学ぶこと 思うこと


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編集部だより
本書より
 いまの日本の社会のあり方に対して,あなた方はいつまでも黙っていてはいけないでしょう.それは私たちの世代が若かった時におかした過ちです.自分で考えて下さい.あなた方が自分の頭で判断を下す必要が出てきている,いまの社会は,そういう状況になっています.そのためには,まず「思うこと」です.そして,もっと「学ぶこと」が必要です. たしかに日本国は改革を必要としていると思います.もし,私がこれまで言ってきたような改革や革命が実現することがあるとすれば,それはきっとあなた方がやることだと,私は思っています.

著者紹介
加藤周一(かとう・しゅういち)
 1919年東京生まれ.東京大学医学部卒業.文芸評論家・作家.1951年渡仏,55年帰国.医師をしながら「日本文化の雑種性」などを発表.
 主著に「雑種文化」「羊の歌(正続)」「日本文学史序説」「現代ヨーロッパの精神」「消えた版木――富永仲基異聞」「私にとっての二〇世紀」など.「加藤周一著作集」(全24巻,うち1巻は未刊)がある.

目次
学びて思わざれば罔(くら)し 思いて学ばざれば殆(あやう)し
学ぶためになにが必要か
日本の社会を変えていくために

編集部より
 ひとはなにを,なんのために学ぶのでしょうか.多くの人が,この問いを自分自身に対して投げかけたことがあるのではないかと思います.
 このブックレットは,評論家として現代社会に対する発言を続けている加藤さんが,大学の新入生を前に行った講演会をもとに、一冊にまとめたものです.
 過去の知識や経験に学ぶことと,それをもとに,「これが問題だ」と思うことを自分の頭で考えること.加藤さんは,この二つの要素はどちらも大切であることをやさしい口調で語りかけると同時に,しっかりと知識を学び,活かしていくために,どのような点に気をつけなければならないかを,明快に指摘しています.
 現在国会で議論中の有事法制案を例にとって,「言葉」と「日本の戦前・戦後史」の両面から問題のありかを示した一節(2章)からは,「学んだ知識を活かしていくためには,学ぶひとの現実世界へのかかわり方がとても大切になる」という,加藤さんの思いが伝わってくることでしょう.
 これから多くのことを学んでいく若い世代へ向けた,加藤さんからの熱いメッセージが込められた一冊です.
(このブックレットは,2002年6月6日,東京大学教養学部学生自治会が新入生を対象に開催した加藤さんの講演会「学ぶこと・思うこと」をもとに再構成したものです.)
【編集部 吉村弘樹】



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