科学

2006年8月号
(Vol.76 No.8)

目次

ヒマラヤの亜氷雪地帯で目にするのは,私たちが見慣れた植物の世界とは異質の,極限の植物の世界といえるものである.(大場秀章)

火星で人間が暮らすには,物質の再生循環利用が鍵となる.圏外生命を探査するにも火星を汚染しない宇宙農業が求められる.(山下雅道)

地球表層以上に膨大な生物量を有する地殻内微生物圏.地質学的タイムスケールで物質循環・環境変動に影響を与えているらしい.(高井 研)

約35億年前の海洋地殻から微生物起源と考えられるメタンを見出した.これは最古のメタン生成菌の記録である.(上野雄一郎)

深海生物のみせる形態的・生態的深海適応はむしろ厳しい食物の制限に関わる諸問題に対する生存戦略として捉えられる.(太田 秀)

メタゲノム解析は,環境中に埋没する膨大な数の未知細菌の正体を解明するあたらしいゲノム解析技術である.(服部正平・黒川 顕・伊藤武彦)


 

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特集=〈極限〉を生きる生物たち──海底から宇宙まで

ヒマラヤの植物――高山に生きる知恵をみる 大場秀章
火星での暮らし――地球圏外の極限に生きる 山下雅道
地底奥深くに拡がる未知の生物圏 高井研
初期地球の海底下熱水系における生命活動 上野雄一郎
海洋底の生物の生存戦略 太田秀
メタゲノム解析による生命システム研究の広がり――ヒト腸内細菌叢を読む 服部正平・黒川顕・伊藤武彦

[コラム]
  南極を訪れて――新規微生物への期待 今中忠行
  クマムシ:極限環境で“生命を隠す”動物 鈴木忠
  放射線をかいくぐり生きる微生物 高橋昭久・大西武雄

新連載
科学の社会化シンドローム(第1回)科学の「社会化シンドローム」――成長した科学が向き合う問題群 石黒武彦

新コラム
生命をめぐる世界の潮流:クローン研究のための卵子提供と倫理的問題 池部織音

〈総説・報告〉
脳をめぐる倫理――脳神経倫理学を構成する事象 福士珠美・佐倉統

拡大する野生との軋轢(後編) 樋口広芳

巻頭エッセイ 学ぶ・創る・遊ぶ
  ドーナツ状の泡は作れるか 高木隆司

科学通信
科学ニュース:サービス科学――はたして科学になるか 黒川利明
科学ニュース:物理学による免疫系のモデル化  F.W.ウィーゲル・江沢洋・中沢徹・渡辺敬二
シンポジウム:「生物学版サミット」体験記――絶滅の生物学をテーマにした国際会議  石濱史子

地球・環境・人間(第14回) キリマンジャロの雪が消える 石 弘之

星砂Times(第8回) 魚は3階,虫は2階  中嶋康裕

〈認知科学な〉日常(第15回) 考えることの能動性について 田中茂樹

ちびっこチンパンジー(第56回) 目は心の窓 友永雅己

大宇宙からのフォト・レター(第2回) 渦巻銀河 野本陽代

日本自然再生紀行(第2回) 神戸――鳥取県日南町の花の谷 鷲谷いづみ

文化としての科学の本(第9回) 浪川幸彦/科学と文化を結ぶ会

学術会議おぼえがき(第5回) 分科会に希望を託して 斎藤成也

心にのこる1冊
D.O.ウッドベリー著『パロマーの巨人望遠鏡(上)(下)』 黒田武彦

書評
浅間茂著『フィールドガイド ボルネオ野生動物――オランウータンの森の紳士録』 酒井章子 評

50年前には/75年前には

編集部に届いた本から

次号予告/編集後記

 

 

 

 



 

 

 

 

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