新装ワイド版 自然景観の読み方

雲と風を読む

雲と風が語る,身近で地球規模なメッセージ.文学作品やエピソードを織り交ぜ,さまざまな読み方を紹介.

雲と風を読む
著者 中村 和郎
ジャンル 書籍 > 自然科学書 > 宇宙・地球
シリーズ 新装ワイド版 自然景観の読み方
刊行日 2007/08/08
ISBN 9784000078436
Cコード 0340
体裁 A5 ・ 並製 ・ カバー ・ 176頁
在庫 品切れ
なぜ,島の上にだけ雲があるのだろう? どうして海辺では,昼と夜とで風向きが変わるのか?──風景のなかでふと抱く小さな疑問.そこから雲と風を読む旅は始まります.生活の中の風から地球規模の雲の動きまで,雲と風にまつわる文学作品やエピソードを織り交ぜながら,さまざまな読み方を紹介します.


■内容紹介
 海上を飛ぶ飛行機の窓から見下ろしたときに「島の上にだけ雲があるのはなぜだろう?」.海辺で夕涼みをしていたときに「どうして海辺では,昼と夜とで風向きが変わるのか?」.
 風景のなかでふと,そんな疑問を抱くことはありませんか? そこから雲と風を読む旅は始まります.
 日本人は,雲の微妙な違いから季節のうつろいを読み取り,天気を予測し,自分の心を投影してきました.また,虫が羽を動かすだけで起こるかすかな羽風さえも識別する繊細な感覚を持っていました.
 本書では,雲と風にまつわる文学作品やさまざまなエピソードを織り交ぜながら,生活の中の風から地球規模の雲の動きまで,身近でありかつ雄大な雲と風の読み方を紹介します.
はじめに

1 高い雲と低い雲
雲も天からの手紙である/雲の名前/雲は国際語/雲ができる高さ/対流圏と成層圏/氷晶の雲と水滴の雲/水蒸気から雲への変身/上昇気流はなぜ起きる

2 層状の雲と積雲状の雲
層状の雲と積雲状の雲/雲海/大気の安定と不安定/雲の分類/盆地の霧と海の霧/地形によってできる雲/雨を降らせる雲

3 小規模な風系
形のない風を読む/身近な風/上州のヒョウとダウンバースト/砺波平野の強風と屋敷林/広戸風/瀬戸内海の海陸風

4 大規模な風系
シノプティック・スケールの風/信州の地理学者・三澤勝衛先生/大規模海風/北陸地方の冬の風は南風/ヤマセ(風の地方名)/モンスーン

5 衛星で読む雲と風
人工衛星から見た雲/冬至の日の二枚の気象衛星画像/熱帯の雲と温帯や寒帯の雲/重ね合わせた雲画像/地球規模の風系

6 熱帯の風と雲
赤道沿いの洋上にできる雲の帯/熱帯の大陸上の雲/亜熱帯高圧帯と貿易風/海岸の砂漠/砂漠の山の雲霧林

7 偏西風帯の雲
蛇行する偏西風/偏西風帯の雲の帯/ブロッキング高気圧/筋状雲/「蜀犬日に吠ゆ」/日本の雲と風

8 雲と風のロマン
太平洋の航海者/雲の方言学/地理学的発想/消えたロプ・ノール

新装ワイド版あとがき
参考図書・参考文献
中村和郎(なかむら かずお)
1934年生まれ.
毎日,窓の外の気温を測って記録していたことから,戦後,ラジオの気象通報に興味を覚えた.一時それもすっかり忘れていたが,大学3年のときに地理学科で気候学を専攻するようになる.1958年東京大学理学部卒業.1959年ウィスコンシン大学大学院に留学.トレワルサ教授の新著『世界の問題気候』と,ブライソン教授の動気候学や若いブッツァー先生の先史地理学の講義にひかれた.1961年以降数回にわたり,東京都立大学の助手として同大学の海外研究グループのメンバーに加えられてケニアとカメルーンに行く.熱帯気候にも関心をもつとともに,地理学方法論と地図に目が向いてくる.1984年から2005年まで駒澤大学文学部教授.現在,日本教育大学院大学客員教授.
主な共著書に『衛星でみる日本の気象』『日本の気候』(いずれも岩波書店),『地理学への招待』,『地域と景観』,『地図からの発想』(いずれも古今書院)などがある.
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