13歳の娘に語る ガウスの黄金定理


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編集部だより
著者からのメッセージ

 この本は誰よりも,かつて受験数学にいじめられたおじさん,おばさん方に手にとってもらいたいと思っている.
 江戸時代,和算が世界史の奇跡とも言うべき発展を見せたのは,市井の人々が算学を支えたからだ.庶民から大名まで,天才からは程遠い多くの無名の人々が算学を愛したからこそ,燦然と輝くあの成果が得られたのである.
 明治に入り,和算はあっけなく滅び,数学は子供たちを差別,選別する道具に堕し,いつのまにか「数学が趣味です」と言えば変人扱いされかねない異様な社会となってしまった.
 今日は風邪気味で頭が痛いから数学でもやるか,というのが常識となる世の中を目指して,この本がその一助となれば,と願っている.


著者のお嬢さんからのメッセージ

 行列の計算にはうんざりして読む速度もかなり遅かったけど,ガウス整数に入ったらすらすらと理解できて快感だった.なんだか,本当に未知の世界を一歩一歩進んでいる気がしてまるで冒険みたいだった.
 それで読み進めていくと不思議なことに4n+1型の素数が平方数の和としてあらわされる,というのがごく普通のことになった.上も下もわからないような暗い洞窟の中を手探りで進んでいて,松明を手に入れたら,あ,地面があった,て当たり前にわかるみたいに.ああ,これを実感するためにいままでがあったんだなぁって.
 フェルマーもオイラーも,もっといろんな数学者たちも,何かのためにではなく,わかったときのなんともいえないこの感覚が好きで,数学の世界をもっと知りたくて必死になって研究していたんだろうな.数学のために数学をする,みたいな? これを読んで,少しでもそういう数多の天才たちの喜びを実感できた気がして,ちょっとむふふ.
――本書より抜粋,一部変更


編集部からのメッセージ

 「○わる△は□あまり☆」というまさに「割り算」や「最大公約数」の話にはじまり,合同式,二次形式論そしてガウス整数の世界へ.
 〈お父さん〉こと著者が手とり足とりで説明してくれますし,あれっ?と思うようなところは彩銀さんが代わりに質問してくれ(ることもあり)ますので,いつか挫折した方にも心配は無用です.折にふれて描かれる,歴史上の大人物と数学者たちとの意外な接点も楽しめますし,隙あらばゲームを始めたい娘と,時にやりこめられそうになる父との間の絶妙なやりとりも見物です.
 なお,「計算なんて大っ嫌い!」というそこのあなたにも,ガウスの時代と違って,いまは電卓やコンピュータという文明の利器があります.ここは存分に活用して,ジェット機でガウスの境地に一気に迫ってしまいましょう.


著者紹介

金 重明(キム チュンミョン)
1956年生まれ.主著:『算学武芸帳』(1997年,朝日新聞社,第8回朝日新人文学賞受賞),『抗蒙の丘――三別抄耽羅戦記(2006年,新人物往来社,第30回歴史文学賞受賞),『戊辰算学戦記』(1999年,朝日新聞社),『皐の民』(2000年,講談社;勉誠出版『在日文学全集』第13巻所収),『北天の巨星』(2010年,講談社)13歳の娘に語る ガロアの数学』(2011年,岩波書店)他.


目 次

第0章 数学王
第1章 ユークリッド・ディオファントス・ブラハマグプタ
第2章 フェルマー
第3章 オイラー
第4章 ガウス
あとがき
索 引




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