■ヒト22番染色体の3346万文字を日米英共同で解読完了
進展いちじるしいヒトゲノム計画の成果として,全塩基配列が解読された染色体が登場した.そこには800個以上の遺伝子の存在が予測され,すでに,未知の遺伝子300個,20種類以上の疾患原因遺伝子,進化の残骸といえる多数の偽遺伝子が同定されている.(清水信義,p.105)
■明らかになったクジラの起源と新たな謎
サイン法という分子系統学的手法によって,クジラは5000万〜6000万年前にカバとの共通祖先から分かれて進化してきたことが明らかになった(岡田典弘氏,p.119).
この新しい系統仮説は,形態学的な方法で得られた従来の系統仮説とは相容れないものであり,これまでクジラの祖先と考えられてきたメソニクスの系統上での位置づけについて変更を迫る.いっぽう,カバを含む現在の偶蹄目の内臓器官には,クジラとカバの近縁性を示すともとれる特徴がみられる(甲能直樹氏,p.128).
■日本列島はどこで生まれてどこに消えていくのか
約7億年前,ロディニアという超大陸が地下深くから上昇してきたスーパープルームによって分裂し,その裂け目から太平洋の母体が誕生した.日本がその場所で生まれ大陸の縁に成長を続けてきた歴史が詳細にわかってきた.いまから2億年後までに,オーストラリア,北アメリカ,アジアの各大陸が衝突合体して太平洋は消滅する.日本は大陸の衝突部に組み込まれ,9億年の歴史を閉じることになる.(磯崎行雄氏,p.133)
■トルコ地震の発生現場で観測をしていた
昨年(1999年)8月トルコ北西部に大きな被害をもたらした地震がおこった.この地震発生時に震源域のごく近くで観測網を展開していた日本チームのデータから,断層面の不均一性やクラスター的余震活動など興味ある事実がみえてきた.(本蔵義守氏・伊東明彦氏・大志万直人氏,p.109)
■光が引き出す物質の新たな性質
温度変化による相転移によって固体・液体・気体といった物質のさまざまな性質が顔をのぞかせるように,物質の性質はその組成だけで決まるものではない.光をあてることで生じる“光誘起相転移”という現象が多様な物質で発見され,熱力学的な方法では決してみることのできない物質の知られざる状態がみえるようになった.(那須奎一郎氏,p.146)
■男児の割合の減少は何を意味するのか
生まれてくる子どもは通常は男児が女児より多いが,男児の割合が減ってきているという現象がみられる.霞ヶ浦周辺では男児の割合が5割以下になっている地域もある.原因はまだ明らかではないが,この事実は何か重大なことを警告しているのかもしれない.(水野玲子氏,p.113)