地球全史 写真が語る46億年の奇跡

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■ 編集部からのメッセージ
 6550万年前,白亜紀の終わり頃に,恐竜を含む地球上の生物が大量絶滅したと考えられています.その原因には諸説ありますが,「直径10kmにおよぶ小惑星の衝突が引き起こした」と考える説が最有力となっています.根拠は,地表に残されたさまざまな“地球史の痕跡”です.
 約46億年前,生まれたばかりの地球は高温のマグマの海に覆われていました.そしてジャイアント・インパクトによる月の分離,小惑星の重爆撃期が終わると,冷えた地表には陸地と海洋が作られます.火山・造山活動が活発化して大陸が生まれ,やがて海中のどこかで原始生命が誕生.光合成するバクテリアが大気中の酸素濃度を上昇させ,海底に鉄が沈殿していく.そして全球凍結を経て多細胞生物が誕生し,生物進化の巨大な実験場となる――.
 数億年というスケールで繰り広げられてきたこのような地球の歴史は,世界各地のさまざまな地形や地層,岩石や化石となって,私たちが生きる現代の地表に今も刻まれています.
 世界の約60カ所を現地取材して撮影した「地球史の証拠写真」を,迫力ある大判サイズで紹介する本書は,誕生から現在まで46億年の地球全史をたどります.また,各地質時代の特徴を最新の研究成果をふまえて解説.地球の奇跡と軌跡を,ぜひお楽しみ下さい.
(編集部:ES)


アルプスの褶曲(フランス・システロン)


■ 著者からのメッセージ
清川さんは,今や日本では絶滅種ともいえる野外地質家である.ランドクルーザーに調査道具一式を積み込んで1カ月以上もテント生活を続け,研究成果をあげている.(中略)2006年,清川さんに協力をお願いし,先カンブリア時代の地層を中心に南アフリカ,カナダ,中国,ヨーロッパ,台湾,エジプトなどの撮影に同行してもらった.テーマにそった地層の前で清川さんにその意味を説明してもらい,それに対して時には反論し,再び説明を加えてもらい,ようやく理解する.地質の写真で重要なことのひとつは,その地層の意義がわかるだけではだめで,一般の人でも魅力的と感じる露頭を探し出すことである.ひとつのテーマにそって何カ所もの露頭を巡り,ようやく最良の露頭に巡りあって1枚の写真をものにする.この共同作業は,困難ではあったが,なかなか充実していた.
――白尾元理「はじめに」より

白尾さんは,大学で地質学科を卒業して大学院の修士課程まで火山を学び,伊豆大島の三原山噴火をきっかけに地質写真家を目指した方だ.以来,世界の地質写真を撮り続けている.地層・岩石の中に隠された地球史の科学的な証拠と,その露頭がどのような場所にあるかを1枚の写真で語らせるのは,じつは至難の技である.白尾さんの写真は,その両方をわれわれに見せてくれる.今回のプロジェクトで,白尾さんと2人で撮影旅行に出かけたのは8回.私は,案内者でありドライバーであり,料理人である.合計3万キロは走っただろうか.ヨーロッパでは,ドイツ〜フランス〜イタリア(シチリア島まで)の縦断を行い,オーストラリアではカンガルーにぶつかりながらのドライブ,カナダのニューファンドランド島では濃霧の中を歩き回り,そして,アフリカでは満天の星空を眺めながら撮影をやってのけた.
――清川昌一「あとがき」より


■ 著者紹介
写真:白尾元理(しらお もとまろ)
写真家
1953年生まれ.東北大学理学部卒業.東京大学大学院理学系研究科修士課程修了.主に地質・地形・火山などの写真を撮影.『新版 日本列島の20億年―景観50選』(岩波書店)『写真で見る火山の自然史』(東京大学出版会),『月の地形ウオッチングガイド』(誠文堂新光社)など,地球・宇宙科学に関する著書多数.

解説:清川昌一(きよかわ しょういち)
九州大学大学院理学研究院准教授
1963年生まれ.高知大学理学部卒業.筑波大学理工学研究科修士課程修了.東京大学理学系研究科地質学専攻博士課程修了.専門は地質学.著書に『新装版 地球惑星科学13 地球進化論』(分担執筆).


