科学

2013年4月22日新潟県知事から原子力規制庁への要請の記録

 泉田裕彦新潟県知事からの要請は重要な問題の指摘がなされており、本誌5月号に資料1として掲載しました。原文はこちら(新潟県のページ)でみることができます。
 このページの記録は、4月22日の要請時に編集部が録音したものをそのまま文字起こししたものです。
 規制庁の対応者は、規制庁長官・池田克彦氏、原子力地域安全総括官・黒木慶英氏、緊急事態対策監・安井正也氏、です。
 なお、ビデオ録画(編集されています)は、たとえば次のサイトで見ることができます。
「「住民守る気あるのか」新潟県知事、原子力規制委を批判」(Our-Planet-TVのサイトへ飛びます)
 ここで述べられているように、田中委員長は3月13日の記者会見で、「新潟県知事から(質問が)出されたからといって、私がいちいちそれを答えていく義務があるとは思えません」と答えていました。
 3月13日の規制委員長記者会見の質問は、本誌編集部によるものです。記者会見の速記録はこちら(規制庁のサイトからpdfダウンロードになります)。このpdfの3ページからが編集部の質問とその応答で、上記該当箇所は5ページにあります。
 また、次号(6月号)には新潟県知事のインタビュー(4月10日収録)を掲載する予定です。

 記録中の太字は編集部によるものです。「新潟県からの質問」とは、昨年10月29日付で田中規制委員長宛に出された文書のことと考えられます。(文書はこちら(新潟県のサイト))
 これに対して、規制庁からは今年2月6日付で本文と別紙の2枚のみの回答がなされ、新潟県は重ねて検討を要請していました(新潟県のこちらのページ参照)。

 今回の応答の中で、規制庁から、この質問に対してさらに回答する旨が述べられました。(この件について、安井緊急事態対策監は把握していたけれども、池田長官は把握していなかったことがやりとりから明白です。)
 また、田中委員長の「新潟県知事から(質問が)出されたからといって、私がいちいちそれを答えていく義務があるとは思えません」発言について、なぜそのような発言をしたのか、行政・法律上の仕組みをふまえて回答する旨が述べられました。
 規制庁職員の新潟県の委員会への派遣についても、了承の旨が答えられました。

 

 

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(知事入室)

(長官入室)

長官 どうもおまたせしました、こんにちは。

知事 えーそれではあの、新潟県のなかで設置している委員会なんですが、専門家の皆さんに審議していただいた結果、および、これはあの、原子力防災訓練をふまえてですね、課題が大きいと思われることを、これ途中段階ですがまとめたものですので、原子力発電所の安全確保のために、ぜひ対応をお願いしたいと思います。

(要請文書を手渡す)

(カメラ撮り)

長官 わかりました。せっかく、お越しいただきありがとうございます。いろいろご検討いただきありがとうございます。私どもとしても、これを受け止めてよく検討してまいりたいと思っております。

知事 じゃああの、早速なんですけれども。

長官 はい。

知事 原子力規制委員会は、原子力発電所の安全と、それから住民の安全、守る気があるんでしょうか。

長官 それは当然、ございます。当然それが、われわれの責務でございますので。それは当然のことだと思っております。

知事 立地地域と向き合うおつもりありますか。

長官 もちろんそうです。

知事 あるんですね。

長官 はい。

知事 なぜ田中委員長、今日お会い、いただけないんでしょうか。

長官 田中委員長がお会い、あの会わないというのは、まぁあのーあれはですね、えー、委員長が、いわば独立性というものを考えてですね、いろいろな、あの、もちろん泉田知事がどうこうということは決してないんですけれども、いろいろな団体から、面会希望等たくさんございます。そういうものをですね、えー、個々にお会いするよりもですね、私どもが受け止めて、それをきっちりとお話しすると、そういう形をとっておりますので、その点はご了解いただきたいと思います。

