編集部だより






 

就職とは何か―〈まともな働き方〉の条件
森岡孝二著
(新赤版1338)

 
 
 

 就職前後の実態がよく分かる、怒りと励ましの書

 「就職新氷河期」のなかで、「就活」に振り回される学生たち。大学3年生の中頃から走り回っても、5人に1人は定職に就けないまま卒業しています。採用内定が出ても、待ち受けているのは働きすぎで、正社員から逃げ出せば非正規の仕事しかありません。

 本書では、こうした就職前と就職後をつないで、〈まともな働き方〉の条件を問い直します。学生と若者に焦点を絞りつつも、働き盛りの世代にも、また、親や教員、採用側の企業関係者にもぜひ手に取っていただきたい一冊です。

     
 

■著者紹介
森岡孝二(もりおか・こうじ)1944年大分県生まれ。香川大学経済学部卒業。経済学博士。69年、京都大学大学院博士過程退学、83年、関西大学経済学部教授、現在に至る。専門は、企業社会論、労働時間論。株主オンブズマン代表。大阪過労死問題連絡会会長、働き方ネット大阪会長。
著書―『企業中心社会の時間構造』(青木書店)、『日本経済の選択』、『強欲資本主義の時代とその終焉』(以上、桜井書店)、『働きすぎの時代』(岩波新書)、『貧困化するホワイトカラー』(ちくま新書)など多数。
共訳書―J・B.ショア―『働きすぎのアメリカ人』(窓社)、J・B.ショア『浪費するアメリカ人―なぜ要らないものまで欲しがるか、J・A.フレイザー『窒息するオフィス 仕事に強迫されるアメリカ人、D・K.シプラー『ワーキング・プア―アメリカの下層社会(以上、岩波書店)など。

     
  ■目次   
     
 

 はじめに

 
 
第1章
就職氷河期から新氷河期へ  
 

大学生の就活スケジュール/筆記試験で試されるパーソナリティ/増える就活うつと就活自殺/若者の高い失業率と若年産業予備軍/過去最悪の内定率とその読み方/大卒者の進路の内訳と就職率の長期的推移/長期不況と波状的リストラ

 
第2章
就活ビジネスとルールなき新卒採用  
 

栄える就活ビジネスと説明会ツアー/保護者を巻き込むいまどきの就職活動/見直しが迫られるインターンシップ/定期採用という日本独特の制度/就職協定の紆余曲折/自粛とは名ばかりの倫理憲章/日本学術会議の問題提起/経済界の大勢は早期化是正に向かう/動き始めた大学団体と問われる日本経団連

 
第3章
雇われて働くということ  
 

学生の企業選択の建前と本音/初任給とは何だろう/雇用とは何だろう/パート社員が増えて「正社員」が生まれた/労働組合はダサくない/派遣労働について知っておこう

 
第4章
時間に縛られて働くということ  
 

見かけの時短は進んだが、正社員は今も働きすぎ/あなたは年休を何日取りますか/社会人基礎力とは残業実行力のことか/増える若者の過労自殺/外食産業で起きた新入社員の過労死/三六協定について知っておこう

 
第5章
就職に求められる力と働き方  
 

就職部がキャリアセンターになった/小学校からのキャリア教育/企業は採用選考で何を重視しているか/仕事に必要なハードのスキルとソフトのスキル/社員の常識が会社を救う/賢く働くための労働知識/雇い主に対抗するための組織/内定取消は解雇にあたる/働き方をめぐる三つの神話

 
終 章
〈まともな働き方〉を実現するために  
 

〈まともな働き方〉を求めて/働き方はなぜ改善されないのか/過重労働の防止に有効な規制を/政治は何をなすべきか/まともな働き方の四条件/解決の糸口はワークシェアリング

 

 あとがき
 主要参考文献

 

  ■岩波新書にはこんな本もあります  
 
労働法入門 水町勇一郎 新赤版1329
ルポ 雇用劣化不況 竹信三恵子 新赤版1181
反貧困―「すべり台社会」からの脱却 湯浅 誠 新赤版1124
労働ダンピング―雇用の多様化の果てに 中野麻美 新赤版1038
働きすぎの時代 森岡孝二 新赤版963
過労自殺 川人 博 新赤版553
 
 
 



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