科学

2006年11月号
(Vol.76 No.11)

目次

 「BSEについては評価済みだ」「いまさらBSEもない」という雰囲気が一般にあるのではないでしょうか.
 ところが,BSEをはじめとするプリオン病は潜伏期が長く,したがってこの問題は「終わり」を簡単には見通せません.しかも,発症のメカニズムについてもいまだ謎が多く,原因タンパク質の本来の働きは研究が端緒についたばかりという状況です.
 科学という利器こそ私たちの力ですが,常に新たな発見があります.予想されていなかった事態がありえる──未知の要素が多い問題には慎重にあたるのが合理的な方策ではないでしょうか.たとえば《非定型BSE》の発見が示唆的に思えます.
 本特集では,一線の執筆者陣を擁して,この問題を継続して考え続けるための材料を提供します.


 

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特集=BSEの危険度はどこまでわかったのか
   ──プリオンの科学最前線

全頭検査こそ合理的―手放さずそれを世界に広げるべきだ スタンレイ・B.プルシナー,山内一也

〈緊急座談会〉何が問われるべきか―私たちは米国産牛肉は食べない 金子清俊・神田敏子・水澤英洋・山内一也  本誌未収録の論点特別公開へ

[プリオンの科学]
クロイツフェルト−ヤコブ病とはどんな病気か 毛利資郎
BSE感染リスクの評価にかかわる研究の現状 山内一也
プリオン仮説(タンパク質単独犯説)は本当か 片峰茂
酵母においてはプリオン説は証明された 倉橋洋史・中村義一
特定危険部位以外におけるBSEプリオンの蓄積 横山隆・舛甚賢太郎
正常型プリオン蛋白質の機能にどこまで迫ったか 八谷如美・金子清俊

[牛肉と社会]
米国の肉牛生産の現状と狂牛病―“必然”の病をくいとめるには 北林寿信
フードシステムに再編を迫るトレーサビリティ―牛肉の経験から明らかになったこと 中嶋康博
BSE問題に対するアメリカ世論の反応―国際化する食品リスクを比較社会学の視点から考える 田中敬子・坂本清彦

[コラム:わたしにとってのBSE]
  リスク分析の枠組みはうまく機能しているだろうか 日和佐信子
  検疫という防護壁 河合誠義
  農水省は変わったか―不信からの出発 中川坦

〈総説・報告〉
国連ミレニアム生態系評価報告書を読む(前編) 鷲谷いづみ

巻頭エッセイ 学ぶ・創る・遊ぶ
  「楽しくおいしく食べたい 日和佐信子

科学通信
科学ニュース:雑魚ウグイへの注目  片野修
科学の舞台裏:数理と生物学の融合への想い―生物時計の研究から  堀川一樹
コラム 生命をめぐる世界の潮流:ユネスコの「生命倫理と人権に関する世界宣言」の意義―国際的視野の必要性  池部織音

地球・環境・人間(第17回) アフリカの湖沼に異変 石 弘之

石原純をたずねて(第7回) 物理学者への道(6) 西尾成子

ちびっこチンパンジー(第59回) 道を渡る野生チンパンジー 松沢哲郎

137億光年を奏でる素粒子の詩(第2回) アトラス実験(1) 横山広美

文化としての科学の本(第12回) 室伏きみ子/科学と文化を結ぶ会

科学の社会化シンドローム(第4回) STSとアウトリーチ―科学と社会の新しい関係の構築 石黒武彦

心にのこる1冊
G. バシュラール著『科学的精神の形成』 金森修

書評
北海道立北方民族博物館編『環北太平洋の環境と文化』 高倉浩樹 評

50年前には/75年前には

編集部に届いた本から

次号予告/編集後記

 

 

 

 



 

 

 

 

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