知事 独立性を履き違えていませんか。

長官 それはそういうことはないかと思います。

知事 現場の人の話を聞かないで、どうして委員長が判断できるんですか。

長官 いやそれは、よく趣旨は、あの伝えておりますので、その辺はよく理解していただいていると思います。

知事 それから原子力規制委員会に、県の委員会で検討する際に、職員の派遣を要請しました。なぜ、応じていただけないんですか。

長官 そのへん私はよく承知していないんですが……。(隣席の黒木原子力地域安全総括官のほうを向く)

(黒木原子力地域安全総括官:私も知りませんが、それは。)

知事 どういう形で意思決定しているんですか。意思決定はどのレベルでしているんですか。何度かね、技術委員会の委員長が、規制当局の話を聞きたいということで、委員会への派遣を要請したのを、長官まで上げていないっていうことですか。

長官 (隣席に)えーちょっとそれは聞いていますか。

(黒木原子力地域安全総括官:私も知りません。)

知事 独立行政委員会というのは、独立をして安全を担保するための機関であって、好き勝手やっていいということじゃないでしょ。

長官 それは当然そのとおりです。ですから、あの皆様方の意見はよく聞きましてですね、それは必ず委員長に上げるようにしております。

知事 じゃあどうして、今日は15分しか時間がないんですか。

長官 いや、あのー、それは、物事にはやはり…、なんと言いますか、順番というものがありますし、今日は国会も開催されております。また、各党の部会もございます。そういうこともふまえてですね、えー、また趣旨をよく聞きたいというふうに思っております。またもしそれで足りなければですね、またいろいろな形で、意見は拝聴したいと思っております。

知事 3月から要請しているんですよ、面会。

長官 ああ、そうですか。

知事 何で国会の話が今日、突然出てくるんですか。

長官 いや連日国会はございますし、それはよくご承知だと思います。

知事 だから3月から(声が重なる)

長官 いやですから

知事 要請していてどうして15分しか時間が取れないんですか。

長官 まあもし、15分で足りないということであれば、それはまた、配慮したいと思いますが。

知事 どうしてこれを15分で説明できるんですか、そもそも。15分しかだめというのはそちらからですよ、(声が重なる)

長官 あのー

知事 3月からですからね。それで、基準の原案をつくる前から要請しているわけですよ、面会を。聞く気がある、それから、県民、立地地域とちゃんと向き合うつもりがあるなら、どうしてそういう対応ができるんですか。

長官 あのー、時間だけでそういうことを判断していただきたくないと思います。あのー、私どもも、多くの県からのご要望を受けておりますので、それを、それぞれお会いしております。この項目をですね、すべてあの、本日説明していただくつもりでお会いの時間を決めたわけではないんですけれども、これを、あの、技術的な部分もございますので、いろいろな形でお聞きする機会、またあるかと思います。そういうふうにご理解いただければと思いますが。

知事 とにかくこれ、原発の安全性を確保するときに、どういう形で、指揮系…あの、物事を動かすかという経験をしている人、そんなに多くないでしょ。少なくとも新潟県は、柏崎刈羽の中越沖地震の際に、これあの、火災事故と複合災害を経験しているわけですよ。で、いったい何がおきるのか、現場がどうだったかを聞かないで、どうして判断できるんですかね。いったいどういう形でね、物事が困るかっていう話を聞かないでどうしてできるのか、そもそもね、原子力規制委員会のなかには、地方自治を熟知した人、入っていないじゃないですか。

長官 んー(声が重なる)

知事 で、原子力安全・保安院のね、最大の失敗はなんだったかといえば、現場を知らない人たちが事務局をやって、南相馬に、ファックスのひとつ、送っていないわけでしょう。本当に、これあの、原子力発電所の事故が複合的に、つまり自然災害との複合災害がおきた場合どうするかと、いうときの対応っていうのは、福島の事故の反省なくしてできるはずないですよね。全然答えてないでしょう。で、田中委員長がこのあいだ記者会見で、なんとおっしゃいました? なぜ新潟県知事の質問に答えるんですかと。答える義務はないと思いますという発言でしょ、あれどういう意味か、ちょっと説明してください。

長官 ちょっとそれはあの、私、承知していないんですけども、あのー、どういうシチュエーションでそういう発言があったのか、ちょっとなんとも私も、よく承知しておりませんが。

