面々授受

市民・久野収の生き方

反権力・反体制を徹底し,一市民としての生涯を貫いた久野収.その魅力や偉大さはどこにあったのか.

面々授受
著者 佐高 信
ジャンル 書籍 > 単行本 > 社会
刊行日 2003/05/20
ISBN 9784000022606
Cコード 0036
体裁 四六 ・ 上製 ・ カバー ・ 240頁
在庫 品切れ
反権力・反体制を徹底し,一市民としての生涯を貫いた久野収.その魅力や偉大さはどこにあったのか.自ら弟子として師事したその人間像を,どのような人たちと交わり,どのように批評していたかという観点から描き出す.戦前から晩年までの発言や著書を渉猟し,久野収の人物評を通じて,立場を超えて時代にたちむかって生きることの大切さを訴える.『世界』好評連載の単行本化.
はじめに
第1回 敵にこそ学べ
第2回 俗にこだわる
第3回 「精神なき専門人」批判
第4回 師弟の関わり
第5回 江藤淳との対決
第6回 人間に光あれ
第7回 思想の根おろし
第8回 腹が立ってボケられん
第9回 アタンション,アタンション
第10回 顕教と密教
第11回 親子は一世,夫婦は二世
第12回 等身大の目線
第13回 独占批判の論理学
第14回 無学歴派と「心」グループ
第15回 魅力あるカミナリ
おわりに
付録「現代社会と倫理」

装丁 後藤葉子(QUESTO)
佐高 信(さたか まこと)
1945年山形県酒田市生まれ.慶應義塾大学法学部卒業後,郷里での教員生活を経て,経済誌編集長に.82年に評論家として独立.おもな著書に『葬送譜』『日本を撃つ』『憲法から斬る』『現代を読む100冊のノンフィクション』『戦後を読む50冊のノンフィクション』(以上,岩波書店)『許されざる者――佐高信の政経外科5』(毎日新聞社)『佐高信の筆刀両断』(七つ森書館)『官僚たちの志と死』(講談社)『司馬遼太郎と藤沢周平』(光文社)など. 佐高 信

 「腹が立ってボケられん」
 1999年に88歳で亡くなるまで,わが師,久野収はこう言って,権力の腐敗に怒りをぶつけつづけた.
 学生時代にその講演を聴いて以来,ほぼ36年にわたって私は久野の薫陶を受けてきたが,自らが若き日に反戦運動で投獄された体験を原点に,いかにして平和への市民の意志を結集するかを久野は日夜考え,自身,そうした運動の先頭に立ってきた.
 久野のしなやかさと語り口の魅力は,五木寛之が「落語家の噺よりおもしろい」と評したくらいだが,それはどこから出てくるか,それをこれからの私たちの共有財産とするためにヴィヴィッドに描いたつもりである.

書評情報

週刊現代 2003年7月5日号
サンデー毎日 2003年6月22日号
長崎新聞 2003年6月22日
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