岩波科学ライブラリー

新薬スタチンの発見

コレステロールに挑む

心臓病の特効薬として毎日世界中で三千万人以上の人が服用するスタチンの発見者が認可までの波乱を語る.

新薬スタチンの発見
著者 遠藤 章
通し番号 123
ジャンル 書籍 > 自然科学書 > 岩波科学ライブラリー
書籍 > 岩波科学ライブラリー > 生命・医学
シリーズ 岩波科学ライブラリー
刊行日 2006/09/05
ISBN 9784000074636
Cコード 0347
体裁 B6 ・ 並製 ・ カバー ・ 124頁
在庫 品切れ
青カビからつくられた奇跡の薬,第二のペニシリンとも呼ばれるスタチン.動脈硬化や心臓病の特効薬として毎日世界中で三千万人以上の人が服用する.いまや薬剤の年間売上ベストテンの上位をスタチン関連が占める.発見したものの再三開発中止に追い込まれ,土壇場でついに認められるという波乱の道のりを発見者自らが語る.


■編集部からのメッセージ
 著者の遠藤先生は下記の紹介にあるように,この春,日本国際賞を受賞され,新聞各紙で大きく取り上げられたことでご存じの方も多いかと思います.もっとも先生は,何賞をもらおうがもらうまいがまったく関係なしというお人柄で,つねにマイペースで研究を続けてこられました.
 しかし,その外見からは想像もできないほどの強い熱意とねばり強さで,ふつうならとっくに諦めてしまうような度重なる困難をはねのけ,今日奇跡の薬と言われるスタチンの材料物質を発見されました.本書は,それを赤裸々に語った貴重なドキュメントです.心筋梗塞など心臓病の特効薬として使われるスタチンですが,現在では免疫系の病気やガンなどにもめざましい効果のあることがわかってきました.
 一般にはあまり知られていない新薬がどのように認可されていくのかなどもわかり,読み物としてとても面白い内容です.
プロローグ

1 新薬の種を求めて
 コレステロールと冠動脈疾患
 動脈硬化の原因
 どうすればコレステロール値がよく下がるか?
 ペニシリンの発見
 世界中で宝探し
 新薬の種探しを始める
 青カビから“新薬の種”を発見

2 動物実験で二度の危機
 ラットのコレステロールが下がらない
 自らラットを飼う
 なぜ下がらない
 ニワトリ,イヌには劇的な効果!
 肝毒性の疑いで再度の危機
 毒性学者の言い分

3 重症患者には安全でよく効いたのに
 再復活へ
 臨床試験は順調であった
 突如中止に
 失敗の原因

4 強力なライバルの出現
 幻のプロポーズ
 世界最大手メルクのねらい
 新たな発見
 アルバーツからの手紙
 一瞬,耳を疑う
 メルクの独占を許さず
 商業化スタチン第1号の誕生
 天然スタチンーーコンパクチンの仲間たち
 合成スタチン

5 大規模臨床試験から見えてきたこと
 コレステロール値を下げて疾患が減ったのか?
 大規模臨床試験
 多彩な生理・薬理作用

エピローグ
遠藤 章(えんどうあきら)
1933年秋田県の山村(上の写真参照)に生まれ,少年時代からカビとキノコに親しむ.大学では青カビからペニシリンを発見したアレキサンダー・フレミングの伝記に感銘を受け,以来現在までの約50年間,カビを主とする微生物の医薬と食品への応用研究に従事.1957年東北大学農学部卒業,三共(株)入社.1966年農学博士.アルバート・アインシュタイン医科大学留学,三共(株)発酵研究所主任研究員,同研究室長,東京農工大学農学部助教授,同教授を経て,1997年より同大学名誉教授,(株)バイオファーム研究所代表取締役所長.著書に『自然からの贈りもの―史上最大の新薬誕生』(メデイカルレビュー社).農芸化学賞,ウィーランド賞(独),東レ科学技術賞,アルパート賞(米),日本国際賞,マスリー賞(米)などを受賞.

書評情報

蛋白質 核酸 酵素 2007年1月号
東京新聞(朝刊) 2006年10月24日
しんぶん赤旗 2006年10月1日

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