知事 あのこの要望書を出す前に、質問書を出しているんですよ。

長官 はい。

知事 記者の皆さん当然ご存知だから、記者会見で、新潟県知事から質問出ていますが、新しい基準をつくるときに、えーそれ、お答えをするんですか、ということに対して、答える義務はないというふうに田中委員長は答えているじゃないですか。(声が重なる)

長官 あのー

知事 どうしてそういうことができるんですか。

長官 それぞれのいろんな意見は聞いているということかと思いますけれども、個々の質問にすべてお答えすることは、あのーこの、難しいという趣旨ではないかと思いますね。

知事 田中委員長はこう言っているんですよ。本質的には重要な問題ですと。

長官 ん

知事 えー、まあ、えー、われわれの守備範囲も、という趣旨の話だったと思いますけどね、

長官 ん

知事 原子力規制委員会というのは、避難をどうするかということに対しても責任持つ機関じゃないんですか。

長官 避…、あの、住民の避難…(声が重なる)

知事 緊急時に。

長官 住民の避難という意味ですか。

知事 そういうことです。(声が重なる)

長官 ま、そこは

知事 どうしてそれをね、現場の自治体の話聞かないで、できるんですかね。どうしてそれで、完全な、完全なというか、えー、内容ですよね、今回の、安・全・基・準、といわれるもの、これがあの、できるんですか。あのつまり、本当に、安全を守るつもりがあったら、どう対応するかということに、質問には答える義務が最低限あるんじゃないんですか。

長官 住民避難については、それぞれの自治体のご意見を伺って、いるつもりでございますけども。

知事 どうしてそこに、答が返ってこないです、質問に答えられないんですか。

長官 質問には…、(隣席の安井緊急事態対策監に)その点どうなんですか。

安井緊急事態対策監(以下対策監) あのー、いろいろなやりとりしながら、まあ、あの事務局やっておりますけれども、ただ安全基準と、指針の話と、また別問題ですんで。どちらのお話されているでしょうか。

知事 いやですから、あなた方は、安全基準だけつくればいいと思っているんですか(声が重なる)

対策監 いやいや指針…

知事 いざというとき、どう対応するかということ

対策監 いや、指針が

知事 を考えないということですか。

対策監 指針は指針でいまつくっていますよね。と、その上にある防災基本計画できていますよね。

知事 だから問題点を指摘して質問しているわけでしょ。

対策監 ええ。

知事 どうしてそこに回答ができないんですか。

長官 どちらの話ですか、指針についてですか(声が重なる)

知事 新潟県から出している、

長官 ええ

知事 えー、質問です。安全を担保する、さらにいうと、指針とかいうレベルじゃなくって、そもそも法体系が二重になっているの、問題だと思いませんか。自然災害と、えーそれから原子力災害、同時におこった場合どうするのかという、ここのところは、法律がそもそも、二本でいいのかと。これあの、平野大臣、当時ですけども、中央防災会議でも、いずれ一本化を検討するという発言をいただいているんですよ。

長官 ふ、あの、

対策監 その話は申し訳ない、われわれに言われても困る話でして。

知事 ということはあなた方は、最終的には責任持たないっていうことですか。

対策監 いや責任云々じゃなくって、法律上の問題はそれはすべて災害対策基本法の話ですから、災害対策基本法にもとづく、災対法務と、原子力災害…、え、原災法にもとづく…、二つ並列することをどう考えるかという話ですから、根っこは災対法にあるんですよね。災害対策基本法の枠組みの話のなかで、うち、動いていますから。

知事 だから、たとえばね(声が重なる)

対策監 それは、問題はそれは、内閣府防災で考えるという話であって、うちのほうでそれ、勝手に決められなくなったんですね。

知事 だから、それを、でも提言していくという役割はあるんでしょう。いまの状況では問題があるから、直すべきではないかっていう形で質問出しているわけですよ。答えてくれないのは、なぜですか。つまりあの、原子力防災が複合災害のときに、ちゃんととれるというふうにお考えになっているんですか。

