知床・北方四島―流氷が育む自然遺産 大泰司紀之・本間浩昭著 新赤版1135
 
 
 



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