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岩波書店は、総合出版社としての実績と蓄積のもとで各種の雑誌を刊行しています。
どの雑誌も第一級の執筆者による充実した記事、最新の知識や情報を満載しています。
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| 一流の執筆陣が書き下ろす文章の力と味わい |
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今年は小社創業100年の節目にあたります。どの1年、どの1日も重さは等しいはずなのですが、周年記念とは自らの原点や初心、現在にいたる歩みを振り返り、今なにをなすべきか考える好機とせよ、との謂いでもあるでしょう。『図書』が戦争による中断をへて再開されたのは1949(昭和24)年11月。この号の「片隅から」(現在の「こぼればなし」にあたる欄)には「書物に関心をもつ人が、喜んで毎月見てくれる、さういふものにしたい」とあり、これはそのまま今の私たちの抱負でもあります。休刊やネット配信へ移行する同種の雑誌が多いなか、もっとも長い歴史をもつ『図書』は今も活字媒体(無論活版ではありませんが)でお一人お一人に郵送されるアナログな形態ですが、これは直接ご購読いただいている読者の支えがあってこそ成り立つ仕組みです。本年もみなさまと本の世界をつなぐ窓として力を尽くしてまいります。どうぞ引き続きのご愛読ご支援をお願い申し上げます。
(『図書』編集長 富田武子) |
| 混迷の時代に主張し、新しい世紀を切り拓く |
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東日本大震災からまもなく2年、原発事故はいまだ収束せず、地震・津波災害からの復興の遅れも指摘されています。政党政治の危機的状況のなか、突然行われた総選挙は民主党への懲罰的結果となりました。安倍次期政権のもとで原発政策はどうなるのか、また安倍氏の「悲願」である「改憲」に向けての流れ、「アベノミクス」と日本経済の行方など、2013年は市民の意識と行動が問われる厳しい年になると思われます。
世界に目を転じると、2012年はロシア、フランス、米国、韓国などで大統領選挙が行われ、中国でも10年ぶりに政治指導者が交代しました。2013年は日中韓の新しい指導者のもとで悪化した関係を修復することができるのか、日本外交にも課題が山積みです。
このような厳しい情勢の中、私たちはどのような社会をめざすべきか、「世界」はその軸をしっかりと立て、変化と波乱を見据えて、明確な発信をしていきたいと思います。
(『世界』編集長 清宮 美稚子)
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| 専門領域を超えて寄せられるすぐれた論文で読者を刺激し続ける |
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人はものを考えるとき、積極的な意志で考えているのではなく、考えることを強いられている。
ある哲学者はそんなメッセージを残しました。
今、われわれに考えることを強いてくるものは増えるばかりに思えます。考えることが、考えることを強いてきた状況に「正/不正」を突きつけることであるかのように扱われる場面もまた増えていると思えます。
考えることがどこまでも私的な、孤独な行為なら、そこで導かれる「正しさ」や「正義」もまた私的で孤独なものでしょう。正しさや正義の「普遍」とは、決して最初に口にされるものではなく、最後の最後に口にされるものでしょう。ならば、「思想」とは、一人の人間が考えるという営みを「普遍」を口にしないままもちこたえることでないとすれば何でしょうか。
本年もそのような「思想」を送り届けたい。そう決意しています。ご支援を心よりお願いいたします。
(『思想』編集長 互 盛央)
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| 広がる科学の現在を分析し、社会との結節点となる |
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3.11大震災・原発災害から2年を迎えようとする年が始まります。
現代社会は、原発事故のように、個人では責任を負いきれず、実際に誰も責任を負おうともしない重大な事柄を扱っています。少数者に社会の運営を任せられるというのは幻想であり、判断を支える分厚い知的集団体制が必要です。
原発事故が明らかにしたのは、この知的体制の欠陥であったと思います。その点で、学界の常識を反映させようとしている原子力規制委員会の活断層調査団の活動は、注目すべきものであると思います。
全国の避難者が約33万人、福島県の避難者が約16万人に上る現下の日本。これからの日本を長い射程で支える、真に新たな社会資本こそが求められています。この重要な局面では、“現実の”問題に対処する立法が求められており、知識・情報の扱い方がますます重要になる年であると思います。
本誌はこのような認識のもとで、さまざまな課題についての判断を支える、合理的基盤としての科学的知見をお伝えし、訴えていきます。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
(『科学』編集長 田中太郎)
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| 常に最高水準の研究結果を提出 |
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本年は、岩波書店創業百年ですが、雑誌『文学』も、1933年4月の創刊から数えて80年目を迎えます。創刊号の巻頭には島崎藤村の題言があげられていました。
「古い言葉に、この世にめずらしく思われるものが三つある。いや、四つある。空に飛ぶ鷲の路、磐の上にはう蛇の路、海に走る舟の路、男の女に逢う路がそれである、と。わたしたちの辿って行く文学にも路と名のついたものがない。路と名のついたものは最早わたしたちの路ではない。」(表記は新字新かなとしました)
私たちは先人の積み重ねてきた歩みをふり返りつつ、また新しい路を一歩一歩進んで行きたいと考えております。
インターネットに携帯電話など、メディアは急速な変化を続けていますが、人間が思考を展開し、他者と交流をはかるうえで、文字による営みの重要性はまったく変わっておりません。広い意味の文学研究がゆるぎのない存在意義を主張する場として、小誌はよりいっそう努力してまいります。
今後ともご愛読たまわりますよう、どうぞよろしくお願い申し上げます。
(『文学』編集長 倉持 豊)
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