対策監 いやあの

知事 たとえばね、わが県は、福島の事故がおきる前に、複合災害、経験していますからね。地震のなかで原子力災害がおきた場合に、オフサイトセンターに知事が行ったら、災害対応の指揮ができなくなるんですよ。だから事前に政府の了承をもらって、複合災害の場合はオフサイトセンターは副知事っていう形で、もう修正して、ありました。修正されてない県もあるはずです。えーこれ、法律が二本だからそういうことなっちゃうわけでしょう。だからこれ、いったいどうするんですかって質問出したのを、なんで答えてこない。で、それで安全基準つくって、安全です、安全ですって言うつもりですか。

長官 安全基準の話と指針の話はちょっとちがう話なんでですね、一緒に言われても、あの、安全…、われわれ規制基準と呼んでいますが、規制基準で、あの、プラントのほうの話をして、そちらは安全だということは、あのー、100%とは言いませんよ、ということは申し上げているわけです。それと、いまおっしゃった、事故時のですね、対応の話、これは、すこしちがう話じゃないかと思います。

知事 ちがう話っていうことは、つまり、安全性を確保しないものを、原子力規制委員会では所管しているから、そこしかやらないっていう意味ですか。

長官 ちょっと意味がよくわかりませんが。

知事 ですから、災害がおきたとき、原子力災害、自然災害、複合災害、いろいろあるかもしれません、災害がおきたときに住民を守る、それから、原子炉の安全性を確保する、全体については責任を負わないっていうことですか、避難も含めては。

長官 いやそういう趣旨は言っていません。

知事 っていうことでしょう。だったらどうするんですか、こういう場合にどうするんですかっていう質問に、どうして答えられないんですか。

長官 あのー、複合災害の場合につきましては、あのーすでに、指針、あの、マニュアルで示していると思うんですけれども。

対策監 あの、複合災害についてはですね、あの、いちばん大きな根本的な問題点は、対策本部が二つ立つことですね、おそらくご指摘の点は。

知事 指針で説明しているかどうかじゃなくて、新潟県の質問には答える気がないんですかっていうことを聞いているんです。

長官 (つぶやくように)新潟県の質問っていったい……

対策監 ま、それはちょっとあの、経緯を確認しますけれども、特段、以前も新潟県がご質問がありまして、それについては文書一回お答えしていますよね。

知事 あれ何も答えてないじゃないですか。

対策監 いやあの段階で、あの段階ではあのレベルです。ですからあの、徐々に進んでいますんで、あのもしお答えになっていないお怒りでしたら、経緯調べまして、それについてはきちんとお答えいたしますんで。

知事 ぜひ調べてください。これね、情報が長官に上がっていないっていうことなんですか、じゃあ。われわれが、現場で、何がね、おきて困ったのか。たとえば複合災害の場合は、電源車がそもそもたどり着けない可能性だってあるわけですよ、それどうするんですか。もう、さまざまなことね、たとえば、えー、これはあのモニタリングポストの電源の問題とか、技術的なことを言い始めたらきりがありませんけれども、さまざまな指摘しているわけですよ。ね。そのときは決めていませんでした、じゃあ今度こう決めました。対応してくださいと言っても職員も派遣しない。どういうことですか、それ。

長官 ちょっとその、職員を派遣しなかったということについては、経緯よく承知していないんですけれども。あのー、ご質問についてはですね、あのー(声が重なる)

知事 じゃ、派遣していただけるんですね、今度委員会やるときは。

長官 もし都合が、こちらの都合もございますが、ある(声が重なる)

知事 だって現地にいるじゃないですか。

長官 あ、現地の職員という趣旨ですか。

知事 現地の職員でも、とにかく、組織として聞く耳を持たないってことなんですか。

長官 そんなことは言っておりません。

知事 であれば、派遣するってどうしてこの場で言えないんですか。

長官 いやそのときに応じて、それはわからないですよ。そんな100%やれるとは。

知事 100%、時間なんて調整するに決まってますよ、もちろん。とにかく派遣しないっていうふうに、委員長から何度も要請したのに、皆さん方が断ったんですよ。

佐藤政策評価・広聴広報課長(以下広報課長) 広報課長ですけれども、

知事 どうぞ

広報課長 その点について認識しておりますのは、一度、保安院時代に、ご要請がありました。で、その際には、福島事故をふまえた、事故の検証ということでございましたので、その際はまだ、保安院としては、保安院自身は事故の検証ではなくて、それは政府事故調などの対応をやっていたので、その際には、ご出席、ご出席できませんと、いうふうにはお答えいたしました。

