ヒラノ教授の線形計画法物語

数理工学の要である線形計画法の大御所のもとに要領と打算だけで飛び込んだ青年の波乱の実録研究小史.

ヒラノ教授の線形計画法物語
著者 今野 浩
ジャンル 書籍 > 自然科学書 > 数学
刊行日 2014/03/14
ISBN 9784000058841
Cコード 0041
体裁 四六 ・ 上製 ・ カバー ・ 190頁
定価 1,760円
在庫 在庫あり
数理工学の精髄とも言える線形計画法.その大御所のもとに要領と打算だけで飛び込んだヒラノ青年を待ち受けていたものは? 著者の実体験にもとづき線形計画法の開発にまつわる人物エピソードやその数学アイデアの勘所をみごとに紹介.数学も研究史もわかるユーモアと哀愁あふれる物語.恩師や仲間への敬愛の念が伝わってくる.


■編集部からのメッセージ
 いま手元には千円しかないが,食事もしたいし,これから会うことにしている彼女へのプレゼントも買いたい.できれば,お腹の満腹感も彼女の満足感も最大にしたい.どうしたらいいだろう――かなりおおざっぱな話ではあるが,線形計画問題とは,このような制約条件のある連立不等式を解く問題.これを解く方法が線形計画法である.
 半導体の回路設計や大量の材料を使う工業生産になると,その解法には膨大な時間がかかる.よくコンピュータが高性能かつダウンサイズできるようになって,計算が短縮されたといわれる.しかし,意外にも計算機の高性能化より,線形計画法のアルゴリズムの改良のほうが,巨大化した現在の線形計画問題の解決には貢献が大きいのである.
 そんな計算法がどのように改良されてきたのかを,波乱に満ちた著者の実体験にもとづいて語ったのが本書である.主要な問題解法の要点が手に取るようにわかり,かつそれらの開発に生涯をかけた天才,俊才,秀才,奇才の人間模様も赤裸々に知ることができる.また,何よりも,著者が接した学者・研究者へのオマージュともいうべき文章が読ませる.

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 著者の今野浩氏は,新潮社や青土社から「工学部ヒラノ教授」の名を冠した本を何冊も刊行している.いずれも好評である.工学部をはじめとした大学の実像を描いた本として,いまや「ヒラノ教授」の名は,知る人ぞ知る教授名となっているという噂である.
1 初めての線形計画法
2 ダンツィクの単体法
3 バイブル
4 線形計画法の父
5 ブラックホール
6 ノーベル経済学賞
7 ディキン=カーマーカー法
8 内点法革命
9 カーマーカー特許裁判
10 五〇年目の線形計画法
11 素敵な発掘道具
12 魔法使い
13 巨星墜つ
14 最適化の時代

 コラム1 線形計画法
 コラム2 輸送問題
 コラム3 単体法の原理
 コラム4 双対問題
 コラム5 双対定理
 コラム6 単体法の謎
 コラム7 アフィン変換法
 コラム8 障壁関数
 コラム9 ラグランジュ未定乗数法とカルーシュ=キューン=タッカー条件
 コラム10 線形乗法計画問題とパラメトリック単体法
今野 浩(こんの ひろし)
1940年生まれ.東京大学工学部応用物理学科卒業.スタンフォード大学OR学科博士課程修了.Ph.D.,工学博士.筑波大学助教授,東京工業大学教授,中央大学教授を歴任.日本OR学会会長を務める.現在は,工学部およびエンジニアの実態を一般の人に紹介する〈工学部の語り部〉.
主要著書は,『線形計画法』,『理財工学Ⅰ,Ⅱ』(日科技連出版社)および『工学部ヒラノ教授』(新潮社)など,一連のヒラノ教授シリーズ.

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