編集部だより






 

教科書の中の宗教―この奇妙な実態
藤原聖子著
(新赤版1313)

 
 
 

 日本人が教わってきた〈不思議な〉宗教

 学校教育で叩き込まれた知識や価値観というのは強固で、その縛りから自由になるのはなかなか難しいものです。私自身、今回、自分の宗教に関する理解が、世界の「常識」と照らし合わせていかに偏っているか、初めて気づかされてまさに目からウロコでした。同時に、各国の教科書や授業実践の工夫には大いに感心させられ、今からでもそういった刺激的な授業で学びなおしたい思いです。

 あらためて、宗教を学ぶとはどういうことなのか、何のために宗教を学ぶのか、といったことをしみじみと考えさせられる一冊です。

 本書を通して、多くの方々に私の驚きを共有していただければ幸いです。

     
 

■著者からのメッセージ

 よく、「日本人は宗教に無関心」と言いますが、そんな日本人の多くが共有していそうなものがあります。それは、「キリスト教と言えば?」―「愛!」、「仏教と言えば?」−「慈悲!」という、宗教の〈ひとこと定義〉です。言ってみれば、宗教に関する日本人の〈常識〉です。育てたのは、教会やお寺よりもむしろ学校教育のようです。試しに大学入試センター試験で「世界史」や「現代社会」や「倫理」を選択した受験生に聞いてみてください。「イスラームと言えば服従です」という“おまけ”もついてくるでしょう。

 この本でお伝えしたいのは、そういった宗教理解や教え方は、実は世界では常識ではないということです。世はグローバル化だ、世界の宗教について常識程度の知識はあった方がいい、と言われていますが、今の教育スタイルのままでは、宗教の学習を強化しても逆効果になりかねません。なぜそんなことになったのか、どうしたらよいのかを筋道立てて論じます。

     
 

■著者紹介
藤原聖子(ふじわら・さとこ)1963年東京都生まれ。東京大学文学部卒業、シカゴ大学大学院博士課程修了(Ph.D.)。現在、東京大学大学院人文社会研究科基礎文化研究専攻・文学部思想文化学科宗教学宗教史学 准教授。専門は、比較宗教学。
著書―『「聖」概念と近代』『三大宗教 天国・地獄QUEST』(以上、大正大学出版会)、『宗教学キーワード』(共著、有斐閣)、『岩波講座宗教1 宗教とはなにか』(共著、岩波書店)、『現代アメリカ宗教地図』(平凡社新書)、『世界の教科書でよむ〈宗教〉』(ちくまプリマー新書)など。

     
  ■目次   
     
 

 はじめに

 
 
1章
 教科書が推進する宗教教育―日本は本当に政教分離か  
 


 
2章
 なぜ宗派教育的なのか  
 


 
3章
 教科書が内包する宗教差別  
 


 
4章
 なぜ偏見・差別が見逃されてきたのか  
 


 
5章
 海外の論争と試行錯誤  
 


 
6章

 宗教を語りなおすために

 
 


 

 あとがき

 主要文献

 

  ■岩波新書にはこんな本もあります  
 
神々の明治維新―神仏分離と廃仏毀釈 安丸良夫著 新赤版103
良心の自由と子どもたち 西原博史著 新赤版993
日本宗教史 末木文美士著 新赤版1003
聖書の読み方 大貫 隆著 新赤版1233
国家神道と日本人 島薗 進著 新赤版1259
 
 
 



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