知事 (隣席の新潟県担当者に)規制委員会になってからは。

新潟県担当者 (知事に)規制委員会になってからもご要請かけてございます。

広報課長 はい。

新潟県担当者 (広報課長に)規制委員会になってからもご要請申し上げたことでございます。

広報課長 はい、あのー、規制委員会になって、口頭で、ご要請いただいたことがあります。ただ、その際もまだ、規制委員会、規制庁としてですね、事故の対応というのは、まさに、いま現在、そういった、1Fの特定監視評価会合などをやって対応しているということでございますので、まだその時期ではないと。県の技術委員会さんからのご要請であったのは、あくまで、福島県の事故対策で、どういう原因究明をやっていると、そういったなかでの意見を聞きたいということでありましたので、私どもとして、出席することはできないと、いうふうに申し上げたところでございます。

知事 出席しないということじゃないですか、じゃあ。(声が重なる)

長官 いや出席はちがうんじゃないですか。

広報課長 内容によっては出席しないということでございます。

知事 内容によっては出席しない、だって、そうするとあなた方は、福島事故の検証なしに安全基準だって言うつもりですか。

長官 あの…

知事 何で福島事故の検証をしないで安全だって言えるんですか。

長官 あのー、おそらく、検証についてはですね、そこであの、今回の安全基準、とは、当然福島事故をふまえておりますけれども。

知事 だって説明できないって言ってますよ。

長官 いやそれは意味が違います。あの、安全基準というものはですね、あの、福島事故を100%解明しなければできないというものだとは思っておりません。

知事 ていうことは、また同じことがおきる可能性があるということですか。

長官 それはまったくちがいます。

知事 じゃ、どうして解明しないで安全基準ができるんですか。

長官 今回のあのー、福島事故のですね、いちばん大きな問題はですね、あのー、シビアアクシデントに対する対策ができていなかったということだと思うんですね、具体的には冷却機能ですね、そこのところをまずやると、いうのがいちばん大きな眼目じゃないですか。

知事 じゃあ、そのわかった知見を、なぜね、県の技術委員会で開陳しようとしないんですか。

長官 おそらくその時点ではそこまであの、えー、規制委員会としてですね、細かい事故解明まではやっておりませんから、そのことをご説明できないという趣旨ではないかと思います。

知事 だから全体を説明してくれってことじゃなくて、疑問に思っていることは持ち帰っていただかないと困るわけですよ。少なくともわれわれの眼から見て、(声が重なる)

長官 しかし

知事 こことここが問題じゃないかというところは示しているわけですから、全部説明してくれってことじゃなくて、今問題になっていることが何が現場で困るのかということをどうして聞こうという耳をもとうと思わないんですか。

長官 あらかじめ、ある程度のですね、質問事項を出していただければ、これは…

知事 出してるって、さっきから言ってるじゃないですか。

長官 出してるんですか。

知事 だから、質問事項に回答いただけなかったわけでしょう?

長官 いやいやその、出席のほうですよ。

知事 だからおんなじですって、やってる内容をふまえて出してる質問だから。

対策監 いやそれは、われわれとしては、きちん(と)説明してもらわなければわかりませんよ、それは。

知事 だから、説明をするから出してくれっていうのに、職員派遣もできないんですかってことを言っているわけですよ。(声が重なる)

対策監 あのー要するに、経緯について、いろいろやりとりあると思いますけれどね、少なくともわれわれ自体が、たとえば新潟県さんの意見をまったく聞かないとか無視するとか、そんなことお…必要ないんであって、

知事 じゃ、田中委員長の発言は何ですかあれは。

対策監 すいません、田中委員長がどういったか私、知りませんけれども、(声が重なる)

知事 なぜ答える義務があるのかっていうことを発言しているわけですよ。(声が重なる)

