編集部だより






 
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ポスト資本主義 科学・人間・社会の未来
広井良典著
(新赤版1550)

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 今を、希望ある移行期とできるか

■著者からのメッセージ

 ……資本主義というシステムが不断の「拡大・成長」を不可避の前提とするものだとすれば、そうした移行は、何らかの意味で資本主義とは異質な原理や価値を内包する社会像を要請することになるだろう。こうした文脈において、「ポスト資本主義」と呼ぶべき社会の構想が、新たな科学や価値のありようと一体のものとして、思考の根底にさかのぼる形で今求められているのではないか。

 また、幸か不幸か、人口減少社会として“世界のフロントランナー”たる日本は、そのような成熟社会の新たな豊かさの形こそを先導していくポジションにあるのではないか。

 そうした可能性のビジョンを描くことが、本書の基本的な趣旨に他ならない。

(「はじめに」より)
     
 

 「ポスト資本主義」という本書のタイトルから、(特に一定以上の上の世代の人の中には)「資本主義の打倒!」といった意味での“革命”的な内容を想像する人もいるかもしれないが、それは正しくない。しかしながら、ポスト資本主義への移行は、ここ数百年続いた「限りない拡大・成長」への志向から「定常化」への“静かな革命”であり、今後21世紀を通じて人々の意識や行動様式を変えていく――同時にその過程で様々な葛藤や対立や衝突も生じうる――、真にラディカル(=根底的)な変化であるだろう。

 同時にそれは、必ずしも抽象度の高い理論や社会システムとしてのみ現象するものではなく、もっともシンプルに言えば、「歩くスピードを今よりもゆっくりさせ、(未来世代を含む)他者や風景などに多少の配慮を行うこと」といった、ごく日常的な意識や行動に根差すものだ。

(「あとがき」より)
     
 

■著者紹介
広井良典(ひろい・よしのり)1961年岡山市に生まれる。1984年東京大学教養学部卒業(科学史・科学哲学専攻)、1986年同大学院総合文化研究科修士課程修了。厚生省勤務をへて、1996年より千葉大学法経学部(現・法政経学部)助教授、2003年より同教授。この間(2001-02年)マサチューセッツ工科大学(MIT)客員研究員。専攻は公共政策及び科学哲学。
 著書に『日本の社会保障』(岩波新書、エコノミスト賞受賞)、『定常型社会』(岩波新書)、『生命の政治学―福祉国家・エコロジー・生命倫理(岩波現代文庫)、『グローバル定常型社会』(岩波書店)、『脱「成長」戦略 新しい福祉国家へ 『知の現在と未来―岩波書店創業百年記念シンポジウム(以上2著、共著、岩波書店)、『ケアを問いなおす』『死生観を問いなおす』『創造的福祉社会』(以上3著、ちくま新書)、『コミュニティを問いなおす』(ちくま新書、大佛次郎論壇賞受賞)、『アメリカの医療政策と日本』『生命と時間』(以上2著、勁草書房)、『ケア学』(医学書院)、『人口減少社会という希望』(朝日選書)ほか多数。

     
  ■目次   
     
   はじめに―「ポスト・ヒューマン」と電脳資本主義  
     
 
序章
人類史における拡大・成長と定常化―ポスト資本主義をめぐる座標軸  
  * * *
 
第I部
資本主義の進化  
  第1章 資本主義の意味
第2章 科学と資本主義
第3章 電脳資本主義と
     超(スーパー)資本主義 vs ポスト資本主義
   
 
第II部
科学・情報・生命  
  第4章 社会的関係性
第5章 自然の内発性
   
 
第III部
緑の福祉国家/持続可能な福祉社会  
  第6章 資本主義の現在
第7章 資本主義の社会化またはソーシャルな資本主義
第8章 コミュニティ経済
  * * *
 
終章
地球倫理の可能性―ポスト資本主義における科学と価値  
   
   参考文献
 あとがき

 

  ■岩波新書にはこんな本もあります  
 
定常型社会―新しい「豊かさ」の構想
広井良典著 新赤版733
成熟社会の経済学―長期不況をどう克服するか 小野善康著 新赤版1348
現代社会の理論―情報化・消費化社会の現在と未来 見田宗介著 新赤版465
世界共和国へ―資本=ネーション=国家を超えて 柄谷行人著 新赤版1001
科学者が人間であること 中村桂子著 新赤版1440
 
 
 
 
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