編集部だより






 

マルティン・ルター ―ことばに生きた改革者
徳善義和著
(新赤版1372)

 
 
 

 自覚なき改革者

 日本の政界にかぎらず、「改革、改革」と声高に叫ぶ人物ほど、その実、改革を遅らせたり、およそ改革とは逆の行動をとるものであるのは、古今東西を問わないようです。本当の改革者は、一見無縁にも見える、ごく普通の生活者たちの中にこそいるのかも知れない。本書の原稿を読んでいて、そんなことを考えました。今では教科書にも載る歴史的人物として語られるマルティン・ルターですが、宗教改革という歴史の表舞台に立ったとき、彼はドイツの片田舎に暮らす一介の修道士にすぎませんでした。聖書を読むこと以外、何も知らない自分なのに、気がついたら歴史の大渦のど真ん中に放り込まれていた。どうも、そんな印象を受けます。そういう話を著者の徳善先生にしたところ、「ルターにはたぶん、“改革者”という自覚は、ほとんどなかったんじゃないですか」とのことでした。人の生涯とは、歴史とは面白いものだなと感じさせられる本です。

(本書編集担当)
     
 

■著者紹介
徳善義和(とくぜん・よしかず)1932年東京生まれ。1954年東京大学工学部卒業、1957年日本ルーテル神学校卒業。専攻は、歴史神学(宗教改革)。現在、ルーテル学院大学、ルーテル神学校名誉教授。
 著書に、『マルチン・ルター 生涯と信仰』、『キリスト者の自由 訳と注解』(教文館)ほか。
 訳書に、『ルター著作選集』(教文館、共訳)、『ルター著作集』(聖文舎、共訳)ほか。

     
  ■目次   
   
 
 
序 章
ことばに生きる  
 
 
第1章
ことばとの出会い  
  1 父と子
2 修道士として
3 一点突破
   
 
第2章
ことばが動き始める  
  1 町と人びと
2 全面展開
3 九五箇条の提題
   
 
第3章
ことばが前進する  
  1 嵐の中で
2 聖書を民衆の言葉に
3 宗教改革とは何か
   
 
第4章
ことばが広がる  
  1 語るルター
2 歌うルター
3 生活の新しい姿
   
 
第5章
ことばを受けとめる  
  1 危機と限界
2 聖書を読みつづける
   
 
終 章
ことばに生きた改革者  
 
 

 引用・参考文献
 ルター略年譜
 あとがき

 

  ■岩波新書にはこんな本もあります  
 
聖書の読み方
大貫 隆 新赤版1233
イエスとその時代 荒井 献 青版C-158
離散するユダヤ人―イスラエルへの旅から 小岸 昭 新赤版489
ニーチェ 三島憲一 黄版361
ヨーロッパとは何か 増田四郎 青版D-14
 
 
 



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