対策監 すくなくとも、この……、たとえば、たとえば、局長(?)さんからひとこと電話があればですね、ああそういう趣旨だってわかるわけですよ。それ、お互いのそれですね、コミュニケーションの問題以上の話じゃないんじゃないですか、それは。

知事 うーだから、3月から要請していたのに、上がってなかったんですね。(声が重なる)

対策監 それは、その経緯はあるんですけども、それ、どういう形だったか知りませんけれども。

知事 今日のこれ、あれですよ、要望なんて、とにかく案を作っている段階で聞いていただきたいから、早い段階から申し入れして、している話を長官まで上げないっていう組織なんですか、ここは。それとも長官が断ったんですか、どっちですか。

長官 いやあの私は断ったことはないですけども。

知事 じゃ組織がおかしいってことじゃないですか。そんな組織で安全確保できるんですか。

広報課長 案の段階としていただいている段階なので、事務方で対応させていただいています。

知事 ですから、えー、これね、どういう形で問題があるのかっていうことを、議論してまとめたペーパーを、話を聞くっていうのを、委員会にも上げていないってことなんですよ。意味わかります? 事務方で対応しているっていうことは。それで非常時にまた対応できるんですか。なんでそうやって事務方で止めるの? 

広報課長 いや違います。今日のこの案、案をとれて、こうした陳情があることについては、委員長にご報告しています。

知事 でそれで、会わないって言ったんですか? 3月から要請をしているのに。

長官 あの先ほど申し上げましたようにですね、委員長はどこの知事ともお会いはしておりません。

知事 だからそこがおかしいんじゃないかっていうんですよ、そもそも。

長官 いやあの、それはですね、中身につきましては、われわれがきちんと上げております。えーそれをね、あの…(声が重なる)

知事 どうしてそれ、間接話法にしようとするんですか。

長官 いえいえ、それはまあ、いろいろな団体からですね、面会要求は非常に多いです。でそれを、片方は会って片方は会わない…(声が重なる)

知事 新潟県を、団体の一つだと思っているんですか。

長官 いや団体…

知事 行政を所管しているんですよ。(声が重なる)

長官 いや行政を所管しているところも同じです。

知事 行政の一部を担っているわけでしょ。

長官 いやいや、いろいろな、あの…いや、団体といったのが悪ければ、地方公共団体とか、あるいは政党とか、ま、そういうところからご要望あります。で、そういうところをですね、個々にお会いするよりもですね、できるだけ、私でものほうでお会いしてですね、そのエキスをお伝えしたいというふうに思っております。

知事 勘違いもはなはだしいんじゃないですか。あの、新潟県という組織は、えー、原子力防災を含めて、行政機関の一部なんですよ。行政機関の話も聞かないっていうのが独立行政委員会だと思ってらっしゃるんですか。

長官 いやそういうことは言っておりません。

知事 団体とかの陳情の(声が重なる)

長官 別に陳情…

知事 一部じゃなくて、行政の問題点をね、お示しをしているわけですよ。質問もしているし、意見も出しているのを、どうして団体と一緒にするんですか、政党と一緒にするんですか。行政機関の一部ですよ、われわれ。

(しばし沈黙)

長官 ま、それも、わかりますけども…あの、私どもがきっちりと話をするっていうことでご了解いただきたいと思うんですけどね。

知事 できませんね。

長官 そうですか。

知事 だってそんな、安全基準ね、福島の検証もしていない、行政機関の話も聞かない、現場の声も聞かない。そんな安全基準が、どうして役に立つと思うんですか。

長官 検証していないというのは、それは、いかがかと思いますね。

知事 じゃあちゃんと来ていただけますか。

長官 へ?

