類体論と非可換類体論
フェルマーの最終定理・佐藤-テイト予想解決への道
素数の演じるさまざまな実例を通して,類体論や非可換類体論とは何かをわかりやすく丁寧に説明する.
著者 | 加藤 和也 著 |
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ジャンル | 書籍 > 自然科学書 > 数学 |
シリーズ | 類体論と非可換類体論 |
刊行日 | 2009/01/29 |
ISBN | 9784000066174 |
Cコード | 3341 |
体裁 | A5 ・ 上製 ・ カバー ・ 128頁 |
在庫 | 品切れ |
素数の演じるさまざまな実例を通して,類体論や非可換類体論とは何かをわかりやすく説明する.さらに非可換類体論の進展がなぜフェルマーの最終定理や佐藤-テイト予想解決に結びつくのかについて,その背景を丁寧に解説する.類体論から非可換類体論へと大きく転換しようとしている現代整数論の生きた姿を概観できる.
■編集部からのメッセージ
編集という仕事に携わって,二十年以上になりますが,中でも第一級といえる作品です.むろん,著者は作家ではありませんし,流麗な文章を書かれたというわけではありません.しかしながら,著者の素数に対する想い,そして素数のもつ奥深い意味,またその不思議さをなんとか,誰かにわかってもらいたいという気持ちがひしひしと伝わってきます.
幸運にも,前著『数論1』も担当させていただきました.そこでも,著者は従来の岩波講座らしからぬ解説をされ,整数論の紹介に巧みな工夫をされました.本書は,それをはるかに凌駕します.前著は「フェルマーの最終定理」が解決されたことに触発されての解説であったのに対し,本書は,それを上回る「佐藤-テイト予想」が解決されたことで,よりはっきりと,素数とは何か,整数論の未来はどうなるのかが,著者には見えたからではないかと想像しています.
著者自ら,「類体論と非可換類体論」は《整数論の華》であると主張します.それを象徴するのが,フェルマーの最終定理および佐藤-テイト予想の解決だといいます.そのあたりをゆっくりと自分で計算しながら,味わいつつ読み進めていける本書は素晴らしい本であると確信します.
ただひとつお断りしなければならないのは,本書は全4巻シリーズですが,作品の性格上,続巻はすぐには出版できません.著者には鋭意準備していただいていますが,第2巻は,半年くらいはお待ちくださるようお願い申し上げます.
■編集部からのメッセージ
編集という仕事に携わって,二十年以上になりますが,中でも第一級といえる作品です.むろん,著者は作家ではありませんし,流麗な文章を書かれたというわけではありません.しかしながら,著者の素数に対する想い,そして素数のもつ奥深い意味,またその不思議さをなんとか,誰かにわかってもらいたいという気持ちがひしひしと伝わってきます.
幸運にも,前著『数論1』も担当させていただきました.そこでも,著者は従来の岩波講座らしからぬ解説をされ,整数論の紹介に巧みな工夫をされました.本書は,それをはるかに凌駕します.前著は「フェルマーの最終定理」が解決されたことに触発されての解説であったのに対し,本書は,それを上回る「佐藤-テイト予想」が解決されたことで,よりはっきりと,素数とは何か,整数論の未来はどうなるのかが,著者には見えたからではないかと想像しています.
著者自ら,「類体論と非可換類体論」は《整数論の華》であると主張します.それを象徴するのが,フェルマーの最終定理および佐藤-テイト予想の解決だといいます.そのあたりをゆっくりと自分で計算しながら,味わいつつ読み進めていける本書は素晴らしい本であると確信します.
ただひとつお断りしなければならないのは,本書は全4巻シリーズですが,作品の性格上,続巻はすぐには出版できません.著者には鋭意準備していただいていますが,第2巻は,半年くらいはお待ちくださるようお願い申し上げます.
1 フェルマーからの流れ
1.1 フェルマーの最終定理
1.2 フェルマーが開いた類体論
1.3 類体論の流れ
2 類体論とは
2.1 平方剰余の相互法則
2.2 2次体における素数の分解
2.3 いろいろな体における素数の分解
2.4 類体論の力の限界
3 非可換類体論とは
3.1 類体論を越えて:非アーベル拡大
3.2 類体論を越えて:楕円曲線
3.3 ゼータ関数
3.4 2種類のゼータ関数の一致
3.5 非可換類体論の心
3.6 佐藤-テイト予想
3.7 佐藤-テイト予想と非可換類体論
3.8 フェルマーの最終定理と非可換類体論
3.9 楕円曲線のゼータ関数とラマヌジャン予想についての補足
4 ガロア理論と類体論,非可換類体論
4.1 ガロア理論の心
4.2 ガロア理論の主定理
4.3 ガロア理論と古典的類体論
4.4 ガロア表現と類体論,非可換類体論
付 録
1 代数体の整数環
2 イデアルと素イデアル
3 正則関数,有理型関数,解析接続
1.1 フェルマーの最終定理
1.2 フェルマーが開いた類体論
1.3 類体論の流れ
2 類体論とは
2.1 平方剰余の相互法則
2.2 2次体における素数の分解
2.3 いろいろな体における素数の分解
2.4 類体論の力の限界
3 非可換類体論とは
3.1 類体論を越えて:非アーベル拡大
3.2 類体論を越えて:楕円曲線
3.3 ゼータ関数
3.4 2種類のゼータ関数の一致
3.5 非可換類体論の心
3.6 佐藤-テイト予想
3.7 佐藤-テイト予想と非可換類体論
3.8 フェルマーの最終定理と非可換類体論
3.9 楕円曲線のゼータ関数とラマヌジャン予想についての補足
4 ガロア理論と類体論,非可換類体論
4.1 ガロア理論の心
4.2 ガロア理論の主定理
4.3 ガロア理論と古典的類体論
4.4 ガロア表現と類体論,非可換類体論
付 録
1 代数体の整数環
2 イデアルと素イデアル
3 正則関数,有理型関数,解析接続
加藤和也(かとう かずや)
1952年生まれ
1975年東京大学理学部数学科卒業
現在 京都大学大学院理学研究科教授
専攻 数論
1952年生まれ
1975年東京大学理学部数学科卒業
現在 京都大学大学院理学研究科教授
専攻 数論
書評情報
全人 2012年6月号
数学セミナー 2010年2月号
数学セミナー 2010年2月号