編集部だより






 

原発訴訟
海渡雄一著
(新赤版1337)

 
 
 

 司法は「原発」をどう裁いてきたか

 「原発訴訟」とは、原発の建設や運転を止めるため、国や電力会社を相手に闘ってきた裁判のことです。著者は弁護士として30年以上、脱原発の立場からこのような訴訟を手がけてきました。原告勝利のもんじゅ控訴審や、係争中の浜岡原発訴訟なども担当しています。

 本書では、代表的な原発訴訟の歴史を振り返り、原発の安全性・耐震性の問題について詳しく説明しています。また、福島第一原発事故に伴う損害賠償の仕組みや、原発での労働災害の実態についても紹介し、これから法制度をどう変えていかなければならないのか、展望を示します。

(新書編集部 安田 衛)
     
 

■著者紹介
海渡雄一(かいど・ゆういち)1955年生まれ。弁護士。81年弁護士登録。第二東京弁護士会所属。日弁連事務総長(2010年4月−)。
著書―『監獄と人権』(明石書店、1995年)、『監獄と人権2』(同、2004年)、『共謀罪とは何か』(共著、岩波ブックレット、2006年)、『憲法の危機をこえて』(共著、明石書店、2007年)、『刑務所改革─刑務所システム再構築への指針』(共編著、日本評論社、2007年)ほか。
主な論文―「もんじゅ訴訟」(日本弁護士連合会行政訴訟センター編『最新重要行政関係事件実務研究』、青林書院、2006年)、「原子力問題と環境」(吉村良一ほか編『新・環境法入門』、法律文化社、2007年)、「原子力発電所をめぐる訴訟」(日本弁護士連合会公害対策・環境保全委員会編『公害・環境訴訟と弁護士の挑戦』、法律文化社、2010年)。

     
  ■目次   
     
 

 はじめに―「原発訴訟」とはなにか

 
 
第1章
原発の安全性を問う  
 

1 行政訴訟の枠組み―伊方最高裁判決の意義
2 矛盾に気づき始めた裁判官たち
3 初の原告勝利判決―もんじゅ控訴審判決
4 逆転敗訴のもんじゅ最高裁判決
5 もう一つの勝利判決―志賀原発2号炉金沢地裁判決

 
第2章
原発は大地震に耐えられるか  
 

1 浜岡原発訴訟―静岡地裁判決までの経緯
2 最高裁のダブルスタンダード―柏崎原発訴訟
3 核燃料サイクル施設の危険性―青森県六ヶ所村
4 地震・活断層と各地の原発
a 北海道・泊原発/b 青森・大間原発/c 東北太平洋沿岸/d 福井・敦賀湾一帯/e 島根原発/f 山口・上関原発(建設計画中)/g 愛媛・伊方原発/h 佐賀・玄海原発/i 鹿児島・川内原発

 
第3章
福島原発事故と東京電力  
 

1 東京電力の危険な“体質”
a 再循環ポンプ損傷事故/b プルサーマルをめぐる闘い/c 東電トラブル隠しと刑事告発
2 本当に「想定外」だったのか
3 被災者のための損害賠償―ADRの積極活用を

 
第4章
被曝した労働者、住民たち  
 

1 原発と労災
a 浜岡原発作業員の労災認定/b 考慮されなかった内部被曝/c 労災認定でも損害賠償は認められず
2 東海村JCO臨界事故・健康被害裁判
3 被曝住民と労働者の権利確立を

 
終 章
脱原発のための法的課題―福島原発事故を最後とするために  
 

1 司法の失敗
2 原子力安全行政をどう改革するか
3 脱原子力へ―いま、すべきこと

 

 あとがき
 コラム 日本で運転されている原発の種類/高木仁三郎先生と原子力訴訟

 

  ■岩波新書にはこんな本もあります  
 
プルトニウムの恐怖 高木仁三郎 黄版173
原発事故はなぜくりかえすのか 高木仁三郎 新赤版703
大地動乱の時代―地震学者は警告する 石橋克彦 新赤版350
原発を終わらせる 石橋克彦編 新赤版1315
福島 原発と人びと 広河隆一 新赤版1322
 
 
 



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