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岩波科学ライブラリー 111
予想脳 Predicting Brains
外界から流れ込む大量の情報を常に自動的・無意識的に処理している脳.脳はいったい何をしているのか.
著者 | 藤井 直敬 著 |
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ジャンル | 書籍 > 単行本 書籍 > 自然科学書 書籍 > シリーズ・講座・全集 書籍 > 岩波科学ライブラリー > 生命・医学 日本十進分類 > 自然科学 |
シリーズ | 岩波科学ライブラリー |
刊行日 | 2005/10/05 |
ISBN | 9784000074513 |
Cコード | 0345 |
体裁 | B6 ・ 並製 ・ カバー ・ 126頁 |
在庫 | 品切れ |
これほど盛んに研究されながら,脳科学は進むべき方向を見失っている.脳のさまざまな側面について蓄積された詳細かつ膨大な知見を統合する大きな枠組みが存在しないからだ.本書はその枠組みとして「予想脳」という概念仮説を導入し,多数の脳が相互に影響を及ぼしあっているという事実をもとに,脳の本質的な理解に迫る.
■著者からのメッセージ
「どうして僕は今腹を立てているんだろう?」「この不愉快な気持ちはどこから来るんだろう?」そんな疑問から始まって,色々考えてみるところからこの本は始まりました.するとだんだん見えてきたことがあります.それは,脳が常に自分の中に完璧に予想可能な仮想世界を構築しているということです.
現実が予想通りになれば脳は喜びます.予想が外れれば腹を立てます.そのような私たちの脳の仕組みを「予想脳」と呼ぶことにしました.
脳が腹を立てるのには理由があります.予想が外れると,余計なエネルギーを使って外れた予想を修正しないといけないからです.逆に予想通りに世界が進めばそのようなエネルギーのロスは起きませんから,脳にとって快適なのです.完璧に予想可能な世界こそが脳の理想であり,あるべき世界なのです.
そのような「予想脳」仮説をもとに,私たちの暮らしを振り返ってみると,思い当たることがたくさん出てきます.普段私たちは自分の脳の存在をはっきり意識できません.脳自身が隠れているからです.しかし,「予想脳」の仕組みを理解して自分自身を振り返ってみると,隠れている脳の仕組みを掘り起こし,脳が何を考えているかを客観的に理解できるようになります.
本書は,読者の皆さん自身がほかならぬ自分の脳を誰よりも良く理解するためのガイドブックになるように書きました.自分の脳を理解することは,宇宙に行くよりも深く楽しい旅です.ぜひ楽しんでいただきたいと思います.
-
ベンジャミン・リベット(下條信輔 訳)『マインド・タイム』
伊藤正男『脳の不思議』(岩波科学ライブラリー58)
甘利俊一,伊藤正男,利根川進『脳の中身が見えてきた』(岩波科学ライブラリー99)
■著者からのメッセージ
「どうして僕は今腹を立てているんだろう?」「この不愉快な気持ちはどこから来るんだろう?」そんな疑問から始まって,色々考えてみるところからこの本は始まりました.するとだんだん見えてきたことがあります.それは,脳が常に自分の中に完璧に予想可能な仮想世界を構築しているということです.
現実が予想通りになれば脳は喜びます.予想が外れれば腹を立てます.そのような私たちの脳の仕組みを「予想脳」と呼ぶことにしました.
脳が腹を立てるのには理由があります.予想が外れると,余計なエネルギーを使って外れた予想を修正しないといけないからです.逆に予想通りに世界が進めばそのようなエネルギーのロスは起きませんから,脳にとって快適なのです.完璧に予想可能な世界こそが脳の理想であり,あるべき世界なのです.
そのような「予想脳」仮説をもとに,私たちの暮らしを振り返ってみると,思い当たることがたくさん出てきます.普段私たちは自分の脳の存在をはっきり意識できません.脳自身が隠れているからです.しかし,「予想脳」の仕組みを理解して自分自身を振り返ってみると,隠れている脳の仕組みを掘り起こし,脳が何を考えているかを客観的に理解できるようになります.
本書は,読者の皆さん自身がほかならぬ自分の脳を誰よりも良く理解するためのガイドブックになるように書きました.自分の脳を理解することは,宇宙に行くよりも深く楽しい旅です.ぜひ楽しんでいただきたいと思います.
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ベンジャミン・リベット(下條信輔 訳)『マインド・タイム』
伊藤正男『脳の不思議』(岩波科学ライブラリー58)
甘利俊一,伊藤正男,利根川進『脳の中身が見えてきた』(岩波科学ライブラリー99)
はじめに
1
脳は何をしているのか
2
ヒトの脳に特別なこと
3
予想脳
4
従来の解釈と予想脳による解釈
5
予想脳を実感する
6
予想脳の発達
7
予想脳と社会
おわりに
参照文献
1
脳は何をしているのか
2
ヒトの脳に特別なこと
3
予想脳
4
従来の解釈と予想脳による解釈
5
予想脳を実感する
6
予想脳の発達
7
予想脳と社会
おわりに
参照文献
1965年広島生まれ.東北大学医学部卒業.眼科にて初期研修の後,同大学院を丹治順教授の指導により修了.神経科学の基礎を修める.1998年より,米国マサチューセッツ工科大学Graybiel Labにてシニアリサーチサイエンティストとして勤務.脳研究における脳内外のネットワーク的視点の重要さに気づく.2004年より,理化学研究所脳科学総合研究センター象徴概念発達研究チームにて副チームリーダー.
書評情報
もしもR25 2008年2月18日号
認知科学 Vol.13 No.4(2006年12月)
認知科学 Vol.13 No.4(2006年12月)