ひとけたの数に魅せられて

数1~9が主人公となる楽しい数学,未解決問題,エピソードが満載.数の世界のおもしろさが味わえる.

ひとけたの数に魅せられて
著者 マーク・チャンバーランド , 川辺 治之
ジャンル 書籍 > 自然科学書 > 数学
刊行日 2016/01/28
ISBN 9784000058858
Cコード 0041
体裁 四六 ・ 並製 ・ 300頁
在庫 品切れ
紙を1回切るだけでどんな形も作れる.2次元平面で迷子になってもいつかは必ず出発点に戻れるが,3次元の宇宙では70%の確率で永遠にさまよってしまう.数にはそれぞれ特有の数学的性質がある.1~9という一桁の数が主人公となる数学の楽しい話題,未解決問題,エピソードが満載.数の世界のおもしろさが味わえる.


■編集部からのメッセージ
 4や9は縁起の悪い数,7はラッキーナンバー.なんとなくそんなイメージがあるかもしれません.三位一体,四元素,五行説など,世界を解き明かす哲学や思想で数字が特別な意味を表していることもよくあります.
 では,数学では1,2,3,…,9のそれぞれに何か特別の意味があるのでしょうか? たとえば,1が表すのは「ユニーク」です.「~を満たすものがただ一つ存在する」「~が一つあれば~できる」数学ではこんな形をした定理がたくさんあります.1枚の正方形の折り紙を折って,はさみを一度だけ直線で切って,下の白鳥の形を作ることができるでしょうか? 実はどんな多角形もたった一度はさみで切るだけで作れてしまうという定理があるのです.こんな風に1は数学でとってもかっこよい数なのです.
 ちなみに私は,高校生のころ,確率論の伊藤清先生の講演で「2次元平面では迷子になっても元の場所に帰れるが,3次元空間では永遠にさまよう可能性もある」というお話しを伺ったことがあります.2と3でなぜこんな違いが出てしまうのか,それが確率論に興味をもったきっかけだったりします.本書はこの話もバッチリ収録.このように,数論だけでなく数学の幅広い分野から,未解決問題やパズルも含めてたのしい話題が満載されています.
 本書を読めば,日常で目にするひとけたの数が,これまでと違ったイメージで見えるようになるかも知れません.話題はほぼ独立して読めますので,好きな数字からよみはじめるのもよし,目次から興味ある話題を拾うのもおもしろいと思います.著者のYoutubeチャンネルも必見です.
第1章 The Number One
折り紙に切り込みを入れる/フィボナッチ数と黄金比/数え上げとスターン数列/ギルブレスの予想/ベンフォードの法則/…他

第2章 The Number Two
あなたの対称性は?/ハム・サンドイッチ定理/ピタゴラス音律と2の平方根/掛け算を使った割り算/ヤコビアン予想/…他

第3章 The Number Three
3x+1問題/じゃんけんとボロミアン環/乱歩/周期3はカオスをもたらす/夜空にきらめくパターン/フェルマーの最終定理/アローの不可能性定理/ポアンカレ予想/…他

第4章 The Number Four
四色定理/平方和の恒等式/ドゥッチ数列/オイラーのべき乗和予想/ヴィラソーの円/ 内接正方形問題/…他

第5章 The Number Five
ミケルの5点円定理/高次方程式の解の公式/ハッピー・エンド問題/無限に続く繰り返し/ロジャーズ-ラマヌジャンの恒等式

第6章 The Number Six
友人か赤の他人か/球の首飾り/パスカルの三角形における6角形/ヘックス幾何学における六つの長さ/…他

第7章 The Number Seven
7円定理/1/7の小数展開と楕円/太鼓の形を聞き分けられるか/娯楽数学/積分の実験/…他

第8章 The Number Eight
ピザ定理/トランプのシャッフル/ライフ・ゲーム/シェルピンスキーの絨毯/四元数と八元数/…他

第9章 The Number Nine
9個の点と共線/九去法/素数と9の関わり/カタラン予想/ヘーグナー数/…他

第10章 問題の解答

訳者あとがき
参考文献
図版出典
索引
マーク・チャンバーランド(Marc Chamberland)
グリンネル大学教授.専門:数論.数学の普及のために,一般向けの数学動画を数多くYoutubeで発表.
https://www.youtube.com/user/TippingPointMath

川辺治之(かわべ はるゆき)
1985年,東京大学理学部数学科卒.現在,日本ユニシス(株)総合技術研究所 上席研究員.主著訳書:『Common Lispオブジェクトシステム―CLOSとその周辺―』,共立出版(共著)『群論の味わい―置換群で解き明かすルービックキューブと15パズル―』,共立出版(David Joyner著,翻訳),『数学で織りなすカードマジックのからくり』,共立出版(P. Diaconis,R. Graham著,翻訳)『数学探検コレクション 迷路の中のウシ』,共立出版(Ian Stewart著,翻訳),『この本の名は?―嘘つきと正直者をめぐる不思議な論理パズル―』,日本評論社(レイモンド・M・スマリヤン著,翻訳),『スマリヤンのゲーデル・パズル―論理パズルから不完全性定理へ―』,日本評論社(レイモンド・M・スマリヤン著,翻訳)ほか多数.
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