ストロマトライトの海(オーストラリア・ハメリンプール)

縞状鉄鉱層(オーストラリア・ハマスレー)

■ 目次

付録1:地質年代表

はじめに

第1章 冥王代
地球誕生の場/地球の材料/マグマオーシャン/月の高地/満月/メテオール・クレーター/アップヒーバル・ドーム/シュードタキライト(フレデフォート衝突構造)/シュードタキライト(フレデフォート衝突構造)/インパクトメルト(サドベリー衝突構造)/フォールバック堆積物(サドベリー衝突構造)/シャターコーン(サドベリー衝突構造)

第2章 太古代
太古代の海底沈殿物(ピルバラ地方)/チャイナマンクリーク(ピルバラ地方)/コマチアイトの溶岩流/ストロマトライトの海(ハメリンプール)/酸素を作り出したストロマトライト/ストロマトライトの構造/ストロマトライトの泡/縞状鉄鉱層(ハマスレー)/ストロマトライトと縞状鉄鉱層

第3章 原生代
マンガン鉱山の発掘跡/グランドキャニオンの谷底にある岩石(ブライトエンジェル・トレイル)/オーグラビース滝の片麻岩/ダマラ造山運動/スノーボールアースのイメージ(バトナ氷河)/氷河が削り運んだダイアミクタイト/ドロップストーン(エリオットレイク)/スノーボールアースからの脱却(バトナ氷河)/キャップカーボネート/エディアカラ動物群/原生代から古生代へ(グランドキャニオンのプラトーポイント)

第4章 古生代
バージェス頁岩(ステファン山)/三葉虫の化石(ステファン山)/バージェス頁岩(ウォルコット露頭)/カウヘッドの巨大海底地滑り/露出したマントル/カンブリア紀・オルドビス紀境界(グリーンポイント)/オルドビス紀の生痕化石/シルル紀のサンゴ化石/シルル紀のサンゴ礁/シッカーポイントの傾斜不整合/両生類の上陸/ゴンドワナ大陸の氷河擦痕/コロンビア氷河の氷河擦痕/ペルム紀のリーフ/古生代末の大絶滅(煤山)

第5章 三畳紀・ジュラ紀(中生代前期)
化石の森/カルー洪水玄武岩(ドラケンスバーグ山脈)/ジュラ紀のサハラ砂漠(ナバホ砂岩)/アンモナイトの壁/始祖鳥化石の産出地(ゾルンホーヘンの石切場)/白亜紀のマグマ溜まり(シエラネバダ山脈)/恐竜の宝庫モリソン層(ダイナソー国立記念物)/ジュラ紀の恐竜足跡(ジュラ山脈)

第6章 白亜紀(中生代後期)
中央海嶺の岩脈群/枕状溶岩/白亜の崖/海洋無酸素事件(コンテッサ石灰岩採石場)/K-Pg境界/K-Pg境界の模式地/デカン洪水玄武岩(エローラ遺跡)

第7章 古第三紀・新第三紀(新生代前期)
ジャイアンツ・コーズウェイ/哺乳類化石の宝庫(ペインティドヒルズ・ジョンデイ層)/貨幣石の平原/クジラの化石(クジラの谷)/マングローブの化石(クジラの谷)/大陸の衝突(アルプス山脈)/アルプスの褶曲(システロン)/新しい地層に重なる古い地層/ヒマラヤ山脈とエベレスト山/干上がった地中海

第8章 第四紀(新生代後期)
第四紀の全記録(黄土高原)/人類発祥の地(オルドバイ峡谷)/人類化石遺跡(スタークフォンテン)/第四紀の氷河擦痕(マッターホルン)/氷河が運んだ迷子石/氷河湖の決壊(コロンビア盆地)/巨大火砕流噴火(イエローストーン)/火砕流堆積物(ピナツボ火山)/裂ける大地(シングベトリル地溝)/海のはじまり(アサル湖)/島弧と大陸の衝突(清水断崖)/横ずれ断層(サンアンドレアス断層)/一晩でできた滝(集集断層)/東北地方太平洋沖地震(牡鹿半島と金華山)


解説
第1章 冥王代
原始地球の衝突史,コアの形成時期,原始地球の大気と海,月に残された初期地球,地球最古の岩石・鉱物

第2章 太古代
大陸の形成,生物の誕生と進化,酸素濃度の上昇

第3章 原生代
超大陸ロディニア,スノーボールアース,エディアカラ動物群

第4章 古生代
カンブリア大爆発,生物の大型化と上陸,超大陸パンゲア,大氷河時代,大絶滅

第5章 三畳紀・ジュラ紀
超大陸の分裂,低酸素環境,新しいボディ・プラン,世界最大の砂丘群,ジュラ紀の生物

第6章 白亜紀
プルームによる広域火山活動,水没環境,海洋無酸素事件,酸素濃度の上昇と温室地球,被子植物の出現,地磁気無逆転期,K-Pg境界の大量絶滅

第7章 古第三紀・新第三紀
温暖化から寒冷化へ,干上がった地中海,アルプス・ヒマラヤ山脈の形成

第8章 第四紀
ミランコビッチ・サイクル,海洋酸素同位体比,人類の誕生と進化,第四紀を作ったヒマラヤ山脈,長くなった第四紀,巨大な地震と噴火

撮影地情報
参考文献・図の出典
あとがき

付録2:撮影地マップ


マグマオーシャンのイメージ(アメリカ・ハワイ島)





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