現代生物科学入門 2
ゲノム科学の展開
ヒトの進化・ヒトの疾患とゲノムとの関係,メタゲノム解析から最新のRNA研究までを紹介.倫理も考える.
ゲノムは生命進化の謎を解明し,かつ生物多様性の意味を解く鍵となっている.この巻ではヒトの進化・ヒトの疾患とゲノムとの関係,メタゲノム解析から,ゲノム科学の進展による新たなRNA像を紹介する.またゲノム解読が進むなか個人ゲノム研究の進展も目覚ましく,科学と社会との関わり,また倫理や法との関係を解説する.(本文2色刷)
■編集部からのメッセージ
ヒトゲノムの解読が21世紀初頭に宣言されて以来,ゲノム科学の発展は目を見はるものがあります.この巻では,そのなかから今後のゲノム科学の動向を左右すると思われるトピックを5つ選んで解説しました.
第1章は,ヒトゲノムを中心に取り上げます.ヒトゲノムの配列が解読され,さらにその他の霊長類などのゲノムとの比較から,人間とは何か,人間とはどのように進化してきたのかがかなり明らかになってきました.そのあたりの基本事項をまとめました.
第2章では,ゲノムとヒトの病気との関係を扱います.ヒトゲノム配列でとくに最近注目されるようになったのが1塩基多型,いわゆるSNPです.これまでは概説的にしか論じることができなかった個人差のようなものが,かなりよくわかってきました.とりわけゲノムと疾患との関係は今後の医療を考える上できわめて重要です.関連する事項を要領よく理解できるようにまとめました.
3章は,微生物のゲノムを取り上げます.ヒトは独立して存在しているのではなく,さまざまな微生物と共存ないし寄生しあいながら生きています.その関わりはこれまではマクロにしかわからなかったのですが,微生物のゲノムがわかるようになって,その重要な役割が認められるようになってきました.さらに,微生物にはヒトにはない特徴的なゲノム配列が見られます.メタゲノム解析など,新しい手法も生まれてきています.基礎から最新事情までをまとめました.
4章は,RNAを扱います.生物科学のなかでも,転写物に注目したいわゆる「トランスクリプトーム」の研究が活況を呈しています.そのなかでRNAの新たな役割も見えてきました.ポイントをわかりやすく紹介します.
最後の5章は,現在もっとも重要視されているELSIの問題を扱います.生命科学研究は,医療や人命と直結するだけに,倫理的にも法的にも,社会の理解が得られていなければなりません.立場に依って利害の違う難しい問題ですが,何が根本となるべきか,要点を明解に紹介します.
■編集部からのメッセージ
ヒトゲノムの解読が21世紀初頭に宣言されて以来,ゲノム科学の発展は目を見はるものがあります.この巻では,そのなかから今後のゲノム科学の動向を左右すると思われるトピックを5つ選んで解説しました.
第1章は,ヒトゲノムを中心に取り上げます.ヒトゲノムの配列が解読され,さらにその他の霊長類などのゲノムとの比較から,人間とは何か,人間とはどのように進化してきたのかがかなり明らかになってきました.そのあたりの基本事項をまとめました.
第2章では,ゲノムとヒトの病気との関係を扱います.ヒトゲノム配列でとくに最近注目されるようになったのが1塩基多型,いわゆるSNPです.これまでは概説的にしか論じることができなかった個人差のようなものが,かなりよくわかってきました.とりわけゲノムと疾患との関係は今後の医療を考える上できわめて重要です.関連する事項を要領よく理解できるようにまとめました.
3章は,微生物のゲノムを取り上げます.ヒトは独立して存在しているのではなく,さまざまな微生物と共存ないし寄生しあいながら生きています.その関わりはこれまではマクロにしかわからなかったのですが,微生物のゲノムがわかるようになって,その重要な役割が認められるようになってきました.さらに,微生物にはヒトにはない特徴的なゲノム配列が見られます.メタゲノム解析など,新しい手法も生まれてきています.基礎から最新事情までをまとめました.
4章は,RNAを扱います.生物科学のなかでも,転写物に注目したいわゆる「トランスクリプトーム」の研究が活況を呈しています.そのなかでRNAの新たな役割も見えてきました.ポイントをわかりやすく紹介します.
最後の5章は,現在もっとも重要視されているELSIの問題を扱います.生命科学研究は,医療や人命と直結するだけに,倫理的にも法的にも,社会の理解が得られていなければなりません.立場に依って利害の違う難しい問題ですが,何が根本となるべきか,要点を明解に紹介します.