知事 県の技術委員会に来ていただけますね。

長官 それは、必要があれば…(声が重なる)

知事 どうしてそこでイエスと言えないんですか。

長官 前向きに考えます。

知事 時間は、合わせますから。で、もう一回ね、委員長とよく話していただきたいんですよ。われわれね、一部の団体じゃなくて、原子力安全行政を担う、行政機関なんですよ。

(しばし沈黙)

知事 ほかの団体と一緒で、独善でやるつもりですか、安全基準も。

長官 いや、そういうことは一切言っておりません。

知事 だったら、ちゃんと、会ってください。で、新潟県知事のね、質問になぜ答えないといけないのかっていう委員長の発言、行政の仕組みとか法律の仕組み、ご存知ないんじゃないですか、大丈夫ですか。そこもちゃんと回答してくださいね。どうして委員長がそういう発言をしたのか。われわれ行政機関ですから。

長官 ま、そ…どういうふうな経緯でそうなったか、ちょっと私も、承知はしておりませんけれども。

知事 今わからなければ、後で結構ですから、回答してください。

長官 わかりました。

(しばし沈黙)

知事 じゃ、改めて、もう一度、このお話さしていただきたいと思いますんで、よろしくお願いします。

長官 あ、この話ですか。

知事 はい。

長官 はい、わかりました。

知事 あの、とにかくね、安全をどうやって守るかっていうときに、なんか自分たちはいちばん上でね、上から目線で決めて、独立行政委員会が自分たちがいいって言えば全部いいんだという態度、間違いだと思いますよ。(声が重なる)

長官 いやそ…

知事 現場で何がおきているかって、よく聞いた上で対策しなければ、おんなじことがおきるじゃないですか。

長官 いやそれはよくわかっております。

知事 じゃ、ぜひよろしくお願いします。あと組織の中、途中で事務方、止めないように。ちゃんと上げてください。

広報課長 いや、止めてはおりません。あの段階段階で(声が重なる)

知事 じゃ3月

広報課長 ちゃんとご相談しております。

知事 3月の段階から、あって、それで、ここまで引き延ばしたんですか、長官。

長官 そんなことはしておりません。

知事 じゃ、じゃあどういうことですか、そこは。

広報課長 日程調整しているだけです。今日の15分というのも、私は、新潟県さんから15分でいいっていうふうに聞いています。

知事 また、始まった……もういいかげんにしてほしいですよね。あの、こういう状況ですよ、これで、原子力安全行政を、国民が安心すると、思いますか。

長官 それはあのー、やや誤解があるかと思います。私どもは、あの、福島の検証もしておりますし、それに、その原因にもとづいた対応を考えて、基準をつくっております。

知事 じゃあぜひ出てきてください。

長官 その

知事 わかっている範囲で結構ですから。

長官 このー、わかりました。それは先ほどお答えした通りです。

知事 はい。

長官 ただ、できればですね、どういうことを話題にされるか、それは明確にしていただきたいと思います。

知事 もちろんです、もちろんです。

長官 抽象的に言われても…(声が重なる)

知事 去年の時点、だから、質問も全部差し上げているじゃあないですか、見てるんですか。

長官 そのー、その委員会での質問というのは知りませんが。

知事 だから、新潟県として質問を差し上げてます。だって、あの、やってることが一緒なんですもん…、で、答えてもらってないわけですよ。ぜひね、あの、国の安全を守るために、まじめに仕事していただきたいと思いますんで、よろしくお願いします。

長官 それはちょっと、言いすぎじゃないですか。

知事 じゃあどうしてね、あの、今日まで引っ張るのか、そもそも、えー、原案ができるまでですよ、会わないっていうのもおかしいでしょう。

長官 原案といいますと、何の原案ですか?

知事 基準です、安全基準。だってその前から、安全基準を検討しているときに、お伝えをしようと思っているから、早くから申し込みしているわけですよ、日程調整以前の話で。ちゃんとコミュニケーションとりたいって思ってやってるのにね、発表してから、日が決まったじゃないですか、どういう意味ですか、これ。

(しばし沈黙)

長官 あのー規制基準の作成についてはですね、これ、できるだけ幅広く意見を聞いております。まあもし、その点についてですね、行き違いがあったら、それは大変お詫びしたいと思いますが。

知事 われわれ、行政機関ですからね。念のため、何度も言いますけど。

長官 それは承知しております。

知事 法律にもとづく権限をもっている機関ですから。

(しばし沈黙)

知事 はい、よろしくお願いします。

(終了)




 
 
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