生命の星・地球博物館特別展

 ―地球再発見へのいざない


 神奈川県生命の星・地球博物館では,11月3日まで,特別展“新しい地球像をもとめて―地球再発見”を開催している.この特別展は,博物館が1994年4月から1997年3月まで実施した総合研究“地球熱史”の成果を,実物や映像,CGなどを活用して市民にわかりやすく公開したものである.

 特別展は,メテオグラスと呼ばれる,ギベオン鉄隕石を溶かし込んだガラスの花器の展示から始まる.地球(珪酸塩)と宇宙(隕石)と人(生命)との融合を象徴している.特別展は,“地球の外”,“外と中の接点”,“地球の中”そして“地球の今と昔”の4部構成となっている.

 “地球の外”では,最近話題の火星から来た隕石の実物を2種展示している.隕石は,点数は約40点と少ないが,ほとんどすべての種類を網羅したコレクションとなっている.  “外と中の接点”では,宇宙と地球の相互作用を示している.巨大隕石の衝突によるテクタイトやインパクタイト,衝突時の津波によってできた地層や,衝突でできた高温高圧鉱物のコーサイト,K/T境界層の地層,そして隕石の衝突で絶滅した可能性のある恐竜の足跡化石などが展示されている.地球と外の天体の周期的運動(リズム)を記録している年輪,珪化木,潮汐によってできた地層,ストロマトライト,縞状鉄鉱層などの大型資料が展示されている.

 “地球の中”では,中をみる手法を実物を置いて紹介している.高温高圧発生装置で地球を“作る”方法や,地球深部からもたらされた岩石や鉱物,マグマによって地球の中を“覗く”方法が示されている.パソコンで,好きなところの地球断面での地震波トモグラフィが引き出せるようになっている.本誌7月号でも特集された,地震波トモグラフィにもとづくプルームテクトニクスという地球の仕組みを紹介している.地球を形成する岩石が,網羅的に実物で紹介されている.ホットスポットの岩石,海底を作る岩石(オフィオライト),島弧の火山岩,島弧の変成岩,大陸の火成岩,大陸の変成岩という区分で,大規模に展示されている.

 “地球の今と昔”では,最古の岩石(約40億年前のカナダ・アカスタ地方のトーナル岩質片麻岩),最古の堆積岩(約38億年前のグリーンランドの礫岩),最古の生命化石(約35億年前のオーストラリアのチャート)が展示され,その地球史上の意義が説明されている.地球の今の大地の代表として,岩石を作るもの(造岩鉱物)と地球の贈りもの・宝石の原石を誕生月ごとに展示してある.

 最後は,地球と生命とヒトとのかかわりと未来を,絶滅動物(ヤジリの痕のあるアメリカマストドン),スペースシャトルと地球のパネル,武器(マサイ族のヤリ)で象徴している.

 特別展“地球再発見”は,最新の地球科学の成果をわかりやすく展示している.また,現在研究の対象となっている実物の試料が展示されているため,専門家にも興味深い.岩石が地球の歴史を記録しており,それを読み解けば壮大なる地球や宇宙の歴史が読み取れることが実感できる.この秋は,博物館で“地球再発見”を体験されてみてはどうであろう(神奈川県立生命の星・地球博物館への交通:JR小田原駅から箱根登山鉄道“入生田”下車徒歩3分).

*無断転載を禁じます(岩波書店‘科学’編集部:kagaku@iwanami.co.jp).

目次にもどる

‘科学’ホームページへもどる

ご購読の案内はここをクリック


岩波書店ホームページへ