序 編集にあたって
1 ゲノムの進化とヒトへの道
1 ゲノムと進化
2 ヒトの遺伝学と多型
3 ヒトゲノム解読の基礎
4 ゲノムからたどるヒトの進化
5 比較ゲノム解析による進化の理解
6 これからのヒトゲノム研究
2 ヒトゲノムの多様性と疾患
1 ヒトゲノム多様性の概要
2 ヒトゲノム多様性と疾患の関係――機能ゲノム学の手がかり
3 ヒト社会における「ゲノム多様性」の動態と意義
3 微生物のゲノム科学
1 細菌のゲノム科学
2 細菌叢のゲノム科学
4 ゲノム科学から見たRNA
1 RNAの種類
2 ヒトゲノムの遺伝子構造
3 選択的スプライシング
4 選択的プロモーター
5 転写開始点の「ゆらぎ」
6 短い非コードRNA
7 長い非コードRNA
8 ゲノムワイドな遺伝子発現の解析
9 ゲノム科学で得られたデータの評価
5 ゲノムと社会・倫理
1 初期の取り組み
2 ヒトゲノム研究の新しい展開とELSI――大規模ゲノム解析プロジェクトとパーソナルゲノム解読
3 遺伝学的検査の利用に伴う課題
4 社会への情報発信と対話
5 これからの課題
引用文献・参考図書
索 引
1 ゲノムの進化とヒトへの道
1 ゲノムと進化
2 ヒトの遺伝学と多型
3 ヒトゲノム解読の基礎
4 ゲノムからたどるヒトの進化
5 比較ゲノム解析による進化の理解
6 これからのヒトゲノム研究
2 ヒトゲノムの多様性と疾患
1 ヒトゲノム多様性の概要
2 ヒトゲノム多様性と疾患の関係――機能ゲノム学の手がかり
3 ヒト社会における「ゲノム多様性」の動態と意義
3 微生物のゲノム科学
1 細菌のゲノム科学
2 細菌叢のゲノム科学
4 ゲノム科学から見たRNA
1 RNAの種類
2 ヒトゲノムの遺伝子構造
3 選択的スプライシング
4 選択的プロモーター
5 転写開始点の「ゆらぎ」
6 短い非コードRNA
7 長い非コードRNA
8 ゲノムワイドな遺伝子発現の解析
9 ゲノム科学で得られたデータの評価
5 ゲノムと社会・倫理
1 初期の取り組み
2 ヒトゲノム研究の新しい展開とELSI――大規模ゲノム解析プロジェクトとパーソナルゲノム解読
3 遺伝学的検査の利用に伴う課題
4 社会への情報発信と対話
5 これからの課題
引用文献・参考図書
索 引
小原雄治(こはら ゆうじ/編者,序)
国立遺伝学研究所所長
藤山秋佐夫(ふじやま あさお/1章)
国立情報学研究所・国立遺伝学研究所教授
門脇 孝(かどわき たかし/2章)
東京大学大学院医学系研究科教授
安田和基(やすだ かずき/2章)
国立国際医療研究センター研究所糖尿病研究センター代謝疾患研究部部長
服部正平(はっとり まさひら/3章)
東京大学大学院新領域創成科学研究科情報生命科学専攻/附属オーミクス情報センター教授
水島‐菅野純子(みずしま すがの じゅんこ/4章)
工学院大学工学部応用化学科特任教授,東京大学大学院新領域創成科学研究科非常勤講師
菅野純夫(すがの すみお/4章)
東京大学大学院新領域創成科学研究科教授
加藤和人(かとう かずと/5章)
京都大学人文科学研究所文化研究創成部門,同大学大学院生命科学研究科生命文化学分野,同大学物質‐細胞統合システム拠点准教授
国立遺伝学研究所所長
藤山秋佐夫(ふじやま あさお/1章)
国立情報学研究所・国立遺伝学研究所教授
門脇 孝(かどわき たかし/2章)
東京大学大学院医学系研究科教授
安田和基(やすだ かずき/2章)
国立国際医療研究センター研究所糖尿病研究センター代謝疾患研究部部長
服部正平(はっとり まさひら/3章)
東京大学大学院新領域創成科学研究科情報生命科学専攻/附属オーミクス情報センター教授
水島‐菅野純子(みずしま すがの じゅんこ/4章)
工学院大学工学部応用化学科特任教授,東京大学大学院新領域創成科学研究科非常勤講師
菅野純夫(すがの すみお/4章)
東京大学大学院新領域創成科学研究科教授
加藤和人(かとう かずと/5章)
京都大学人文科学研究所文化研究創成部門,同大学大学院生命科学研究科生命文化学分野,同大学物質‐細胞統合システム拠点准教授