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著者からのメッセージ 山本昌代
私も読む人を愉しい気分にさせる小説を書きたい
 府中市美術館へ「司馬江漢の絵画」展を観に行った.
 いろいろな方面に手を染めた人だったせいか,江漢と聞くと何屋さんだったかと思うが,こうして80点近い作品を一度に前にすると,やはり絵描きだったのだと実感する.
 それにしても彩り豊かな画業である.晩年に浜辺を描いた作品が増えるのはなぜだろう.自分の齢に10ほど加齢したり死んだふりをしたり奇行も目立つ.壮年期は絵の中に奇なるものが多い.毒々しい花鳥画は,殊に絹に油彩の作品など超現実主義の絵画を連想させる.西の若冲,東の江漢といった感もある.
 方法もスタイルも決して1ヶ所にとどまらなかった人で,画人江漢の絵の間を歩きながら,いつかただの江漢がそこにいるのに気づくと尚更愉しくなる.私も読む人を愉しい気分にさせる小説を書きたいと思います.(やまもと まさよ)

著者紹介
1960年神奈川県生まれ.津田塾大学在学中の1983年,『応為坦坦録』で文藝賞を受賞.1995年に『緑色の濁ったお茶あるいは幸福の散歩道』で三島由紀夫賞を受賞.ほかに『江戸役者異聞』『デンデラ野』『居酒屋ゆうれい』『朝霞』『水の面』『九季子』『顔』『魔女』など.エッセイに『エルンストの月』『江戸ノート』『イギリス通信』など.

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装丁:郷坪浩子





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